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「夏アニメ OP,EDアニメーション5選」を掘り下げる。

スラマッパギー! 蕩です。
毎クール恒例行事になりつつある「OP,EDアニメーション」を掘り下げた記事を更新する時期になりました。

今期のアニメ面白いです。
個人的には『死神坊ちゃんと黒メイド』の上質な雰囲気がとても好きですね、何より『ラブライブ! スーパースター!!』で完全に心が躍って…踊ってしまったワ。
後は『ヴァニタスの手記』が好き、板村監督の映像構成がやっぱり観ててツボというか楽しいです。

さてさて、今回も"好きなアニメーション"を取り扱って自分なりの妄想全開で書き綴ってみました。
最後まで読んで頂けると、本当に嬉しいです。
貴方のハートにずっきゅんばっきゅん。よろしく!!

①かげきしょうじょ!!(OP)

絵コンテ演出:出合小都美 
総作画監督:牧孝雄, 髙田晃
作画監督:住本悦子

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今期の中でも大人気のOPですね。私も好き。
街並み→学校の順番で絵を見せていくことで端的に彼女たちの登校を示しているように思わせたり、学校→扉が開くことで彼女たちの"夢(=歌劇)の始まり"を予感させる始まり方が楽曲と合わさって、私たちのワクワクを何倍にも跳ね上げているのではないでしょうか。

一方で、これは私たちが「かげきしょうじょ!!」に出会った扉が開くことによって、まるで"歌劇という舞台"に入場するような感覚も抱くと思うんですよね。
やはり"扉"というアイテムは"始まり"の印象を抱かせるには最適なモノで、楽しい幕開けになっています。

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学校生活の描写に加えて、さらさがバレエのようなステップを踏んで同期たちに挨拶する様子を軽やかに映すことによって作品の日常を汲み取れるかなって。

さて、作品を視聴している方の認識は"渡辺さらさ""奈良田愛"のダブル主人公だと思うのですが、ここまで画面の中心に位置し続けていたり、豊かな芝居をして目立ち続けているのは"さらさだけ"なんですよね。
彼女の圧倒的な存在感を強調しているというか、1人でも頂点を掴みそうなイメージがあります。

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ただ、ここで"奈良田愛"に焦点が当たる。
「入学前に桜に魅了された人間はトップになれない」というジンクスに足を踏み入れた少女、ここで彼女もある種の特別なキャラであるということがわかります。
さらに、彼女は桜の木に背を向けて反対側に立っている特別な存在の"渡辺さらさ"に惹かれている様子を瞳のアップから効果的に表現していることから、本当に魅了されたのは桜じゃなくて"さらさ"なのかもしれませんね。

さて、その"特別な2人"が手を取り合いました!
暗い夜の背景に桜の木だけが魅力的な色彩を放っていたフィルムが、手を取り合った瞬間に"全てを色彩豊かに染め上げてしまう"ほどのドラマチックな歌劇物語になっているんですよね。疾走感が頭抜けて気持ちいい。

単純に楽曲が爽快感溢れて素晴らしいのですが、ここで流行りがちな"少女たちの爆発的な繊細さ"などで芸術点に特化したフィルムではなく、ミュージカルらしいステップを踏んで軽やかに駆け抜けていくという"小細工なしの真っ直ぐなフィルム"を届けてくれているのが、作品の雰囲気に合っているんじゃないかなって思います。

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白い薔薇の花言葉は「純潔」「私はあなたにふさわしい」。

「純潔」については、歌詞の「君はまだ何者でもない だから どんな未来だって叶えられる」という、まだ彼女たちが夢に駆け出したばかりの真っ白な状態を象徴。
これから自分たちで"自分を染めていく"ような解釈を抱けるのではないでしょうか。ピッタリな花言葉。

「私はあなたにふさわしい」は、さらさと愛の相互関係を示してるように受け取れるのはもちろん、さらさを含めた"全ての歌劇少女たちが歌劇にふさわしい"という意味を持たせて応援することもできるんじゃないかなって。

また、さらさが目指す"オスカル"のイメージは白薔薇。
現段階では不可能と言われ続けていますが、物語が展開されていく中で「さらさはオスカル(=あなた)にふさわしい」といった結末へ導かれていくことが伺えます。

