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『少女歌劇レヴュースタァライト』/舞台の中心で愛を叫ぶ

『普通の喜び、女の子の楽しみ、全てを焼き尽くし、遙かなきらめきを目指す。それが舞台少女。その覚悟が貴方に?』

 劇場版が良すぎて、昔のアニメ感想をリライトしちゃいました。長文ですが是非!

 長回し、という技術が映画にある。長い間カメラを回し続けることで、役者の緊張感や臨場感を高める効果がある。その代わり長回しは難易度が高い。少しの失敗が大ダメージになるからだ。そのデメリットを逆手に取り、長回しで撮ること自体の凄さを目指して、37分長回しのゾンビ映画が撮られたりする。

 ところで、長回しがデフォルトの気の狂った芸術がある。舞台だ。一度発せられたセリフ・動き全ては不可逆で、巻き戻すことも切り取ることもできない。それゆえ、良い舞台には心地よい緊張感が漲る。映画よりも、道具も背景も明かに作り物らしいのに、舞台は映画以上のリアルさを誇る

 この気づきを再発見させてくれたのが、アニメ『少女歌劇レヴュースタァライト』だった。お陰さまで演劇沼に引きずり戻されたのは懐かしい。毎月観劇の予定が入るわ入るわ……そら、大変。

 『少女歌劇 レヴュースタァライト』プライムビデオのdアニメストアに置いてあるほか、たまにYouTubeで全話無料公開を行なっている。是非、見て。ここから先、全然読まなくていいから観て。気に入ったら舞台も観にきて。というわけで、自分の好きなもののお裾分けだ。

あらすじ

 主人公、愛城華恋は、舞台芸術の次代の才能育成のための女学校である聖翔音楽学園に通う少女だ。彼女は幼き日の約束を胸に、舞台の上でスタァとして輝くことを夢見ていた。ある日、転入生がやってくる。彼女の名は神楽ひかり、華恋の幼なじみにして約束の相手だった。転入生の出現により、華恋達の日常は少しずつ変化していく。

 一方、学園の地下劇場では、謎のオーディションがおこなわれていた。オーディションは一対一のレヴューバトル……見事、オーディションを勝ち抜いた者にはトップスタァへの道が開かれるという。ひかりら、8人はオーディションに招待され、参加することになる。

感想……スタァライトのすゝめ

 スタァライト、実は少しスロースタートな作品だ。抱えている世界観が複雑で、数話観ないと前提情報がしっかり入ってこない。伏線が伏線ともわからないように配置されているので、そこらへんで1話から見なおすと、それはもう楽しい楽しい。

 ただ動画配信の発達した現代においても、まず7話まで観て!完!は厳しい。面白いかどうかわからないものに、何時間もさくのは勇気がいる。だからこそ、ここがいいよ!スタァライト!をあげていきたい。

①ストーリー……計算され尽くした大胆な展開

 こればかりは「観て!!」としかいえないけれども、アニメ各話は細部まで計算され尽くしている。キャラクターの一言、些細な目線に繋がるまで後々の展開と繋がっていくのは見事。『星摘みの塔』『8人の舞台』『東京タワー』『再生産』出てくるキーワードも研ぎ澄まされた結果、必然的に作品内に配置されているものだ。考察のしがいがある充分な強度を持つ作品だ。

②登場人物……舞台に命燃やして

 スタァライトの登場人物達は皆、トップスタァに憧れ目ざす。2番では駄目だ。戦ってでも蹴落としてでも、頂に光る星を掴もうとする。トップであることに意義がある。そのために才能の上に数限りない努力を積み上げてきた。

 この作品の良さは、出てくるキャラクターが皆本気なところだ。才能と努力の比重は各々違えど、才能が皆無の人間も、創作でありがちな無気力天才キャラも存在しない。アニメだと『ガールズアンドパンツァー』などの熱血スポ根ものに共通するが、出てくる人間達が全身全霊でぶつかるからこそ、葛藤やドラマが生じ心が動く。

 勿論、キャラクター達は常にギスギスしているわけではない。(なおアニメに先行した舞台スタァライト#1では結構ギスギスしていた。煽りあいが観たい人おすすめだ)彼女らは舞台を離れば良き友人で、舞台の上ではしのぎを削るライバルだ。この決して仲良しクラブに陥らない緊張感が心地いい

③レヴュー曲......聴く舞台

 ダイマでしかないが、なんとAmazon music unlimited なら無料で聴けるし、お得。おすすめ!……一体どこの回し者かわからなくなってきた。ただ、このレヴュー曲が大変良いものなのだ。

 レヴュー曲はレヴューバトルの際に流れる楽曲だ。対戦カードごとに違う歌が流れ、そのレヴューのテーマに沿ったリズムや歌詞が作られている。曲に凝っているアニメというのは沢山だ。良曲も数多くある。しかし、1話の中のせいぜい長くて15分1回きりの山場のために高品質な新規曲を8曲(再録のぞく)揃えてくる狂気に惚れた。使われている楽器の豊富さといったら、アニメの挿入曲の域を超えて、舞台音楽のようになっている。まさに耳で聴く舞台だ。

 ちなみに主題歌やEP、スタァライト九九組の名義の他の曲も是非オススメの名曲揃いだ。うちでは作業用BGMとしてプレイリストを作って大活躍している。

最後に

 舞台はいいものだ。わたしはそれをスタァライトで再確認した。少しでも興味の湧いた人は是非、YouTubeで1話をクリックしてほしい。せめて曲だけでも聴いて欲しい。










































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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