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2023年アニメ5選を振り返る

お久しぶりです。誠にお久しぶりです。
蕩です。今ものんびり趣味を楽しんでいます。

こんな風に記事を書いている余裕があるのかと問われれば「全然ない」と即答するくらい余裕はないのですが、何となく「また文章書きたい」と思ってしまったので筆を執ってみました。

今回は「2023年アニメ5選を振り返る」です。
昨年も書きましたが、今年も頑張ってみます。

最後まで読んでいただけたら幸いです👨🏻

①『スキップとローファー』

まずは『スキップとローファー』です。
なかなかに素晴らしい作品だったと思います。

学園ラブコメ系って「バランス感覚」が非常に難しいジャンルだと勝手に思っているのですが、その難しい「バランス感覚」を的確に扱えたから人気作品になったのではないでしょうか。

今回におけるバランス感覚は言わば「リアリティライン」と言いますか、あまりにも現実離れまたは生々しい物語によって視聴者が線引きした理想的イメージ(=リアリティライン)から遠くなってしまうのを最も避けたかった中で、本当に最後まで「バランス感覚を保ち続けた」ことが大正解だったと思います。

私の中で、高校時代に抱える共通した人間関係の感情は大小それぞれ「嫉妬」だと考えています。

例えば、自分よりも勉強や運動が優れている人間を見てしまったり、自分の好きな人が他の人間と付き合ってて苦しかったり、上手くコミュニケーションを取れてる人間が羨ましかったり、適当に挙げるだけでも結構あったりしますよね。

この作品も主要キャラの中で、
・「梨々華➞志摩」
・「高嶺先輩➞風上先輩」
・「ミカ➞美津未」
・「誠➞結月」
などなど、それぞれ物語の中で「嫉妬」を孕む描写と展開が組み込まれており、基本的には高スペックではない人間が羨む矢印で共感性が強い。

そんな彼らが「嫉妬」と向き合って、更に大袈裟に言うなら「嫉妬をしている対象の人間」と向き合っている姿に感情移入してしまう、または逃げてしまったあの時の自分を思い出して胸が痛くなる感覚が心地良かったのかもしれません。

ただ、私がこの作品を好きな理由として「誰でも嫉妬を抱えている」があるという事で、それは周囲の誰もが羨む「志摩」すら自分以外の人間に非常に大きくて暗い感情を抱えていたことです。

私は偏屈な人間なので、様々な背景を加味したうえで「恵まれている人間」は嫉妬という感情とは無縁と考えている節もありますが、フィクションの中でも冷たい世界なんて寂しいですよね。

むしろ、世間的には田舎から出てきて「何もないはずの美津未」が唯一の嫉妬だけされる対象であり、それは単純に「誰からも好かれる人間性」というアンサーが自分の中ではとても好みでした。

この点が最初に伝えた「バランス感覚」で、本当にここまで優しい世界があるのかと問われれば口を閉じてしまいそうですが、記憶の中にある確かな想い出を呼び起こしつつも、全てそれを「良い思い出」として昇華してくれる塩梅が素敵です。

イメージ的に「嫉妬」は醜い感情で、抱えていない事に越したことはないかもしれませんが、多感な時期を過ごす高校生が「醜い感情と向き合って成長する過程」ほど、キラキラした瞬間はないのかもしれないって改めて強く思いましたね。

メタ的な話で言うと、アニメ作品には溜め回と言われるものがあると思うんですけど、現実の高校生活には溜め回なんてないので、そういった解釈でも毎話が面白くて人間関係とドラマが繋がっていく今作はとても良かったと断言したいです。

②『天国大魔境』

本当に面白かったです。『天国大魔境』です。
最も面白かったと胸を張って言える作品でした。

ジャンルとしては「SF」になるのでしょうか。
そこら辺の造詣は深くないのですが、相当な量の設定を詰め込みつつも散りばめた要素を繋ぎ合わせることは欠かさない繊細さ、そして繋ぎ合わせる中で更に謎を生むワクワク感は絶品でした。

