引きこもり予備軍がポケモンに救われた話
はじめに
ポケモンSVとは「宝探し」を通じて描かれる、ある学生の物語である。
このnoteは、宝探しを通じてクソな現状を打破する手がかりを見つけた平凡な学生の話である。
お話の性質上自分語りが多めですが、最後までお付き合いいただければと思います。
当然のようにネタバレ成分濃いめです、ご注意を。
1
自己紹介
はじめまして、僕です。
ゲームと創作活動が趣味な典型的オタクやってます。絵、小説、モデリング、映像制作などわりとなんでもやります。
ポケモンにわか、プレイ済本編はムーン(3DS)のみ。リラちゃんがめちゃ好きでした。
今作はスカーレットのみ所持、推しはチリちゃんとオモダカさんです。
初めて会った時の「ほえ〜関西弁…ふむぅイケメン枠かな………じょっ女性ェッ!!!?????」のギャップでチリちゃん沼に一瞬で突き落とされ、資料集のノースリーブでオモダカさん沼にズブズブになりました。イケ女と幼女とイケおじで構成されたセイヘキヘヴンことパルデアポケモンリーグ、最高です。来世はリーグの床に転生しようと思います。
強火オタクここまで。
現在16歳の一般高校生ですが、12月頃まで学校に行くことができていませんでした。とはいってもスター団の子たちみたいにいじめられていたりとか、仲間がいてそのコミュニティを守っていたりしたわけでもありません。あくまで個人的な理由で塞ぎ込んでいただけです。
不登校経験者を名乗るには歴が浅い気もしますが、中学校までよっぽどの事がない限り欠席しない真面目ちゃんだった僕としてはちょっとした異常事態でした。そういうわけで、便宜上そういう言葉を使わせていただきます。
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不登校に足を突っ込むまで
なんで僕が不登校になったかというと、学歴コンプこじらせが主たる要因でした。
中三時代、受験校を本格的に決めろと言われだす季節ギリッギリに「これくらい行けるやろ」とテキト~に学校名を書いて志望書を出しました。
そして受験したのは県内トップの進学校。こいつマジかよ。
その年は運よく定員割れしたのでクソ成績でも何故か受験に成功しました。
自尊心のピークだったと思います、不幸中のWi-Fiとはこのことですね。
そして始まった新生活、初手から周りのレベルの高さに打ちのめされました。
中学受験を経験してきた勉強貯金法豊富勢の存在。あいつらはヤバい。
ドアホ公立小中学校産の僕、つるかめ算とか知らない。しかも平気で数検英検二級とか持ってる。もうお前ら高卒認定でいいよ。
たぶん地方と都会の教育格差くらいひどい。
今まで適当にやれば学年トップに食い込めていたテストは努力しても真ん中くらいにしかなれない現実。勉強以外にスポーツができたり楽器がとんでもなく上手かったり、生徒会でバリバリ企画をしている人がゴロゴロ転がってる。自分には何もないと気づくまで、秒読み開始。
そりゃ今までまともに努力したことなかったし当然か。
完全に自業自得なのに落ち込むことが多くなり、次第に勉強に身が入らなくなり、さらにはせっかく買い換えたゲーミングノートPCに入れた好きなゲームにも集中できなくて楽しくなくなって、少しずつフェードアウトしていくことになります。
具体的にはV○LORANTのランクが一生アイアンでハードスタックするくらいにはひどかったです。いや今もアイアンなんだけどさ
絵も下手くそすぎてぜーんぶが嫌で仕方ありませんでした。
そんな虚無な生活を続ければ当然ながらさらに落ちていく成績。学年下から数えた方が早いなんてはじめてで、自分にいい所なんてひとつもない!こんなの自分じゃない!あれ、自分って何だ…と堂々巡りが始まり、現実から逃げるようになり、こうして引きこもりが爆誕したのであります。オギャア👶
結局受験って学力の近い人間を寄せ集める行為なので、自分と同じくらいの成績の人間が集まるんですよね。んでよりにもよってトップ校を選んでしまったので、自分より上の人間も凝集していると。
そんな大海に井の中の蛙をポイッと放り込んだらどうなるか。
海の青さを知る前に溺れ死にます。それが僕です。
そして精神だけでなく身体にも異常が出始め、食事中に座っていられなくなったあたりで精神科に通院するようになりました。ちなみに今もまだ通院してます。
その頃に書いたメモがあったので載せておきますね。原文そのままなので読みにくいと思われます、適宜読み飛ばしてどうぞ〜
