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トレーニングは「上手(じょうず)」になってはいけないという難問

人間はだれでも期間の長短はあれ、同じ動作を繰り返していると
だんだんと上手になっていきます。
競技の練習はまさにこれを狙って反復する訳ですが、これが
ダイエットや筋量アップ等のトレーニングにとっては難問なのです。

動作が上手になるというということは、同じ負荷に対して身体の負担が
少なくなることだからです。

同じことを初めてやったときにはつらかったことが、慣れてくると楽に
感じます。
具体例を上げますと、泳ぎの上手な人というのは、水の抵抗をなるべく
受けないように泳げる人のことです。
ですから、もし同じ距離あるいは同じ時間泳ぐとすると、必要なエネルギー
や筋肉への負担は、泳ぎが下手な人の方が多くなるはずです。

逆に言うと、もしよりエネルギーを消費したいなら、なるべく下手に泳ぐ
ことが必要だということです。

あまりこういう説明はされませんが、いわゆる筋トレの正しいフォームとは、例えばいかにダンベルを下手に扱うかということなのです。
不自然な動作と言ってもいいかもしれません。
同じ重さでも上手に扱えばそれだけ筋肉への負担が減る訳ですから。

もっと負荷を分散させるように体を使えば楽に扱える重さを、わざわざ
特定の部位に負荷を集中させるようにして、目的の筋肉に刺激を与える
のが筋トレのやり方です。

もちろんランニング・ウォーキングでも同じことです。
慣れれば慣れるほど身体の使い方が上手になり、負担は減っていきます。
その分長い距離が走れるようになったり、疲労の感じ方が減ったり
します。

このことはパーソナルトレーナーにとっても悩ましい問題です。
多くのクライアントは、今まで困難だったことがこなせるように
なったり、持ち上げられなかった重さが上がったりすると
喜んで下さいますし、モチベーションも上がります。
そして、その動作ないし種目を続けようとされるのですが、
当然利用可能な重さには限りがありますし、自体重のトレーニング
であれば、簡単に負荷はあげられません。
簡単に負荷を上げてしまうとケガのリスクも高まります。

フォームをマイナーチェンジしたり、同じ部位でも異なる種目を
提案したりして、トレーニング効果の継続を計っています。

トレーナーをつけず、自力でトレーニングしている方は、この問題への
対処はさらに難しいかと思います。

あらかじめ「何か月後には種目を変える」と決めておくとか、時には
あえて明らかに軽い重さで効かせるフォームを探求するとかの工夫が
必要になると思います。

通常の競技の練習は、負荷の身体への負担をいかに軽くするか、
トレーニングは、軽い負荷でいかに体に負担をかけるか
見た目は似ていても、まるで反対のことをしているということは
常に頭においておきたいものです。
「負荷を上手く扱ってしまっていないかな?」と自分で検証しながら
取り組む必要があります。



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