『とらドラ!』を本気で語り尽くす。
お久しぶりです、蕩です。
軽率にお尋ねします。
皆さんにとって"最強のラブコメ"って何ですか?
私は『とらドラ!』って即答します。
10年前くらいに出会った作品なのですが、いつまで経っても"最強"の座を譲ってくれません。
なので、記事にして掘り下げたい欲求が爆発。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
いやめちゃくちゃ喜ぶ、泣いて抱きしめる、頼む!
(※もちろんネタバレ全開です)
「見たことがないもの」
視聴した方はご存知、冒頭の大河と竜児の2人語り。
基本的にラブコメは「主人公の隣にいるのがヒロインだろ?」ということをまず匂わせるのが定番ですが、この作品は開始早々に結末を宣言している。
なので、他のルートを考える必要はありません。
魅力的なキャラが登場したところで、"2人が言葉を紡いだ"という事実から結末を示す潔さによって、視聴者の心をキャッチする効果的な幕開けです。
さてさて、ところで皆さん。
「見たことがないもの」って何だと思いますか?
「恋」だと言う方が多いのは知っているかつ否定をする気は毛頭ありません、正解は十人十色です。
しかし、個人的には「幸せ」だと思うんですよね。
竜児と大河が結ばれることを前提に考えるなら「恋」かもしれませんが、この作品には他にも青春を足掻き続ける人間がいるんですよ。特に2人。
櫛枝実乃梨、川嶋亜美
彼女たちは決して恋が叶うわけではありません。
でも25話を駆け抜ける中で、色々な葛藤を経て彼女たちなりの答えを見つけ出すことができた。
なので今回は大河に関する記事はもちろんのこと、この2人にも焦点を当てながら「見たことがないもの」について、皆さんと正体を暴いていけたら嬉しいと思っています。最後までお付き合いお願いします!
逢坂大河が「隠そうとしたもの」
自由奔放な逢坂大河。
暴力的で、好き勝手に生きてるように見えるが、実は優しい心の持ち主で臆病なメインヒロイン。
言ってしまえば、様々な過程とともに高須竜児と付き合うことで「幸せ」を手にした女の子。
この子にとっては「幸せ(=竜児、恋)」ですよね。
彼女は「望んだものが全て壊れる」と思ってます。
両親の離婚、物語における恋路の波乱など、全てに関わっている自分が元凶だと考えてしまう。
でも先程述べたように"竜児"が現れた、「虎と竜は並び立つと決まっている」と言ってくれた男子高校生との出会いが、その思い込みごと壊してくれる。
〇竜児と大河(2話)
北村に勇気を持って告白する回。
2話という物語序盤ですが、「望んだものが全て壊れる」と考えている大河にとって非常に強い影響を与えたと言える内容になっています。
大河はここで"好き"が芽生えと思うんですよね。
結果的に北村にフラれたことで「やっぱり望んだものが壊れる」と思ってしまいますが、「逢坂大河の傍にいる」と宣言してくれた竜児に"特別"を覚えたんじゃないかなって。めちゃくちゃ妄想ですけど。
零れる寸前の涙,仄かに赤面した頬は正直。
ただ「恋」とは自覚していない様子が伺えます。
〇だれのため(8話)
竜児を賭けて、大河と亜美が水泳対決を行う。
クラス全体も賭けをする中でほぼ全員が亜美側に回る展開、それでも竜児は心から応援してくれる。
そんな2つの現実が大河の心を鋭く刺します。
容姿端麗な亜美にばっかり興味が向いて、自身の内面で悩むことに誰も知ろうとしてくれない。
競争中の悪ふざけでプールに投げ出され、溺れている竜児のことを全力で助ける姿勢も見えない。
誰も"本当の自分"に気づいてくれない。
そして、大河目線で考えれば"気づかれるべき人間である竜児"も蔑ろにされる世界にタイガーの咆哮。
ずっと傍で応援してくれてる高須竜児を大事にしたいと思ったのはこの瞬間じゃないでしょうか。
まだ"好き"を自覚していないものの、確実に好意が突き進んでいることは図星です。
〇踏み出す一歩(16話)
待ってました、アニメ史に残る回。
そう。あの伝説の「大河vs生徒会長」ですね。
