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T家の日常 カミさんはゴーヤチャンプルを作ろうとすると何故かご飯を食べてくる


教えてないんです。
私はゴーヤチャンプルを作ろうなんて、一言も発してないんです。
カミさんも、別にゴーヤが嫌いなわけではないんです。むしろ好き好んで、ゴーヤ買ってるんです。
それでも、何故か、ゴーヤチャンプルを作ろうと思った日には、カミさんはご飯を食べて帰ってくるんです。
体感で少なくとも4割は、帰ってこない。全盛期のイチローの打率より高めだ。大谷さんも超えている。

ウチは、共働きで、どっちも正社員なんで、普通にどっちも朝から晩まで働いてるんです。
でも、私のほうが職場近いんで、大体先に帰って来るんです。だから夜ご飯は、基本、私が作ります。

で、何を作るのかが悩みのタネなんですね。どこもそうなんだと思うんですけど。
目を閉じて、冷蔵庫の中を思い出す。
ふるさと納税で、大量の新玉ねぎが届いていたな。あとは…ゴーヤがある。もう、そんな時期が来たんだなぁとしみじみ思う。

家の食材は、週に1回生協で頼んで宅配されてくるものが主。発注するのはカミさん、支払いと調理は私、というなんとも言えない歪みがある。
参議院と衆議院で、与党と野党の過半数議席が逆転して、ねじれ国会になってしまってるようなものだ。違うか。

そんなこんなで、家にあるものを美味しく食べられるように料理するのが私の責務。
料理の鉄人で言えば、カミさんは主催の鹿賀丈史、私は用意された食材を鉄人…なんかではもちろんなく、ただの素人なのだ。

さて、ゴーヤといえば、もうゴーヤチャンプル一択なのである。
他にも食べ方は色々あるのだろうけど、調べれば出てくるのだろうけど、それしかないのである。
そんな、仕事帰りの平日に、作ったことのない料理を作るほど、無謀なことはできないのである。

昨日の残りの豚肉があったな。木綿豆腐もあるはず。朝、弁当用に卵焼きを作ったから、追加購入が必要だ。
新玉ねぎも消費する必要がある。色味的にニンジンもいれるか。
うん、悪くない。栄養バランスも良さそうだ。根拠はないが。
後は味噌汁を作ればいいか。
決まったな。

それより仕事を早く片付けないと。どこまでやろうか。やらなきゃいけないことは、家だけでなく、会社にもたくさんある。やれやれ。

その時、スマホがブーンブーンと振動した。
2回。これは、LINEの可能性が非常に高い。
見てみると、案の定、画面上部にLINEが届いていることを示すアイコンがあった。
まさか…
「ご飯食べて帰ります。ごめんなさい」

なぜ謝るのか、なぜ謝ることを積極的に行なうのか。

ゴーヤチャンプル。その苦みが、カミさんを家から遠ざけるのか。いや、その苦みがいいんじゃないのか?

カミさんが帰ってこない日は、もう頑張らない。
頑張れない。
大抵、冷凍ギョウザで餃子パーティだ。安くて美味い。
新玉ねぎと、トマトと卵の中華スープをつければ、栄養バランスもいいだろうし、新玉消費もOKだ。30分もあれば夕食にできる。
子供らが、米を炊いていれば、だがな。

明日こそ、ゴーヤチャンプル。
メニューを考えなくてよいのはありがたい。
後は、カミさんが二夜連続で、飲みに行かないことを願うのみだ。

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