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OPアニメーション序盤では、さらさだけに焦点を当てるような描き方をしていたのを思い出してください。
その後に2人が手を取り合って駆け抜けた場面(=日々の練習,葛藤)と捉えたとしたら、ついに彼女たちが最大の魅力を発揮する"歌劇(=舞台)"のスポットライトに辿り着いたって考えられることができると思います。

愛の"髪の毛"が伸びていることから彼女の内面の成長が伺えますね、お互いが自身,他人と真剣に向き合った結果に降り立てたステージと言えるのではないでしょうか。

やっぱり2人は「あなたにふさわしい」という花言葉が似合う"出会い"であったことが、舞台で証明されました。
これからも彼女たちの日々を応援したいですね。

②死神坊ちゃんと黒メイド(OP)

絵コンテ演出:大畑清隆

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・『WORKING!!』
・『あずまんが大王』
・『ハイスコアガール』 (下側4枚)

全て大畑さんが携わったOP作品です。
"クレジット表記で遊ぶ"特徴がありますよね。
今回も色々なモチーフを使って影に映したり,ルーレットのように回転させるといった遊び心があって楽しい。

この作品に関しては、考察はいいかなあって。
「生身は無理でも,シルエットは触れることができる」って演出には皆さん気づいてると思うんですよね。
なので、今回は"同じスタッフの特徴,素晴らしさ"みたいな雰囲気を掴む楽しさについて伝えようと思います。

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ということで、最初から魅力的な演出をドン。
ハートのフレームで恋愛要素をこれ以上ないくらいに意識させた後に"アリスが攻める"ことで、"アリスのシルエットが坊ちゃんのシルエットにキスした"事実に皆さんもテンションが上がったのではないでしょうか。わかる。

2枚目はとても伝わりやすい。
"触れられない手(=現実)"を見せた後に、後ろで"触れ合ってる手(=虚構,シルエット)"を見せていますよね。
その後にズーム,お互いが全身を使って歌う芝居の背後では"キスしてる(=虚構,シルエット)"ように見せているのが絶妙にロマンチック。素敵案件が炸裂してます。

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さて、大畑さんが手懸けた『ハイスコアガール』OP。
"シルエット"を画期的に使用する演出を流行らせたと言われている方なのですが、山川監督が指揮を執っている,上質なラブコメ,の共通点も含めて"シルエットが触れ合ってる"演出が前述のフィルムから連想できる。

影じゃなくて"シルエット"という存在はキャラの動きがダイナミックになる印象を持ちますよね、単純に見た目の人数が増えるので凄味が増すと思います。
加えて"お洒落"に見えるので、この2つの印象要素が組み合わさることで化学反応的な効果を得る。

こうゆう特徴を知ったら、前向きな意味で「大畑さんが手懸けるべきOP作品だった」「素敵なフィルムが作られて当然と言える采配だった」という感覚になるかも。

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①死神坊ちゃんと黒メイド
②ハイスコアガール,エイケン,ふらいんぐうぃっち
③~⑤ WORKING!!(1期~3期)

"監督"の主張が激しい。もちろん全て大畑作品。
今回は坊ちゃんとアリスの"傘"が重なって「山川吉樹」を作り出すオシャレな仕上がり。きっと作品の雰囲気,OPの演出構成が上手く組み合わさったんだろうなっていう気が…段々と勘づき始めたのではないでしょうか。
何かおかしいですよね。絶対におかしいですよね。

『WORKING!!』の1期~3期OPで監督の扱いが散々であったり、『あずまんが大王』でも爆発で蹴散らされてるって滅茶苦茶な仕打ちを受けています(笑)
気が向いた方は後で観てほしいのですが、(2枚目左下)に載せた『エイケン』なんて腹抱えて涙出るくらい大暴走してます。しかも監督やってるの…自分じゃん。

誰彼構わず、"監督"を強調する。
だから今回も「山川吉樹」のクレジットが大きくなっていたのは通常運転ということ。むしろ控えめ(笑)
単純に「○○さんが監督だ,○○さんが参加してる」って把握するくらいでも面白いですが、そこから一歩踏み込んで「こうゆう特徴がある」って理解を深めるというか見つけ出してみると、楽しいかもしれないってお話でした。

