【感想とか】成瀬は天下を取りに行く


以前から話題になっていた本で、気になっていました。
お金がないので図書館に予約。ついに読んだ。面白かった。
一発目の感想は、やっぱり物語はキャラクターが大事なんだな、と言う事でした。
以下、ネタバレあり、と言われるとそうかもしれません。

成瀬あかりの魅力

「成瀬は天下を取りに行く」の主人公は、その名の通り、成瀬さんです。この子の魅力は、発想力と行動力。
以前読んだ本(シナリオの書き方的なやつ)で、主人公には2つの要素のうちどちらかが必要だ、というのが書いてありました、たしか。
憧れ性と共感性。
このどちらかが、魅力的な主人公には必須なのだ。
成瀬の発想力と行動力は、恐らく読者の憧れ性に響いたのではないかと。思っても、行動するのは、なかなか難しい。人目とか気にしたりする。

でも成瀬はそんなこと考えない。傍から見て変な事でも思いついたら、平気でやってしまう。その奇想天外さに、読者も、なんなら登場人物たちも魅かれていってしまう。(そうじゃない人もいるけど、そう思いつつ、実際は気にしてしまってるんだよね)

成瀬あかりの見せ方

本書は5話構成。
1~4話は、成瀬の周りの人の目線で物語が進む。そこで、それぞれの人から見た成瀬像が、魅力的に描かれる。
そして第5話。これは成瀬の話なのだ。この章を読み進めて行くと、成瀬が決してスーパーガールなわけではなく、普通の女子中高生である事に気づく。ここに共感性も生まれてしまうのだ。

何が、自分(達)とは違うのか。それは、やはり行動力。鈍感力ともいえるのか。自分が思ったことは、やってみないと分からない。周りにどう思われようと、やらなきゃわからないのだ。
そんな突き抜けた事、できますか。彼女はできるんです。なんせ天下を取りに行くのだから。

成瀬には憧れ性と共感性、その両方がある。だから引き付けられるのだ。

勝手に自分に重ねてみる

自分も本当に小さいころは、ひとりで好き勝手やってたな。迷子になったりとかしたな。
少し大きくなると、何かやる時は、いつも仲間ががいるようになったな。
ということは、自分は島崎、成瀬を一番近くで見てきた友人だったんだな。
それでも良かった。一緒に、好きな事をつきすすんでやれたんだから。
このようなことは、誰もが少しは通った道なのでは無いか。しかし、いつの間にか、自分でも気づかないうちに「普通に」なっていたのではないか。
もう、なかなか好き勝手はできない。
本当は、小説とか書きたい。映像化されて、その主題歌とか歌わせてもらえたら、最高だろうな、と小さい頃から思っていたのを思い出す。

話のネタは考えたりしている。友達との会話をメモしたりもしてる。
面白そうな話が浮かぶこともある。
でも、書けない。
何故か。
突き抜けられないから。仕事や家族を言い訳にして。
本当にやりたい事に突き進む。そんなことができる人間になれれば良いと思うし、そんな人を許容できる社会であってもらいたい。
いつか、と言ってたら、いつまでたってもやらなそうだが、物語を世に出したいと、改めて思う。

成瀬を読んで、思い出したオススメ本

この作品が、成瀬が好きなら、この辺も人気が出ていいんじゃね、と思う本を。
1冊目は、「涼宮ハルヒの憂鬱」。冊じゃなくてシリーズか。(とはいえ、私は一冊目しか読んでないので)
主人公、涼宮ハルヒの突き進み度合いは、なかなかのもの。魅力的なキャラであることは間違いない。
もともとラノベなのだけれど、そんなこと気にせず、一般にも通じるSF小説だと思って読んでみては、と思う。
最近、文庫の表紙が、ラノベ(ハルヒの絵が描いてあるやつ)ではなく、一般小説みたいなものが発行された。やるな、角川文庫。もうひとブレークあるかもしれない。

もう1冊は「詩羽のいる街」。山本弘先生の小説。この主人公、詩羽も、突飛で魅力的なキャラクターなのだ。
ついでなので、山本弘先生の作品では、「アイの物語」も面白いので、未読の方はぜひ。未来に明るい希望が持てる。
物書きに興味があれば「創作講座 料理を作るように小説を書こう」もオススメしたい。

読書って本当にいいものですね。




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