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『男はつらいよ』 50周年記念復刻“寅んく”大解剖! 「厳選された素材を使った、長年愛用できる特製トランクです」

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寅さんのトレードマークといえば、帽子に腹巻、雪駄にトランク…。旅をつづける寅さんは、商売道具から日用品まで必要なものすべてをトランクひとつに詰め込んで持ち歩いています。時に“さくらお手製のふんどし”が取り出され、時にこのトランクに座って人を待ち、トランクは寅さんにとって、まさに旅の相棒

私も、トランクひとつの荷物で旅に出たい…と荒れ果てたデスクで思うわけです…。どうも、『男はつらいよ50周年note編集部担当Oです。

そんな「寅さん愛用のトランク」を模したトランクケースで発売される、4Kデジタル修復版ブルーレイ全巻ボックス復刻“寅んく”。今回はこだわりの逸品、特製トランクの制作秘話に迫ります! トランクケースの制作を担当する株式会社ワンズワード山上則幸さんを訪ねてきました!!

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訪ねたのは、浅草橋にあるレトロなビルの一角。このあたりは、玩具、人形、文具、店飾などの問屋街として発展したものづくりの街として名が知られていて、ぶらりとするだけで楽しい通り。そんなお店が並ぶ「江戸通り」沿いに、ワンズワードがありました。

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会社の中に入ると、見本となるカバンがいっぱい!

——このあたりは、ものづくりの街なんですね。隣には、「ハンドバック会館」があり、まさに!という感じです。

山上:そうですね。カバンだけでなく、財布など、ものづくりに携わっている企業が沢山集まっている街なんです。

——実は私、本日初めて実際のトランクを見るのですが、想像以上に大きいです! ここに沢山いろんなものを詰め込みたくなりますね。

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どこに置いても絵になる特製トランク!

山上:横670mm×縦400mm×高さ185mmありますからね。かなり大きいです。ブルーレイ49本とそのほかにも沢山の豪華特典が全て入る大きさになっています。スーツケースより一回り小さいぐらいかな。

——このぐらい大きなトランクケースって、最近はあまり見かけないですよね。

山上:あまりないと思います。国内でこのぐらい大きなトランクケースを作っている会社はあまりないですし、販売もされていないと思います。

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身長180cmの山上さんが持つと、このサイズ!

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——確かに、販売されているのを見かけなくなりました。それだけ手に入れにくいカバンということですか。

山上:昔は旅行鞄として需要があったので、結構作られていたんです。でも、今は、旅行鞄の主流はキャリーケースに代わってしまいましたね。実は、前回40周年で作られたトランクケースも見本としていただいたのですが、この10年でカバン業界も様変わりしてまして。このぐらい大きいハンドバックを作ることができる工場は、とても限られています。

——トレンドとともに、制作できる技術者も減ってしまったと。

山上:はい。一方で、この10年、生地や縫製方法のクオリティは、各段に上がっています。

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——詳しく教えてください!

山上:まず、生地です。合皮を使用していますが、この10年間で素材の質が格段によくなっています。とても丈夫になりました。今回は、傷がつきにくい素材を厳選し、鞄としての強度も上がっています。薄くて貼りやすい生地なので綺麗に仕上げることができるのですが、やぶれにくいんです。選べる皮の種類も遥かに多くなったので、寅さんが持っているトランクにより近いイメージに仕上げることができたと思います。

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何十種類という生地の中から、何度も試作を重ね厳選。

——実際に撮影に使用したトランクも、参考にしたのでしょうか?

山上:はい。撮影で実際に使われていた2種類のトランクを拝見させていただきました。撮影時期によって、それぞれ少しずつ違うんです。

——「葛飾柴又寅さん記念館」には、撮影で使われた寅さんのトランクが展示されています。展示では、トランクの中に入っているものも見ることができますよね。映画の小道具さんが、1点ずつセレクトしているんだそうです。

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雪駄とトイレットペーパーとハガキをトランクに入れてみると…まるで、そこに寅さんがいるよう!

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山上:あとは、鍵部分の金具ですね。最新基準の鍵を使用しているのですが、「男はつらいよ」の世界観を踏襲するために、本来あった鍵の認証ロゴはわざと消すよう手を加えました。

——世界観を楽しんでいただくために、わざわざ消しているんですね!

山上:取っ手も「飾り」で付いているのではなく、きちんと中に物をいれても持てるように強度を増した設計にしています。全ての点において、「長く愛用していただけるトランクです」と自信を持って言えます。それだけ、時間をかけてこだわって作りましたから。

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世界標準の鍵を使った、アンティーク調の金具

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中に重いものを入れてもいいように、確かな強度に設計された厚みのある取っ手部分

——どのくらいの期間をかけて作られたのですか?

山上:通常は、依頼があってから商品を納品するまでに、3〜4ヶ月を要するのですが、こちらのトランクは、去年の11月から始まったプロジェクトで、すでに半年が立っていますが、まだ修正段階です(笑)。試作品をつくっては、修正を重ねに重ねて、実はこれで4回目の調整中になります。トランクの内側の仕様だけで、2ヶ月間かけていますから、それだけで相当なこだわりなんです。

——それだけこだわって時間をかけていると。

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鉛筆を入れるポケットは、現在ペンを入れる太さに調整中。時代の流れを感じる仕様の変更点。

山上:しかも、こだわっているのは、トランク本体だけではなくて、お届けする際に梱包する箱もすごいです。 これは弊社が手がけている訳ではありませんが、ここまでこだわった梱包を今まで見たことがありません(笑)。

——梱包資材も、特別なんですね(笑)。

山上:何重にも厳重に梱包されています。とてもこだわり抜かれたものが沢山詰まった“寅んく”だから、やはり大切にそれをお客様の元に届けたいという思いを感じますよね。

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山上:これがお客様の手元に届いた時は、もう「ドーン!」という感じで、トランクを開けると、中身もぎっちり詰まっていて、必ずや喜んでいただけると思います。

——“寅んく”という宝箱に収められた、宝物が届くような感じですね。

山上:ブルーレイはもちろんですが、トランクもその他の特典もこだわり抜かれたものばかりなので、「大人の宝物」と言ってもいいのではないでしょうか。この大きさで、このつくりのカバン自体の生産が、今後できない可能性もありますから、そういう意味でも貴重だと思います。

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第15作『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』の「メロン騒動」エピソードより“メロン&トランク”でパチリ。どんなものとでも相性のいいトランク。まるで、そこに寅さんがいるよう…。

——このトランクを長く愛用するためのコツなどは、ありますでしょうか。

山上:生地は水を弾くものを使用していますので、お手入れする際には水拭きしていただいて構いません。逆に、油剤を使用してしまうと表面のコーティングが剥がれる可能性があるので、気をつけてください。

また、大事に使いたいということで、梱包されたまま収納してしまうとカビが生えたり、金属パーツに青サビが出てしまったりするので、できれば梱包材から出して、または、たまにその中から出して風を通すなどして、愛用していただければなと思います。

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山上さんに持って頂き、浅草橋の通りをトランクと。シャツスタイルにも似合う!

——山上さんありがとうございました。こだわり抜かれたトランクだということで、期待が高まりました。 先日、「4Kデジタル修復」版ブルーレイの担当者にも取材をしたのですが、負けないくらい思いがつまったものでした。多くのファンの方に「男はつらいよ」の世界を届けられたらと思います。

今回、ご紹介した復刻“寅んく”は、2019年12月25日(水)に発売されます!『男はつらいよ』の世界観を味わえるこだわりのトランクとともに、是非自宅でお楽しみください!!