逢坂大河が"木刀"を抜くのは決まって北村のため。
高校に入学した時も、文化祭で櫛枝と竜児が仲直りして取り残された時も「北村は声をかけてくれた」という救いには何度お礼を言っても足りない。
でも北村が生徒会長を好きな事実も変わらない。
だからその気持ちを"知ったような顔"で流した生徒会長のことが、受け入れられない。
この抜刀は"憧れ"とも位置づけられる北村に対して、さらに見ようとしていなかったモノ(=北村には他に好きな人がいる,竜児のことが好き)に向き合う意味合いを強く持っていたんじゃないかなって。
脱線しますが、映像も素晴らしいですよね。
確かに濁った空気感に包まれたり、賑やかなラブコメ作品と違って"何か"を訴えてくる描写が多いことは段々と伝わっていたんですけど、女子高生同士が本気で殴り合うシーンを"影"や"傷"で余すことなく暴力的な感情として表現していると思います。
そして12~13話で「後半クールだからOP変えます」みたいな適当なノリじゃなく、この16話という物語が大きく転換するきっかけになる回で締める。
だから17話で変わったOPに、より想いを強くすることができるという愛を感じる設計が素敵です。
〇聖夜祭(19話)
竜児が櫛枝に告白することを決意する、そんな竜児を大河は送り出してあげるクリスマスの日。
もちろん、大河が「竜児を好き」と自覚した回です。
一度は竜児がクマの着ぐるみの「サンタ」として、身を引こうとしてるはずの大河に会いに向かってしまうのが今後の苦しい展開につながってます。
冒頭で言ったように大河は"優しくて臆病"なため、自分の気持ちに鍵を閉めて、これから結ばれる2人の未来を願い背中を押すのが印象的なセリフです。
ここは演出も素敵だと思うので、共有しましょう!
何度お礼を言っても足りない北村に「何かしてあげたい」と思い悩む大河へ、竜児が後ろから巻いてくれたマフラー(=竜児の優しさ)に包まれて縋り続けていることを表現している気がするんですよね。
そして竜児を送り出すときに、今まで大河のことを守ってくれていたマフラー(=竜児)が身体から離れて床に落ちてしまうのは、大河から竜児が消え去ることを示唆しているようで寂しいです。
ここで大河は「恋」に、「好き」に気づいた。
〇とらドラ!(25話)
大河は、竜児と出会って「幸せ」を見つけた。
冒頭で書いた見たことがないものを見つけることに辿り着いた、だから1話の導入と同じように「そういうふうにできている」と完結させる綺麗さは圧巻。
ここも演出が素敵です、一緒に楽しみましょう!
「世界はそれを隠したのだ」という語りを頭に入れて考えると、1話の時点では竜児はロッカーから転がり出てきた大河を"見てしまった"に近いですよね。
でも、最終話では大河という存在を認識して教室まで向かい、ロッカーの中にいた大河を"見つけられることができた"と思わせる対比に声が出ました。
そして大河は「驚かせようと思ったのに」と愚痴を漏らしますが、この台詞だって"竜児が見つけてくれるだろう"という目の前の現実を"大河が見つけられることができた"から成り立つんじゃないかなって。
そうやって2人でお互いに隠そうとした「幸せ」を掴んだ、これが逢坂大河の物語だと思います。
だって、「そういうふうにできている」のだから。
櫛枝実乃梨に「ジャイアントさらば」
櫛枝実乃梨は素顔を見せてくれない。序盤は能天気で抜けてるキャラクターとして描かれるが、途中からは真っ直ぐに突き進むことを拒む"ずるい子"。
竜児のことが好きで両想いであるだろうことも知っているのに、大河にとって竜児が必要不可欠な存在なら譲らなければいけないと思っているのが分厚い足枷。
そんな彼女は見えないものと見えているものに悩まされながら青春を駆け抜けたことがカギであり、最終的には見えているものに向かったと言える気がします。
◎まずは『合宿回』のセリフ。
この"幽霊"とは、"恋愛"のことじゃないかなって。
遠回しな表現を使いながら、本心を語らない櫛枝が初めて竜児に打ち明けてくれた大事なメッセージ。きっと幽霊と同じように恋愛がどういうものか想像することはこの時点で出来ていたと思うんですけどね。