③ラブライブ! スーパースター!!(OP)

絵コンテ演出:京極尚彦
総作画監督:斎藤敦史
作画監督:市原圭子, 鄧佳湄, 山崎淳

京極監督が絵コンテ演出してる。大歓喜。
今まで私が書いてきた考察的な仕組みを語ってみるというよりは、"MV"のような魅せ方をしているのが特徴的なOPアニメーション。

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背後に回って"ステージ→観客"に届けるような構図は同シリーズで見覚えがある、最終的に精一杯"離れた"ところから映して"新国立競技場"というステージを効果的に大きく魅せている点で"CGの強み"が大活躍してます。

手書きの"引き画"って豆粒っぽく見えるだけの印象になることが多いと思うんですけど、CGの崩れない滑らかなダンスに加えて大胆なカメラワークを取り入れる長所から豆粒どころか"壮大なライブ感"を味わえる開幕。

さてさて、オリ○ピックは基本的に無観客開催。
この状況下と重なるよう"無観客の新国立競技場"に、私たちが応援する"Liella!"が降り立って日本中に元気を与えているってシチュエーションになっているのも見逃せませんよね。"持ってる"としか言えません。

『ラブライブ!』シリーズの1期OPは決勝のアンコールで披露する伝統があるので、この楽曲が2期で歌われるなんてことがあったら楽しみです。ワクワクです。

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1枚目はかのんちゃんが"手を広げる"振り付けをしているのですが、この動きに釣られるようにして"画面全体も広がっている"のが一目瞭然だと思います。

2枚目はアシンメトリーで綺麗に翻る"赤,白"のスカートを画面転換的なアイテムとして扱っています。
この情報だけで、「Liella!ちゃんはクルッと回る振り付けをしているんだろうなあ」って予想を無意識にしてしまうんですよね。実際にクルッと回ってる。

やっぱり"振り付け"などに対する"イメージ"は存在すると思ってて、例えば好きなアーティストの新曲を聴いてて「こうゆう転調しそう,こうゆうメロディーだったら嬉しい」と想像したモノが"ズバッ"とくると、言葉にできない爽快感を得ますよね。それに近いかなって。

最初に述べた通り、これは"MV"のようなフィルムなので視覚的に"単純な爽快感"の威力って半端ない。
皆さんが何故か再生してしまう理由の1つに、"イメージとのマッチ度"が挙げられるっていうお話でした。

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また、OPは"5人を映す"ことが多い。全員が主人公。
この記事を読んだ後にぜひ再視聴してほしいのですが、5人全員を映すことが多いうえに"前に位置するキャラクターと被る"ってことが基本的にはありません。
当たり前かもしれませんが、配慮って大事ですよね。

加えて、控えめではあるものの"微妙に下アングル"でフィルムを立体的に撮る雰囲気が伺えると思います。
この新国立競技場の天井が開けて"青空が見える"という点を最大限活用するように、背景に"青空"がある程度の割合を占めることで"開放感"を存分に味わえる作りになってるのが清々しいフィルムの理由かもしれません。

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澁谷かのん→オレンジ
唐可可→ライトブルー
嵐千砂都→ピンク
平安名すみれ→ライトグリーン
葉月恋→オリエンタルブルー

(メンバーカラー,公式は不明のまま)

さて、気づいた方もいるのではないでしょうか。
これは『ラブライブ! サンシャイン!!』(OP2)から取り入れられたもので、2020年秋クールに放送された『虹ヶ咲学園』でも"虹色(=メンバーカラー)"でクレジットを配色する演出をしています。本当に細かいです。

今回の『ラブライブ! スーパースター!!』も同様にメンバーカラーでスタッフ陣を彩る伝統的な演出が受け継がれていて、個人的には相当熱い演出でした。
最後に彩る濃いピンク色は『ラブライブ!』のロゴカラーになっている部分まで凝っているのに気づくと、何となくクレジットにも愛着が湧くんじゃないかなって。

「Liella!」の可愛くてアイドルらしいステージを最大に発揮してくれていて、本当に嬉しかったです。
これからもワクワクで心躍らせていきましょう!

