ストライクウィッチーズ_501部隊発進しますっ_SID0040908

2019年春アニメ感想 ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!

この記事は、もともとは2019年7月1日に掲載予定だったものです。事情はこちら→ご無沙汰しておりました。

 ストライクウィッチーズ番外編。短編シリーズ。
 本編に全く触れないギャグもの。『亜人』や『ヴァイオレットエヴァーガーデン』が本編の○話~○話の間、とあるのに対して、『ストライクウィッチーズ』は本当にどこにも接着しない。かなり軽い作品として描かれている。

 …………。
 絵がかなり緩い。ギャグものであるから、本編より作画緩めに描く、というやり方は良い。アニメーションはほぼ動きがなく紙芝居。まあ予算が出なかったんでしょうね。予算がないならないで、紙芝居的な絵で見せていく……そういう作品もありかと思う。実際に、作品は声優の勢いでかなり楽しいものになっている。

 しかし……この絵ではないでしょう。この絵でアニメを制作するべきじゃないでしょう。
 ギャグものを作るにあたり、戦略的に絵にデチューンをかける、という方法自体は間違っていない。しかしこの作品の場合、意識的に絵を崩しているのではなく、予算的都合で結果的にそういう絵になってしまった、というタイプの絵だ。演出意図を持った絵ではない。
 BGMもほとんど使われおらず、作って出しっぱなし。シーンそのものに色を付ける、という作業がまったく挟まっていない。素材を作ってそのまま出したかのような作品になっている。

 それでも、声優の芝居で面白くなっている。面白さの8割くらいが声優の実力で、もういっそ、CDドラマに絵が付いている……くらいの内容だ。

 これはテレビで配信するアニメーションのレベルに達していないんじゃないだろうか。プロの作品というより、インディーズのクオリティ。予算規模も、おそらくインディーズくらいしか出ていないんじゃないか。何かのオマケで付けるぶんには問題ないかも知れないが、これをテレビ放送してしまうというのは、かなり勇気がある。

 ギャグの内容も、『ストライクウィッチーズ』本編を知っていることを前提としているのも、どうかな……と。こういう性質の作品の場合、仕方ないところは結構あるけど。

 最近はいろいろありすぎるKADOKAWAだが、KADOKAWAは果たしてコンテンツを大事にするつもりはあるのだろうか。作品やキャラクターは摩耗するもの。出せば良いというものではなく、しっかりクオリティコントロールして、ここぞというべきに出すべき。「とりあえず出せば良い」ものではないのだが、今回の『ストライクウィッチーズ』は完全に「出せば良い精神」で作られてしまっている(ギャグもの短編ミニシリーズ……というところまでは良い)。次シリーズの間を埋めるため、という意図があったにせよ、これだと次シリーズに向けたブースト効果にもならない。

 『ストライクウィッチーズ』は長く続いてきたシリーズだが、コンテンツにもう勢いはないのだろうか。すでに“見放された作品”なのだろうか。KADOKAWAサイドからの愛着はまったく感じない。
 この作品が、終わりつつあるコンテンツの象徴にならないことを願う。


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