こうゆう系統の作品って個人的に「シレッと投げ込んだ情報」が実は大切とか、回収するまでの時間が長すぎて忘れてしまうとか、何かそうゆう面が目立って毛嫌いされると思うんですけど、そういった大事な要素を「如何に印象に残るよう映像とするか」に長けていたのが素晴らしかった。

・8話 藤田春香さん絵コンテ回
・10話 五十嵐海さん絵コンテ回

この話数は視聴後に動けなくなりましたね。

両話数とも、それぞれ物語に寄り添った画面の解釈は様々な方がされていると思うので割愛させていただきますが、やはり共通して圧巻であったと断言できる部分は「静的な画面」にここまで強い衝撃を持たせることだったと思います。

所謂「神回」と呼ばれるものは、超絶アクション作画または超絶展開であり、今作は当たり前のように毎話「超絶アクション作画」を繰り広げているわけですが、その中で「瞳のカット」と「銃口を突きつけるカット」は際立っていました。

両カットとも動きのない画面ですが、流動的で衝撃が分散しやすい「線」のアクション作画と比較してみると、この「点」と捉えられる画面を各話数の最高到達点に抜擢して記憶に植え付けるという所業には本当に感動してしまいましたね。

今回はこの2カットだけ挙げましたが、前述の通りに「如何に印象に残るような映像とするか」を体現しているからこそ、「SF要素」が入り組んだ複雑な構成であるのに「ちゃんと要素を覚えていて面白いまま観ることができた」のかもしれないと、個人的にはそういう風に考えています。

また、これを言ってしまうと元も子もないですが、結局のところは声優さんの名演技や場面場面にピッタリで没入感が増す音楽であったり、全てが上手い具合に噛み合ったからこそ、ここまで面白い作品が生まれたんだろうなって思います。

物語に関してもう少し深く言及するならば、2つの陣営を同じ濃度で描写するというなかなか難しそうな部分を確実に表現できていること、今作が持つ世界観と設定を寄り道せずに確立できていること、その中で生き続けるキャラの心情に剥離がなくて作品に入り込めること、こういった要素が私の中に強く突き刺さりました。

まあとにかく、本当に本当に続編をください。
この後も今年のベストアニメを選出して感想をあれこれ語っていますが、単純に面白くて面白くて再生ボタンを押す手が止められなかったのは今作だけだったと言い切れるくらいに面白かった。

③『僕の心のヤバいやつ』

大好きです。『僕の心のヤバいやつ』です。
涙腺と口角が緩んで弛んで仕方ない作品でした。

構造的には「冴えない男子と爆イケ女子」が惹かれ合うという、まあ最近では定番に近い形のモノかもしれませんが、やはり「男が面白いラブコメは面白い」の謳い文句に間違いはなく、主人公である市川のキャラクター性をはじめ、登場人物全員が魅力的なのも印象的だったと思います。

更に、その中で強烈な青春のセンチメンタルと身に覚えのある「後悔」を思い出しながらも、心が豊かで綺麗になるような描写が大変多かった。

それが顕著だったのは「11話」でしょうか。
先輩に山田の連絡先を聞かれ、普通なら流れで教えてしまったり、断るにしても山田が嫌がっているという「本当の理由」を添えて遠ざけるのが無難なラインだったと思うんですよね。

ただ、市川は怯みながらも「ありません。俺が嫌だからです。」と答える誠実さがたまらなく好きで仕方ない描写だったと言いますか、ここまで描いてきた「市川京太郎」という周囲の人間から少し外れた趣味嗜好を持ちつつも、信じられないくらい紳士で心が綺麗な優しい人間であることを証明した瞬間が鮮明に描かれて涙腺が大変でした。

そして、萌子のフォローも忘れられませんね。
この作品が比較的優しい世界で成り立っている事は前提にありますが、やはり後輩の女子生徒が先輩に強気に出るというのは難しいもので、どうしても怖さが勝ってしまいそうなところを「友達なんで」と言い切り、頑張って踏み出した市川を連れ出す行動力には不覚にも感動しましたね。

何と言いますか、中学生の時でも現在でも誰かのためを想って行動するべきなのに自分を優先してしまったり、誰かが頑張っているのを分かっているのに手を差し伸べる事が出来なかったり、そんな瞬間って誰にでもあると思うんですよね。