④ラブライブ! スーパースター!!(ED)

絵コンテ演出:河村智之
作画監督:辻雅俊

FIX(カメラ固定)で全員を"1人ずつ"切り取っている。
OPはMV的な映像でカメラを"動的"に活用している点が良かったのですが、一方でEDは日常的な映像で"静的"にすることで対照的な作りになっているのが魅力。

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彼女たちの"日常"を切り取っている。
私たちが普段生活する中で映る光景って豪快に動いたりすることも、前衛的で目眩が起きそうに動くことも基本的にはありえません。大体が"固定"の部類に入ります。

つまり、この光景に近いフィルムは"自然"ということ。
今回は"長回しレベル"ではありませんが、1人ずつ3~5秒くらいの日常を切り取って"固定"で映しています。
例えば千砂都ちゃんに対して「お菓子好きそう」「お菓子が丸くて嬉しそう」なんて感情を何となく抱いたのではないでしょうか、この感覚って現実でもありそう。

さてさて、誰かと買い物に行ったとしましょう。
隣で「どっちにしよう」って迷う姿を見たら、「○○とか○○みたいなやつ好きなのか」「優柔不断ぽい」って何気ない相手の印象を得ますよね。それに近いかも。

作画の良さ,芝居の良さ,が必須条件ですが、この2つを完全に満たしてる時点で"最高"なのは決まってました。
さらに彼女たちは"スクールアイドル"って輝かしい存在だからこそ、プライベートな様子が貴重なモノとなって届いている点も含めて"FIX(カメラ固定)"の魅力が存分に発揮されたフィルムになっていると思います。

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だからこそ"走る"って動作でついに「動いた」って感覚になると思うんですよね、何かが始まった予感。
『虹ヶ咲』の「未来ハーモニー」PVをやや彷彿させるような展開になっている部分も個人的には熱いです。

さらに、ここまでは穏やかな日常を切り取ったフィルムの構成でしたが、唐突に"表情が見えない"ので「どういう気持ちで走っているんだろう」って視聴者は気になる。

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「かのんちゃんが先頭で駆け抜ける」

「可可ちゃんが段々と疲れて後ろに下がる」

「すみれちゃんが肩を叩いて"先に行くわ"って言ってる雰囲気を出しつつも,目線は後ろを見守ってる」

「千砂都ちゃんが"大丈夫!?"って表情で支える」

「恋ちゃんが優しく背中を支えて前に押し出してあげる」

視聴者が気になるところをグッと魅せる。
"キャラ芝居"の魅力がここに詰まってる。

最初は主人公である、かのんちゃんが皆を引っ張るようにフレームインして駆け抜けていますよね。
次に可可ちゃんが「もう無理です」って表情を浮かべて後ろに下がっていく様子から、彼女が運動苦手って面を表現しつつ"後から来るメンバー"に視線が向くような誘導的役割も引き受けています。大活躍です。

画面に対する視線が最初に登場するかのんちゃんによって"右側"に向きそうですが、可可ちゃんが後ろに下がることで"左側(=後から出るメンバー)"に向く。
最後に登場した恋ちゃんが優しく前に向かって押し出すことで5人が向かっている"右側"に再び視線を誘導気味にしているので、最終的に全員に視線が向く映像構成。

だからこそ、すみれちゃんが"肩をポンッと叩いて追い越しつつも身体を振って後ろを見る芝居"。
千砂都ちゃんが余裕そうに見守ってたけど、"本当に大丈夫!?"って表情から和ませつつ優しく笑う芝居"。
最後にフレームインする恋ちゃんが、"穏やかな表情で前に押し出して頼りになる存在を印象づける芝居"。
この全てのキャラ芝居が一層輝いて魅える。

5人全員の"キャラ芝居"が魅力的であるという必須条件を満たしているのが前提ですが、たった数秒で全員のキャラクター性と物語における役割を端的に表現してしまうフィルムに正直言って脱帽しました。震える。
加えて"スクールアイドル(=青春,学生)"と関連付けやすいように、放課後を連想させる"夕焼け"がノスタルジックな印象を付加していて、控えめに言って圧巻です。

