【短文】神様のいたずら

“神様から特別な力を与えられた”という人間が、世界には一定数存在するらしい。最近よく耳にする噂によれば。

可哀想な人。
とてもつらい目に遭っている人。
誰かを酷く憎んでる人。
もう二度と会えないはずの誰かと会いたい人。
もうなにもかも諦めてるけど、最期にひとつだけ、思いを遂げたい人―――――等々、様々だ。

神様は人々の願いを叶えてくれる。
魔法みたいに“ちょちょいっ”と。

私は自分が嫌で嫌で仕方がない。自分で自分を殺せたらどれだけ楽になれるだろう。どうにかしてください。

と、そのまま伝えた。
すると、神様は“ちょちょいっ”とその願いを叶えてくれた。

ふと気がつくと、目の前にもうひとり、“私”かいた。
気が動転した私は“私”を刺し殺した。
呆然と血塗れの手を見つめる私に神様は『おめでとう』と満足げに言い放った。



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