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【都レンジャー活動報告】小笠原の無人島・嫁島で、ヤダケを刈る!

みなさん、こんにちは!今回は小笠原諸島の島々の一つ「嫁島(よめじま)」にて、ヤダケ刈りをしてきました。

ヤダケ刈りの風景。東南アジアの農作業風景のようにも見えます。嫁島は日陰が少なく、直射日光で非常に暑いのです。職員たちは日傘をかぶって作業をしました。

1.嫁島(よめじま)ってどういうところ?

小笠原諸島には有人島である父島や母島の他に、大小さまざまな島があります。その島の一つひとつに名前がついているのですが、兄島、弟島、妹島、聟島(むこじま)といったように親族の名前がついているのが特徴です。そのうちの一つである嫁島(よめじま)は一般の立ち入りが禁止されており、都レンジャーも事業で年に1~3回程度しか来島しません。

戦前は有人島だったため、生活の上で樹木の伐採やヤギを入れていました。その後、無人島になりましたが家畜であるヤギが島に残るなど、人の影響によって草地化や在来植生のかく乱が起こっていました。そうした事態に対し、関係省庁をはじめ地方自治体、地元 NPOなどの様々な主体が、それぞれの立場から対策事業等を実施してきました。(ノヤギは2001年に根絶しています)

嫁島では、アホウドリ類など海鳥類の重要な繁殖地となっていたり、めずらしい陸産貝類がいるなど、いまなお希少な固有種がいる場所です。

嫁島はクロアシアホウドリが11月頃から営巣にやってきます

2.なぜヤダケを刈るのか?

嫁島の北部は昔、ヤダケ群落となっていました。しかし、バッタの食害によって一度は群落が消失しました。ところが喜んでいたのも束の間、だんだんとヤダケが復活してきました。だけど今なら背丈も低く完全復活していません。そこで、東京都と林野庁が連携して、ヤダケが復活する前に刈ることにしました。

3.上陸、そしてヤダケとの闘い

早朝5時から漁船に乗り、父島の二見漁港を出発して2時間ほどで嫁島に到着です。この日は海のうねりも波もなく、揺れることなく目的地まで行くことができました。

嫁島は台地上の地形のため、最初に急な斜面を上がります

作業は、タコノキ等の在来樹木の周りと草地に広がるヤダケの刈払いです。ここで、在来の植物を間違えて刈り取らないように気をつけて刈っていきます。

人の背丈くらいあるタコノキ。タコノキの葉はトゲがあるので、その中に入ってヤダケを刈るのが大変です
草地ですが、丈が30cmほどあるため草をかき分けながらの作業です

ヤダケは釣り竿や弓矢に使われるだけあって、「しなり」があり、刈りとるのがなかなか難しかったです。また、群落となったヤダケを刈り取ることも大変ですが、点在しているヤダケを一つひとつ探すのも一苦労でした。

日帰りのため作業は3時間ほどでしたが、想定していた区画の作業は終了!ただし、これで終わりではなく、モニタリングを続けて効果を検証していきます。ヤダケとの闘いは続く……!?

作業前の写真です。森の周りや写真の真ん中にヤダケがあります
作業後の写真です。ヤダケがなくなっているのですが、わかりますでしょうか?上の写真とぜひ比べて綺麗になっているところを探してみてください