◎『生徒会選挙回』
大河の生徒手帳に"北村とのツーショット"が挟まれていることに気づく。
加えて、櫛枝が竜児のことを好きと知っている亜美が耳元で「罪悪感はなくなった?」と残酷な一言を囁いてしまうのが辛いですよね。
ここで櫛枝は、今まで大河に譲ろうとする気持ちを建前に逃げていた見えないもの(=恋愛)に向き合わなければいけなくなったと思うんですよ。
ただ、そんな心持ちで物事が上手く運ぶはずもないため問題が立て続けに起こってしまう。
そう、あのクリスマスパーティーです。
◎『クリスマスに水星は逆行する』
パーティーを開催するために生徒たちでクリスマスツリーを組み立てて、頂上には"大河の宝物である星"を飾りつけ完成させたのだが、櫛枝含むソフトボール部がそれを破壊する事件が起きる。
"水星"はコミュニュケーションを司ると呼ばれているため、それが逆行するということは「コミュニュケーションが上手く運ばない」と今後の展開を示唆している、綺麗な表現かつ切ないサブタイトルが秀逸です。
そしてパーティー当日を迎えます。
竜児は告白する覚悟を決めるが、それを送り出す大河がマンションの玄関で泣いてるのを櫛枝は目撃。
だから気を遣って告白される前に拒絶するのだが、大河はその事実を知らずに身を引いて2人の応援を続けてしまうため、櫛枝は"幽霊"と向き合う選択肢だけが残されてしまうので、無理矢理でも頑張ろうとする。
むしろこのまま確実な両想いに喜んで"幽霊"を見てもいいとさえ思った、けれども不遇な展開は続きます。
◎『ずっと、このまま』
クリスマスの日から「大河×竜児」の関係に以前より複雑な感情を抱いてしまうものの、両想いの事実に対する淡い期待と大河のサポートに目を背けることが許されず、積極性と素直を少しだけ手に入れる。
しかし、ここで「赤→青」の信号機を使った演出。
大河が応援してくれるなら、竜児と両想いなら「ずっとこのままで」と期待して願う気持ちに対して「進むことができる」を意味する"青信号"に切り替わり、それを進むことで「このまま」が叶わないことを表現しているかなって。
加えて、大河と竜児が"停止"の標識を通過する演出もあるのだが、これは櫛枝の現状維持を願う気持ちが叶わずに、2人は止まってくれないことも意味しているのではないだろうかと思う。胸が苦しいですね。
さて、やっぱり櫛枝には"幽霊"が見えません。
どう頑張っても、私達が作中で見届けられる高校生の間ではそれを見ることを許してもらえない。
でも、彼女はここで終わらない。
彼女だって見つけることができる、自分の答えを。
◎「ジャイアントさらば」
そう、櫛枝には見えてるものがある。
大河と竜児の両想いが確信に変わり、結果としては完全にフラれた時のセリフ。
前述のとおり、櫛枝には見えないものと見えているものがあって不器用な彼女はそれを同時進行することができないのに、今まで中途半端に両方を追い続けたのが人間性をギクシャクさせていた。
ただこの回で大河も恋心を譲っていたことが明白になり、ついに櫛枝は胸の奥にあった本心を剥き出しにして叫び散らかすのが最大の魅せ場。
ちょっと考えてみてくださち。
大河に言ってるはずのセリフなのに、まるで櫛枝が自分自身に伝えているように聞こえませんか?
ずっと欲しいものを他人(=大河)のせいにして、片足だけ突っ込んだ状態で見えないもの(=恋、竜児)に憧れのみを抱いてた自分に喝を入れているようです。
そして消えてしまう憧れに「ジャイアントさらば」。
このシーンは演出も繊細ですね。
竜児を見送った前後で「背伸び→踵を下ろす」。
フラれたにも関わらず気丈に振舞っている状態を背伸びで、視界から消えて我に返った状態は地に足ついた踵を下ろすことで表現しているかなあって。
名言である「ジャイアントさらば」の演出もそう。
竜児の唇に触れた拳に少しキスをして照れるのは、別れを告げた"幽霊"に対して櫛枝が見せる最後の抵抗だったのかもしれない。本当に一瞬のカット。
ここが狂おしいほど好き、これが書きたかった!