そんな後悔を突き付けつつも、彼らの成長という意味合いを含ませつつ「親しい人間にはこうやって接しよう」と忘れてはいけない感情を再び思い出させてくれた話数であり、魅力的なキャラ達を象徴する話数だったとも改めて感じています。

この作品は前述した『スキップとローファー』と比較して、極度の厨二病や超売れっ子現役モデルがいるということで、青春ラブコメの枠としては設定のリアリティが薄いのかもしれません。

特に「厨二病」はシンプルに痛い人間と感じてしまう属性ですが、個人的に市川の厨二病という属性は「趣味嗜好」と同時に「馴染めていない自分を正当化する」ための武器だったのではないかなって考えています。正解はわかりませんけどね。

だからこそ、その「厨二病で武装した内側(=非現実的なモノ)」を破壊するために必要なものとして描かれていた要素である「純度の高い恋愛(=現実的なモノ)」が際立つという、そういった構造が本当に素晴らしかったとしみじみ思っています。

ここまで総括という意味で物語に関して触れましたが、今作は映像面も素晴らしくて演出が冴え渡る画面を続けることが出来たことも含め、とても良い作品であったと断言します。最高でした。

④『16bitセンセーション』

さて、『16bitセンセーション』のお話です。
オリジナルアニメを選出できる喜びで焦点寸前。

昨今は「オタク」が市民権を得ているかのように思われがちであり、アニメ作品でも「オタク」に寄り添うものは増えてきましたが、あまりにもステレオタイプ的な概念を押し付けられて辟易しているところを今作が救ってくれました。

終盤の展開に全然言いたい事がないと言えば嘘になるかもしれませんが、作品のテーマにおける「熱量」というものの解釈を深く捉えて提示し続けたことだけでも価値があるの思うので、自分の心に従って選出することとなりました。

私が感銘を受けたのは、秋葉原を「コノハみたいな人間(=オタク)が過ごせる場所」と表現していた台詞で、時代に伴って特定の属性を揶揄することは良くないという風潮にある中、どうしてもオタクである自分を卑下してしまう言い回しが根源的なオタクのマインドに感じられ、心がジワっと温かくなる気持ちになったんですよね。

この台詞を聞いた後に少し自分の中で考えてみたのですが、私は自分が好きなコンテンツは勿論のこと、そのオタクコンテンツを好きな人たちで構成された空気(=秋葉原とか現X)まで含めた文化的存在が好きなんだろうなって思いました。

一歩外に出てみると、その文化的存在は異様な空気感で気持ち悪いのかもしれませんが、その輪の中にいる人間たちは確固たる「熱量」を持って笑顔でいられるような、むしろ「確固たる熱量」を獲得している人間のみで盛り上げるコンテンツだからこそ好きでい続けられるといった、そうゆう構造を端的かつ熱量を帯びたまま表現してくれたのが今作だったと強く感じています。

他にはやはり「経験に基づく推論」「想像力(=創造力)」の問題提起であったり、副題である「ANOTHER LAYER」が何を意味するのか考えてみたり、ただ受け取るだけではなく、視聴者に委ねて考えさせてくれるのも、オリジナルアニメとして素晴らしい役目を果たしていたと思います。

私の中では、例えば、何かしら作品を堪能している中で「こうゆう展開になるんだろう」って経験に基づく推論を覆された時に「面白い」と強く感じる印象がありますし、その覆された部分こそクリエイターたちが必死な想いで生み出した「想像力(=創造力)」なのかなって考えたり。

あと「ANOTHER LAYER」に関しては、積み重なってきた技術(=例えば98パソコン)を表現しているもので、私たちが現在パソコンを使う中で「98」の存在は知らない人間が大多数であるように、特定の技術自体は段々と消えてしもうのかもしれませんが、それを分解して層にすると「確実に98はあった」と捉えられますよね。

それと同様に、美少女ゲームまたは秋葉原という文化が現在も存在する中で流行り廃りは確実にあったと思いますが、その廃りまで含めて「現行の文化を愛する」といったメッセージ性であり、そこに新たな層を付け足したのが今作なのかなって個人的な解釈として残しておきます。