あのね、わかったんだよ、自分が人を頼らない理由。まず自分が醜いと思ってるからは勿論でしょ、努力してるところを他人に知られたくないからだよ。それで失敗したら嫌だからだよ。せめて努力は報われるっていう夢物語を俺の前では信じててほしいからだよ。結局エゴイストの癖に、それを人のためだと思っているんだ
正直辛くて仕方ない。眠るのも怖くて今0:47だけど布団にすら入っていないよ、全部怖い嫌だ死にたいけど周りに迷惑かけたくなくて死ねないよ死なせてほしいよ
空腹と吐き気の区別がつかない。肉体が「死ね」って言ってるみたいで気色が悪い、世界から拒絶されている感がすごくずっと涙が出る。鬱だとは認識されてない気がするし鬱を名乗るのもおこがましいような気がして結局何者にもなれない感が助長されていく
1時間泣いて過呼吸なった苦しかった、助けってどうやって求めるの?どうせ誰も気づかんし死んだら誰が泣いてくれるんだよ。その確証もないなら死んだ方がマシ
23:14、眠気なし ただ手がうまく動かない。エネルギー切れな感じ、寝てみる
鬱病って現代人の流行り病みたいなところもあるのでこれだけは肝に銘じておいてほしいんですが、
「寝食がままならなくなったら病院行け」
寝る事食べることは生物としての基本機能なので、できなくなったら病気を疑ったほうがいいです。甘えとか言ってる暇あったら受診してください。
3
本題:ポケモンSVをプレイした感想
引きこもり、遂にポケモンを買うの巻。
実を言えばポケモン新作には全く興味なくて、DLするその時まで事前情報一切なしだったんですよ。ネタバレ忌避勢としては結局よかったと思いますが。
ちなみに購入の決め手はキャラメイクです。あ、以前に原神や幻塔などのオープンワールドゲーにハマっていたこともあるかも。
それだけパッと見てわかる魅力的な要素が詰まってたってことだ!!技術力スゲ~!(投げやりのキマワリ)
キャラメイク楽しいよ~~~~~
性癖モリモリ中性系主人公ちゃんが作れて最高でした。(直球)
目の色やまつ毛の種類が豊富で目元からバチバチにこだわれるし、生まれ持った目の色じゃなくてカラコンってテイなのもよかったです。あと口。猫口があって嬉しくなりました、へにゃっとしたおくちほどかわいいものはない。
ショートカット系のバリエーションがいつものから始まりピクシーカット、ツーブロック、スパイラルパーマ……と続いていき、ショートヘアにフェチを見出している僕は歓喜しました。最高!でもミディアムとかギブソンタックも可愛くて目移りしてしまう…
ストーリーがいい
みたいなのをネットでよく見かけました。
過去作ほぼほぼプレイしたことない勢が言うのもなんですが、
めちゃくちゃに
良質な
青春の味がする
(後方腕組みおぢさん並感)
すんばらしいストーリーだと思います…(ちゃんと買ってやったのはSMだけです)
厳選、対戦、色違い収集勢にとってはストーリークリアまでがチュートリアルとも言われがちなポケモン。
チュートリアルで終わらせるにはあまりに勿体ない…!!
個人的にいいなと思ったポイントは
思春期の苦悩、友情
ライバルとしてではなく、ライバルになるまでの成長の物語
いじめに関する描写
子供を見守る大人たち
冒険のワクワク
あたりですかね。
まずパルデア組それぞれのキャラ付けは
ネモ→天才生徒会長、右に出るスクールの友達がいない
ペパー→親がいない、愛犬(ポケモン)を治すために一人で頑張っている
ボタン→いじめを受けて不登校になり、スター団を解散させようとする
主人公→サンドイッチ狂
こんなかんじでまとめられます。
みんなどこか不完全なところを持っていまして、完璧な主人公でもなんでもなく、自分のあり方を探し求める等身大な思春期の少年少女そのもの。
彼らが主人公との出会いを通じて互いに惹かれあって、自分の課題に対する答えを見つけたりして、みんなでパルデアの大穴というまだ誰も知らない土地に踏み込んでいく…という。
ネモは本当のライバルに出会って、ペパーはマフィティフを治して親に別れを告げて、ボタンは本当の顔でスター団のみんなに会って友達になる。
おおよそ一本道で課題解決に向かう素直なストーリーではありますが、過去の苦悩や葛藤が垣間見えるシーンが挟まることで報われてよかったなあ感がすごくありました。
自分が冒険を進めていく中で誰かの青春に立ち会える体験、非常に好きです。
一方で主人公は一生サンドイッチを食ってる。ブレねえなお前は