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「Liella!」に加入する順番でしょうか。
コンテ演出の河村監督は、自身の監督作品である『ラブライブ! 虹ヶ咲学園』のOPで単純にキャラ回の順番で登場させたり、EDは"傘の色(=メンバーカラー)"をキャラ回の順番で開くようにしていた(ED担当:めばち)ので、そういうネタを含ませているのかもしれないですね。

これも"FIX(固定)"でキャラ芝居に託しています。
個人的に好きなのは"すみれちゃん""千砂都ちゃん"
すみれちゃんは「買ってきたわ」って台詞が付きそうなレジ袋を持ち上げる芝居,千砂都ちゃんは「カメラだ! おーい! みんな!」って元気に言ってそうな気がしますね。

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また、歴代のパロディにもなっています!
ただ"全員が並んで歌うだけ"だったら、さすがに3世代が同じで若干味気なく感じてしまう可能性がありそう。 歴代の"振り付け(=4つ)"春夏秋冬(=4つ)の中で、「あの振り付けに似ているかもしれない」って感じる程度に寄せているのがリスペクトに溢れていますよね。

また"加入する順番"と思われるギミックを挟みつつ、各キャラクターの個性を溢れさせて"フレームイン"から"ジャンプカット"で映像的な面白さも合わせることで、「新しい,でもパロディ要素も伝わってくる」って最高の形に仕上がってるのが素敵だなあってしみじみ。

"動的"なアニメーションは比較的簡単に「すごい」って感想を抱かせることが可能ですけど、この作品は"静的"にキャラ芝居を描いて想像させたり,「すごい…」と余韻に浸らせてしまう魅力が詰まった逸品だと思います。
『ラブライブ! スーパースター!!』をお願いします。

⑤小林さんちのメイドラゴンS(OP)

絵コンテ演出:石原立也
作画監督:丸木宜明, 門脇未来

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最初から『日常』のセルフパロディ。驚きました。
これに関しては総監督,OP絵コンテ演出の両方が石原監督なので武本監督との深い関連性はわかりません、ただ私たちが待っていたのは"京アニ作品"ということ。
そういう意味では、引き継いだ石原監督が"メイドラゴン2期を作り上げる"といった気概を感じられる幕開けになってるんじゃないかなって。嬉しいですよね。

何と言っても『小林さんちのメイドラゴンS』に合う。
自分の中で完結するオマージュではありますが、このテンポの良いアニメーションが作品と相性抜群です。
必要性の高いキャラクターが明らかに多い作品なので、音楽に合わせたリズミカルな登場から"キャラ紹介"をしてるって考えると、やっぱり効果的かもしれません。

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何となく『らき☆すた』を思い出しますね。
「ダンス作画半端ない」って感想に溢れてましたが、半端ないどころか"何も無い空間"の中で"奥行き"を感じさせるとか尋常じゃないです。意味分かりません。

『ラブライブ!』で"イメージとのマッチ度"は単純に気持ちいいという話をしましたが、これに関しても「愛のシュプリーム!」がラップ調な部分で"トールのヒップホップ味がある振り付け"を当てる爽快感が良い。

ポンポンが画面全体を覆うようにして「カット変わった」と簡単に伝えてくれて、ポンポンを振った方向からエルマが下がる→トールが前に出るって循環するような構成になってて"全体を把握しやすい"のも最高。

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爪なんてなくてもいいのさ。
空なんか飛べなくていいのさ。

この全カットはキャラクター全員について、私の想像を書きたいくらい好きですが量が多くなってしまうので。

「爪なんてなくてもいいのさ」は"爪(=ドラゴンの攻撃的な爪)"であって、獰猛な爪を誇示していたイルルが"人間の爪(=恐ろしくない)"を強調するように手の甲側を見せてくれる芝居のマッチ具合が素敵ですね。

また、今回もチアガールコスチュームで登場。
イルルの手が"ドラ○もん"になった描写のように、"ポンポン(=丸い,痛くない)"を持って穏やかな雰囲気を強調させる小道具芝居が物語の根幹とハマっています。
さらに、手の振り付けが"下→上"と想像しやすくキャッチーな点も含めて、割と頑固な敵キャラとして現れるイルルの印象を優しくしている配慮が好きです。