最初は懐古をくすぐられるだけのオリジナルアニメだと思っていましたが、強烈なメッセージ性とそれらを深く包み込むような優しい熱量を残してくれた今作には感謝です。オタク最高だ。

⑤『葬送のフリーレン』

まだ終わってない???本当に???
その通りです。『葬送のフリーレン』です。

物語として「作品らしい設定」はあまり特徴的なものがなく、王道ファンタジー作品と称して差し支えないと思いますが、それなのに何故この作品がここまで面白いのかと問われれば、嫌味や押し付けを綺麗に削ぎ落とした「教科書」を読んでいる気持ちになれるからではないでしょうか。

また、映像面の安定感が飛び抜けており、この作品が伝えたいメッセージを受け取るために必要な没入感を「キャラクターの芝居」によって生んでいることも選出の理由になっています。

葬送のフリーレンには度々「そうやって考えた方が都合がいい」と物事を捉える場面があり、それは例えば「天国は存在する」「女神様や祈りは存在する」といったものなのですが、私はこの考え方が本当に大好きなんですよね。

本来、宗教的なモノの存在意義って人々の精神的なサポートをするものだと認識していて、その思考自体はとても素敵だと思うのですが、昨今の悪徳商法や宗教団体の影響で「ヤバいもの」とだけ捉えられるようになり、このような創作媒体においてもそうゆう系の「ギャグ」と描かれる。

ですが、フリーレンは作品における世界観と背景を最大限に活かしつつ、どこか歴史の一部にあったかのような物語の中で「存在すると考えた方が都合いい(=気楽)」と伝えることにより、その存在または思想自体を素晴らしいものとして本来の意味合いを届けられる姿勢が大好きです。

また、この捉え方っていうのは現実世界でも通じるものがあると思ってて、やはり生きている中で余計なお世話をする人間が「あんまりそれ意味ないのでは?」とか「必要ないのでは?」と言ってくる場面がある中、自分の中で「まあ私が意味あると思ってるからいいんだよ」なんて都合のいいように進むための背中を押してくれる、そういう台詞になっている気もしてしまいます。

魔王討伐を成し遂げた世界の後、フリーレンが価値があるのかないのか分からない魔法を集め続けて旅をしている、フェルンとシュタルクが互いの師匠に言われるがまま旅をしている、そんな彼らのここまでの行動すべてに意味があるのかと問われれば分かりませんが、彼らにとってもきっと「都合がいい」から旅をしているのかもしれませんね。

個人的には、話題作に必須と呼べる「展開」がない作品だとは思いますが、長い旅路(=人生)の中で毎回のように手に汗握る展開が訪れていても心臓が持ちませんし、これくらいの質感で歩みを続けていくのがちょうどいい気がしますね。

その質感の中で生まれるからこそ、思考に変化が生まれる度に「なるほど」と説得力が付与されるとともにキャラクターと物語への愛着も増していくのではないだろうかって気持ちでいっぱい。

また、こうゆう系の作品は感動の押し売り、または綺麗事の思想を押し付けた自己啓発になりがちですが、フリーレンが私たちとは違う「長寿」の立場によって時間的解釈が異なることを活かし、共に学んでいくような物語構造になっているからこそ、そのひとつひとつが心の中にスっと入ってくるのかもしれません。

まだまだアニメは途中ではありますが、有難いことに高クオリティを保ち続ける福士班が担当しているので、このまま安心して見続けられることだけは担保して話を終わろうと思います。

総括

皆さんの「2023年アニメ大賞」は何ですか??

私は正直なところ『天国大魔境』ですね。
即答できるくらいには面白くて大好きです。

久しぶりにブログを書いたので、お見苦しい文章だったかもしれませんが、とりあえず最後まで書き切ることができて満足していますし、ブログ活動をこのまま再開することができたらいいと考えているので、何か題材でもあれば教えて欲しい気持ちを強く強く植え付けて終わりにします。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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今年も本当にありがとうございました。
では、良いお年🌅そして良いアニメライフを🌅

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