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4月の短歌(十首)
一
名も知らぬ あなたの紡ぐ 言の葉と 散りゆく花が ふいに重なる
二
柔らかな 春の日差しを 浴びながら このままここで 眠りにつけたら
三
ドナドナの 歌が聞こえて 来るようで ちっとも慣れぬ 満員電車
四
もったいない スマホでいいよと 言う君の 呆れた顔を こっそり写す
五
大切に したいと思う 気持ちでも 毒になるのは 薬と同じか
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六
味がある そういうことに しておけば 世の中もっと 生きやすいのに
七
くだらない 吐き捨てるよう 思うたび 固執するのは 自分と気づく
八
ふくらみが 足りませんねと もう一杯 勘弁してくれ バリウム検査
九
いらっしゃい そのひと声が 聞きたくて 遠くなっても また足運ぶ
4月は変化の多い月ですね。桜が咲いたと思ったら、もうすっかり葉桜になっていました。もちろん、瑞々しい緑は、それはそれで美しいものです。
変化の大切さ、というのもわかります。けれど、一度変わってしまえば、
失ってしまうものがあるというのも事実。例えば、強くなるということは、弱い自分との別れですが、強くなってしまえば、弱かった頃の繊細な感覚や優しさは、失われてしまうでしょう。
三日会わざれば刮目して見よ。久々に会った人の変化を、頼もしいと思う反面、寂しいと感じてしまうことも少なくありません。ですが大切なのは、本人が「変わりたい」と願って、それを実現したこと。いつまでも、自分の知っている「あの子」でいてほしいなんて、きっとただのエゴだから。
十
僕が知る 君の姿は 見えねども 去り行く人の 背を見届ける
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