櫛枝に関するシーンではここが一番好き!
さてさて、話を戻す。前述の通り、櫛枝には見えてるものがあると思うんですよね。
"ソフト全日本から、世界で活躍すること"
彼女はこの光景を真っ直ぐに捉えることができるようになった成長の先に、今まで「見えていないもの」が見えたと考えられるんじゃないかなって。
追い続けても見ることができなかった「恋」ではなく、その「恋」を絡めた苦悩の先に櫛枝自身が掴み取ると決意した「幸せ」がきっと。
川嶋亜美の「恋じゃなくたって」
川嶋亜美は一般的な家庭と違って大女優の母親を持ち、自分自身もモデルの世界で生きてきたから同年代の中では達観している。
だから客観的に物事を捉えてしまうため、自分の美貌を理解して天然キャラを演じる世渡り上手な反面、腹黒い性格を隠している。ただ私は腹黒さを持ちつつも俯瞰的であるからこそ、たまに見せる素直になれない素直な面が彼女の本性だと思います。
◎最初は『ストーカー事件回』
ファミレスで初登場した時点で、亜美の腹黒い部分は竜児に知られているから、正直言ってネタバレすれば話は早かったはずなのに上手くは進みません。
竜児は遠回しに「素の顔で生きようぜ」と言ってしまい上手く伝わらなかったため、取り繕った仮面を外す決め手にならず、亜美は「この顔じゃないとダメなの」と答え、彼女が落胆する心情を代弁するように雨が降り始める。
しかし、天然を取り繕った性格のまま生きていくことを宣言した亜美でしたが、ここで再びストーカーに出会うことで鬱憤が弾け飛ぶんですよね。
怯え続けるだけで何も行動に起こせない亜美だったが、怖いもの知らずでストーカーを撃退する逢坂大河を見て"仮面を外す"覚悟を決めるという彼女の幕開け。
(上)ストーカー退治前、(下)ストーカー退治後
この空を用いた演出がとても好きです。
雨→晴れ(夕空)でスッキリした心情を表現することはそこまで珍しい演出ではないと思います、では何故か。
亜美がストーカーを退治した後の夕空に"黒い雲"が半分くらい残して描いているのは、もう1つの顔である腹黒さを表現しているように受け取れるかなって。
真っ新で綺麗な空ではなく、腹黒い"黒い雲"と心がスッキリした"夕空"が共存した空模様こそ、私は一皮剥けた川嶋亜美だと改めて思わされました。
そして好き放題に暴れる大河を羨ましく思う気持ちと、その横に並び立つ竜児の存在に興味が芽生える重要な回にもなっているのが圧倒的な引力。
ここから亜美は「私も輪(=恋愛)に入れてほしい」と願い続けて状況を複雑にする面も多々あるのは事実なんですけど、本当は少し離れた場所で見守ってくれている存在であることも強調したいです。
◎『10話と12話の対比』
10話で竜児に対して「憧れ(=櫛枝)だけじゃ対等になれない、対等になれるのは私みたいな...」と恋愛に参加したい気持ちを漏らす。
だが、12話の大河の親父の件で、竜児と櫛枝が口論になり教室の空気が最悪になった後の場面に注目。
亜美の定位置に座っている竜児。
ここで「そこ私の隙間なんだけど」と言いながら手を伸ばし、2人の位置が変わるのが印象的なカット。
「輪に入りたい」はずの亜美がそう告げ、輪から少し外れそうになっている竜児を、自分を犠牲に戻してあげてるように感じるのは私だけでしょうか。
そして対等な関係を訂正し、少し先を歩くことで、全員の関係性が上手く回るように働こうとしているように思うのは私だけだけでしょうか。
このまま竜児と結ばれる関係になろうと動く選択肢もあったはずなのに、全員をサポートすべく立ち回る川嶋亜美が大好きで仕方ない。
つい感情が爆発したので、巻き戻し巻き戻し。
こうして亜美は"おままごと"をする友達たちが大怪我しないように、メッセージを送り続ける姿勢を優先するのは今後も変わらない。
でも、彼女も恋をして付き合いたいと願う女子高生。
◎『竜児からの豚肉』
ここが今後の展開を掻き乱すポイント。
亜美が最も露骨に報われてるように描写される回。