今までのポケモンはライバルと一緒に成長していく物語が一般でしたが、今作はネモのライバルになるまでの成長の物語だったわけです。
「会長とはバトルしたくねえ」「天才だもんね」
とずっと言われてきたネモは力こそあっても一人ぼっちだったから、横に並べるように成長してきた主人公は救いだったんだろうなと。
生徒会長をやっていて運動も万能で常にテスト学年1位みたいな、三次元版ネモみたいな友達がいるんですが、彼女もたしか「努力はしてるんだから天才とは言われたくない」と言っていた記憶があります。
天賦やあげられた成果もそうなんですが、それ以上に努力してきたことって認められるべきですよね。ネモも足掻いてきたはずなんだ。努力を共にするライバルが欲しかったんだよな。
んでいじめの描写について。いじめそのものを直接描いている訳ではなくて、その傷を持った子供たちという感じでしたね。
でもすごいよスター団、普通いじめられたら怖くて声もあげられないものなのに、団結してスターダスト大作戦なんて起こしちゃうんだから。彼らは自分を、友人を救うために動ける強い子供たちだ。
ボタンについて思っていることがありまして、
「なんでボタンはイーブイが好きなのか」ということ。
イーブイはどんなタイプにも進化できる可能性の塊だけど、逆に言えばそのままなら没個性とか自分が分からない状態だと思うわけです。要するにモラトリアムに囚われた状態というか。
ボタンも不登校でこの先どうしていいか分からなかったり、居場所だった団をなくそうとしたり、自分の中に矛盾を抱えてるとしたら、それとイーブイを重ねてるから好きなんじゃないかなと思います。
だからこそマジボス戦の
「なりたい自分に変身しろ!(フェアリーテラスタルニンフィア)」
はグッとくるものがありました。相棒がなりたい姿になることで、ボタン自身も変化を肯定できたのではないかなと思います。
そのあとのお疲れ様でスター!で涙腺がちょっと緩みました、僕も歳を食ったな。
今作の学生トレーナーは子供だけじゃなくて大人の学生もいましたね。アカデミーは大学のような教育機関で、義務教育でもなく試験さえ受けられれば入学できる感じなのでしょうか。
広い幅の年齢の人がいる中で生徒会長というトップに君臨しているネモはやっぱりすごい。ポピーちゃんもすごくすごい。年齢一桁で四天王なんて務めちゃって、アーマーガアとデカヌチャンをテイムしてしまうとは。才能は年齢関係なく認めてくれるあたり、パルデアはいい土地だ…って思いますね。今の日本、ギフテッドの子が平均に押し込められちゃったりする環境なので見習って欲しいです(無茶ぶり)
話ちょっと脱線しました。大人たちについても語らせてください。
ジムリーダー・リーグ職員
アカデミーの先生
保護者
が主にストーリーで関わる大人たちなんですが、それぞれ個性的で魅力がありすぎる!!!好き〜!!!!!!!
子供から見ると、大人ってしっかりしていて真面目で別の生き物のように思えてしまうことが多いのですが、人間らしい部分というか、苦悩を垣間見ることができて
「成長しても自分は自分のままなのかも」
と漠然と思いました。思春期で自分がどうなるのかわからない僕にとっては救いでしたね。
ミモザ先生なんかがいい例で、人からいいエネルギーをもらっていい活動ができるってすごいですよね。しかも合格しちゃうっていう。すごいよミモりん愛してるよ
あとはリップさんの「哀がない」とか。オタクなのでヒェーッしんどい!とそこから幻覚を見ていくことが多いのですがストレートに受け止めると、感情の消化に困る人ってちゃんと存在してるんだって安心になります。
クラベル校長を初めとしたアカデミーの先生たちは宝探しに授業に忙しい学生のことを見守って声をかけてくれるし、ジムリーダーたちも若い才能を認めて褒めてくれる。そして主人公のお母さんはよく頑張ってるね、と帰る場所になってくれる。
理想的な構図ですよね。子供の自主性に任せてこちらを信じてくれるというか…理解者になってくれる大人たち。
もっともペパーの家庭のことを考えると情緒がメチャクチャになってくるんですがね!!!!!!
博士、確かにペパーのことを信じていると言えば間違ってはいないけど!!!!研究のために危険な土地にこもりきりで、息子が大事にしているポケモンが重傷を負っても……さあ!!!!しかもペパーくんは最期すら看取れなかったのかよお前はAI体でしか愛せないのかよオイ!!!!!!なあ!!!!!あの写真見てウッってなっただろうが!!!!!
