025『和歌山を歩く2』

025『和歌山を歩く2』

文:守屋佑一

日付が変わり7月6日。

友達から借りたたくさんのCDをお供にした道をひたすら走る。

目的地は和歌山。

熊野古道とパンダを見ること以外の目的はノープラン。

翌7日も大学の授業がないので8日までに帰ればいいことを考えると時間は膨大にある。

コンビニでお菓子やジュースを調達以外の休憩はほとんどなく、ひたすらに走り続けた。

夏の夜は短い。

いつしか空が明るくなり朝になった。

集中力が落ちてきたこともあり、愛知県のコンビニで朝飯を食べて仮眠をとろうと目を瞑った。

運転している時は今にも眠りそうなほど眠かったのに、いざ眠ろうとすると暑さの影響もあり、なかなか眠りにつけなかった。

少しの時間が経ち、眠りの世界と現実世界の狭間を行ったり来たりしていると

「どーん!!!!!!」

というものすごい音と振動で目が覚めた。あまりにも大きな音だったので自分の車に他の車が突っ込んできたのかと思ったが自分も車も無傷。

体を起こして外を見てみるとそこには大きなトラックと大きなトラックがぶつかっている光景。

こんなところにいたら、寝ている間に無事では済まないかもしれない。

恐怖にかられ、パニックになり、あわててコンビニを出た。時計に目をやると眠ろうとしてから30分も経っていなかったが、ショックの大きさからか眠気は完全にどこかにいってしまった。

またしばらく車を走らせるとだんだんと山の中になっていった。いまとなっては写真も残っていないし、自分の少ないボキャブラリーでは表現しきれないのが超絶悔しいのだが「ものすごい」山の村といった感じだ。コンビニもなく、山々の間を抜けていく感覚。確か三重県だったと思う。

ガソリンスタンドのおじさんがとても訛っていたのが印象的だった。

そこからひたすら進み、和歌山県に到達。特にまちなかで寄ろうと思っているところもないのでパンダのいる白浜を目指す。道中にちょうど熊野古道の入り口もある。そこの駐車場に併設されている土産屋でさんまの棒鮨を購入し、早めの昼食とした。

腹ごしらえもすんだところで熊野古道に足を踏み入れる。

ちゃんと制覇しようとするとかなりの時間がかかるので、少しだけ歩くぐらいで後にする。7月の陽気でちょっとだけでもかなりの汗だくになった。またいつかちゃんと行きたいと思いつつ2017年7月現在一度も再訪していない。

車に戻り、この旅のメーンイベントであるパンダのいる動物園に向かう。

今になって冷静に考えると22歳の男子学生が一人で動物園にパンダを見に行くってどうかしてるような気がしないでもない。

ただ、動物園は楽しいので機会があればここに限らず一人でもまた行きたいが忙しさを言い訳に全然動物園には行けていない。

動物園に入場し、お目当てでもあるパンダゾーンに直行。

たくさんの人がいたが、パンダはよく見えた。

愛くるしい仕草。あざとい笹の食べ方。

訓練されたプロのアクターが中に入っているのではないかと本気で疑った。

すっかりパンダに夢中になり目が離せなかった。

パンダが来るとメディアが大騒ぎしてみんな見に行く。それを滑稽だなと思って見ていたのは僕の大きな間違いだったのだ。

その後パンダ以外の動物も存分に満喫し、動物園を後にした。

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