大人のフリをしてる自分、その姿を真実だと勘違いして受け入れる周りの人間に嫌気がさす亜美。
そんな亜美に豚肉を渡すお節介を焼いて、"子供扱い"してくれる竜児に"救い"を見出してしまった。
この時の竜児に対する気持ちを「赤→青」の信号を用いて演出するのが細かい、気持ちを我慢した"赤信号"が崩壊して"青信号"になり、歯止めが効かなくなって恋愛絡みの問題が起き続けたと思います。
だから高校生らしく自分も輪に入って竜児と結ばれたい"子供"な面が空回りして前に出て、前項で述べた櫛枝に対する「罪悪感はなくなった?」という発言をしたり、修学旅行で櫛枝の叶えられる恋への臆病な姿勢に対して喧嘩を売ってしまう、そして亜美も最悪の事態に陥るのは周知の事実。
でも、彼女もここでは終わらない。
答えを見つける、彼女なりの落とし所を。
◎『進むべき道』
川嶋亜美も見えてるものに気づく。
展開的には先程述べた櫛枝と同じ、でもその答えは十人十色の答えを持っている。
という23話におけるセリフ回しが強かったです。
ここで亜美も見えてるものの輪郭を掴み出したんじゃないだろうかと思っています、皆ではなく"1人"が見てくれるだけで救われるということに
でも竜児はそこまで気づくことができなかった、じゃあ誰がそれを見抜いてくれるのか。
◎『雪合戦』
それは櫛枝実乃梨。
雪に包まれたスキー場で険悪になった関係の2人が、大河と竜児の駆け落ちをきっかけに加速する展開の中で仲直り、そして雪合戦をするという粋な展開は最高です。
"子供"が楽しむ代名詞のような遊び、それを全力で楽しもうと亜美が自分を曝け出す姿を見たのは初めてだったかもしれません。
その相手は竜児じゃなくて、お互いの醜い部分を散々見せ合った櫛枝実乃梨という"1人"の女の子である。
◎『恋じゃなくたって』
こうして回収する、これが高校生活で掴んだ亜美の見えてるものじゃないかなって。大河に比べれば、そして櫛枝に比べれば、小さくて手放しに喜べるものではないのかもしれない。
でも竜児に抱く「恋」の中ではハッキリと見たことがないものに対して、友達である櫛枝実乃梨は「素の顔を分かってくれている」、「素の顔を出して大丈夫」と思える存在が"1人"でもいたら大丈夫であることを傍で教えてくれた、これが彼女が辿り着いた作中に見出せる些細な「幸せ」だったと私は思います。
どこか綺麗事のような結果に見せて、最後に竜児へ「恋じゃなくたって」と遠回しに告白をする、そうやって亜美なりに抵抗するのも良かったです。
今まで耳に届くことがなかった助言や呟いた本音が、竜児が持つ主人公特有の"聞こえない"耳にまで届いたことで少し報われたと思うと涙が出てきました、最終話はここが一番泣いた。何年経っても魅力的なヒロイン。
総括
皆さんは見たことがないものについてどう思いますか?
もちろん竜児と大河は見たことがないものを「恋」という形で見つけたと思いますし、そういう答えに辿り着けた結末には大満足です。
でも、あんなに悩んで駆け抜けた全員の青春に「恋」しか残らなかったら寂しいじゃないですか。
高校時代の恋愛って憧れでもあり、「青春してる」って感覚にもなれて本当に楽しいんですけど、叶わなかったり、叶っても最高の状態でいられる人間の方が圧倒的に少ないわけで。
だからそういう人間にだって、各々が落とし所と向き合って見つけられた「幸せ」のようなものがあれば報われるかな、と思って櫛枝実乃梨と川嶋亜美については特に気持ちを込めて書きました。
この記事が『とらドラ!』に興味を持ったり、読む前より作品への気持ちが爆発する手助けになったら、心の底から幸いです。
最後までありがとうございました。
感想を頂けたら本当に励みになります、辛口でもコメントという存在が一番嬉しいのでお願いします。
あと、拡散して頂けたら泣いて喜びます。
ではでは、また機会があれば!
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