ワーハハハハハ!!!!!!
そして引きこもりは家を出る
再び自語りパートに移ります。
本編をスターダストストリートクリアくらいまで進めたころ、引きこもりはふと窓の外を見上げました。
ああ、パルデアのご機嫌な空と同じ色の真っ青な空だ。
時刻は12時を回る頃で、学校ではお昼休みに差しかかる頃。
なにか動かないと現状って何も変わらないな。目を逸らし続けていた当たり前の現実が頭の中にぽんと浮かんできました。
(ところで僕は最近心理士の先生とカウンセリングをしています。そこで教わった話を引用しますね。
その時の僕は逃避行動をやめて、長期的には好きなことに向かっていけるために動こうとしたのだと思います。(また学校に行って勉強しだしたら大学なんかの選択も広がりますしね!)
当時この話は知らなかったので今になって意味付けをしたにすぎませんが……。
こんな大仰なこと言ってますけど、いいとこ「ボタンがいけたなら僕もいけるっしょ」くらいです。ワハハ)
はい、時間割を確認すると四限は美術。好きな教科だ。これならやれる。ハッサク先生力を貸してくれ。
そして引きこもりはリュックに教科書を投げ入れて、部屋から出てきた僕を見て目を丸くしている母親にこう言いました。
「ちょっと学校行ってくるわ」
その後は自転車をすっ飛ばして学校に着いて、こんなもんかと授業を受け、山のようなプリントを受け取ってなんやかんやして普通に帰宅しました。
美術の進捗はだいぶヤバかったし、数学とかほんっとに何もわかりませんでした。でも学校に連続して行ける日が増えていくほどにマシにはなっていきました。ゼロより塵レベルでもちまちま積み重ねていく方がずっといいです、長い目で見ればそれもまた成長です。知らんけど
不登校に突っ込みかけていた足を何とか引きあげた頃の成績は人生初赤点をとってしまうくらいボロカスでしたが、現在は赤点なしで平均越えの教科の方が多いくらいです。なんなら模試全国三桁位とか。(まあ良いか悪いかで言えば悪いんですけど)
今勉強に手が付かないくらい辛いんだって人も大丈夫。回復のきっかけさえあればまた浮き上がってこられるはずです。嘘みたいだけど、僕はそうだったよ。
そうそう、ずっと休んでいて存在が認知されているかすら危うかったのにクラスメイトは優しかったし、先生も責めるようなことは何も言わなかった。
周りって思っていた以上に気を使ってくれるし、それが痛いなって思うこともあるけど、その時はただただそれが嬉しかったのをよく覚えています。
もし周りに苦しんでいる人がいたら、どうかちょっとだけ声をかけてあげてください。あんまりいい反応はかえって来ないかもしれませんが、心がへたっている時は上手くお返事ができないものなのです。好意はしっかり受け取れます。
4
まとめ
今では「鬱になってよかった〜」とまでは言えませんが、こういう状態になることで理解出来る心象が増えたなと思えるくらいにはなりました。
たぶんシラフでポケモンをやっても積みゲー一個消化できたな、くらいで終わっていたと思うし、独学していた臨床心理の分野も理解が進んでいなかったはず。
経験しておくことで自分の中の引き出しが増えた感じ。
自分の人生で使える時間は有限で、それが少しすりへって少しおバカになったのは事実ですがちょっとだけ視野は広がりました。
失ってばっかではなかった、と思います。
こういう背景でポケモン沼にどっぷり浸かり、そこで出会った年の離れたフォロワーさんと三次元でお会いしたりすることもできました。Twitter数年やってて初めてです。
ちゃんと相手のことをリスペクトしてお話すれば年齢も立場も関係なく仲良くできるんだなってわかって学校以外の世界も知れました。
少し前まで昼間でも暗い部屋で引きこもっていたのに、県またいでひとりで移動して人に会えるくらいには回復したってことです。我ながらすごい回復力だな…
要するに何が言いたいかっていうと……
お前らポケモンやれよな!!!!!
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜DLC楽しみ!!!!!!!!!!
僕はこれからテラレイドやりに行くのでここらで失礼します。
<追記>
特に未成年の方は自分の行動の責任はちゃんと取れる上でネットの人と会うように!!僕はでかいイベント介して行きました。何かあった時に対策が取れるよう考えてくださいね、心配はするに超したことないです。例えば僕16歳ですって書いてるけど本当はもっと上かもしれないし。ネットは虚構だと思おう!
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