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2期OP(上側) / 1期OP(下側)

映像の光加減が"似た雰囲気の処理"っぽい。
こうゆう面から"同じ世界"や"同じ場所"のようなモノを連想することが出来ると思うんですよね、他に考えてみるなら『CLANNAD』の別世界の少女といった"概念"的な空間もイメージできそうって気持ちでいっぱい。

1期では"トール→小林"で居場所を与えてくれた感謝の気持ちを精一杯表現するように、涙を流しながら力強く抱き締めることで感情を爆発させています。

2期でも"トール→小林"の矢印は変わりませんが、小林の"内側(=家,気持ち)"に入る展開を醸し出す物語だった1期と比較してみると、雰囲気の似る光の処理を施した画面から翼を広げ飛び出して"小林を連れていく(=外側,様々な世界)"みたいな関係性の変化,繋がりを2期から感じられるんじゃないかなって。

もちろんアニメーション的には"物理的"にトールが小林を青空に連れて行ってるのですが、目には映らない概念といった"精神的"な面に対する解放を演出。
この2つを同時に表現しているのかもしれませんね、日常の中で変化していく"ドラゴン"と"人間"の関係性に悪くない未来を見つけ出せそうな気がします。

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次はこのシーン、今回のシリアス要素。
小林やドラゴンたちと一緒に綺麗な青空を"上手"に向かって飛んでいることに対して、2枚目は何もない砂地の中を"下手"に向かって走っています。
エルマと野営をしてる後ろ姿も考慮すると、やっぱり当時のトールは荒んだ生活をしていた様子が伺えます。

でも救いがあるというか、小林たちと楽しそうに空を飛び回っている"現在""上手"に向かっていること。
確かにトールやイルル含めたドラゴンたちは過去に何かしら争いを経験したり,現在進行形で背負っている者が多いですが、"今は良い方向に向かっているんですよね"。

これからも異種族間やドラゴン同士が抱える問題は尽きないと思いますけど、結局は全体的に明るい未来が待っている,走り続けていることを示唆している気がします。

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「石原監督が全然グルグル回さない…?」って不安に思った方も一定数いるのではないでしょうか。

ゆっくり"2人"が回りました。謎の安心。
前半のテンション高めでリズミカルな雰囲気とはまた違って、回想直後に"夕焼け"を加えたノスタルジックな印象に切り替えてセンチメンタルな印象を与えていることから、『小林さんちのメイドラゴン』が持つ特有の"日常とシリアスの共存"を描いていると思います。

ここで放送は「シリーズ監督:武本康弘」という記載。
皆さんがOPアニメーションの中でどの場面が好きっていうのはバラバラだと思いますが、特に印象に残ってる部分を聞かれたら一番多く挙がりそうですよね。
絶対に目に届いてほしいクレジットを"絶対に目が届くシーン"に抜擢する温もり。2期も変わらず素敵です。


総評

『平穏世代の韋駄天達』のOPアニメーションが冴え渡ってて好きなのでピックアップするかどうか少し悩みましたね、"タイトル崩壊(最初)→タイトル再生(‪最後)"のように"循環"している構成が韋駄天の生態っぽい。

今期の中で皆さんはどのOP,EDがお気に入りですか?
私は『ラブライブ! スーパースター!!』(ED)が特に好きで仕方ないです、今期のED作品の中で…いやOPも含めて最も完成度が高いんじゃないかなあって思いました。

「すみれちゃん推しになりそう」「千砂都ちゃんもクソ可愛い」なんて散々言ってますが、恋ちゃんが優しい表情で背中を支えてあげるシーンを覗き見してしまってから動揺してます。誰を推していいかわからない。

今回は『死神坊ちゃんと黒メイド』(OP)で同じスタッフが作っている特徴の面白さであったり、『ラブライブ! スーパースター!!』(ED)で"カメラワーク~芝居"の魅力的な描き方であったり、考察とは別の新しい視点からも書いてみました。あんまり面白くなかったらごめんね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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