『生キョコ』から感じる番組『キョコロヒー』の不思議な魅力
テレビ朝日系列のバラエティ番組『キョコロヒー』について、2023年5月7日に東京国際フォーラムにて開催された2回目の番組イベント『生キョコロヒー』。このイベントに現地参加してきた感想を少しだけ。そして、イベントを振り返ってみて、自身がこの番組のどんな点に魅力を感じているのか言語化してみたい。
(記事を読む上での注意)
イベント全体に関して細かい振り返りはしていませんが、若干イベント内容には触れていますので、これからアーカイブなどで初めて視聴する予定の方はご注意ください。
『生キョコロヒー』第2回イベント全体の印象
シンプルにとても面白かった。
予定より若干遅れ18時10分頃に開演したが、終演したのは21時を過ぎていたため、イベントとしてはおよそ3時間。映画であれば大作の部類の長さであるが、退屈に感じることはほとんどなかった。
登場から斬新であり、途中に客席に向けてカラーボールを投げたり、後半には2階席から登場してサプライズ告知があったりなど。ただの舞台上でのトークイベントに閉じず、お客さんの近くまで行き、会場全体を使って盛り上げていたイベントであった。そして、声出しも解禁されているため笑い声も絶えず、飽きが来ることは無くあっという間に時間が過ぎていった。
番組イベントとしては5月7日の国際フォーラムでのイベント当日だけでなく、イベント前日にもテレビ朝日側で販売会を実施し、そこにもヒコロヒーさんや、太陽の小町つるさんがいらっしゃっていたそうである(自身は行けなかったが…)。イベントの当選者に限らず「会場に来てよかった」と思えるようによく工夫されていたように感じる。
唯一悪かった点を挙げるとすれば、イベント当日の入場の流れである。開場後早々に入場口付近のロープパーテーションを外してしまったため、容易に割り込みができるようになってしまっていた。これにより、スタッフさんが会場外に伸ばした列とは別に、地下通路から入場する列が自然形成され、本来の列の入場が一番遅くなる事態が発生していた(そのため、同会場でのイベントでは、開場前後だけ地下通路をいったんふさぐことが多い)。
Twitterでも「ちゃんと並んだのに、無事に開演までに入場できるのだろうか…」と不安なツイートを流していた方が多くいたが、結果的には開演を遅らせることでほとんどのお客さんが無事に入場できたと思われる。イベント前日の物販も開始を30分早めていたそうだが、色々な面で混乱がありつつも、臨機応変に対応してくださっていたように感じる。
開演前に少しの不安はあったとしても、振り返ってみればやはりイベントとしてはとても楽しかった。
『キョコロヒー』という番組の不思議な魅力
イベントでも触れていたが、放送当初は水曜日の26:36から、日向坂の冠番組よりもさらに深夜の枠から始まった番組であった。その後、約半年で水曜24:15からの放送に、約1年後には月曜23:45からの放送かつ全国放送と、着実に昇格してきた。
なぜそれだけ番組として魅力的に感じるのか。単純に"楽しいから"と言ってしまえばそれまでであるが、せっかくなのでイベント翌日の今日、楽しいイベントを思い出しながら自分なりにまとめてみたい。
様々な魅力があるが、3つに絞るとしたら以下である。
1.齊藤京子の喜怒哀楽の豊かさとギャップ
2.ゴールが見えないのに面白いトーク
3.恒例企画がほぼ無い安定した斬新さ
1.齊藤京子の喜怒哀楽の豊かさとギャップ
第一に挙げるとしたら、齊藤さんの喜怒哀楽の豊かさ、そして第一印象や予想とのギャップな気がする。
もう番組で大きく印象が変わってしまったが、日向坂の冠番組『日向坂で会いましょう』での自身の齊藤さんの第一印象は、
「声が低くてかっこいい」「あまりしゃべらない」「たまに変なことを言う」
などであった気がする。
直近の"箱の中身はなんだろな"企画でもそうであるが、あそこまで喜怒哀楽の表現が豊かな女性だとは全く思っていなかった。そんな第一印象や、「こんなことを話すだろうか」という予想から毎度ギャップが発生するため、そこが実に人間的で面白い。
構成作家の一人でもあるサトミツさんと、番組ディレクターの舟橋さんの対談インタビュー記事でも次のように語られている。
齊藤さんの本音が実に人間的で、毎度新鮮である。そして番組と、ヒコロヒーさんがそんな雰囲気を作り出してくれている。だから、この番組が面白いし、毎回観たくなる気がする。
2.ゴールが見えないのに面白いトーク
基本的には齊藤さんとヒコロヒーさんのトークは良い意味でゴールが見えない。芸人同士や、ベテラン芸能人同士の、そろそろオチが来るという雰囲気とはまた違う。突然予想外の発言で、予想外の展開になる。
前回の番組イベントの際のインタビュー記事でもヒコロヒーさんが次のように語っている。
前項にも近いところがあるが、齊藤さんの実に人間的なトークを、ヒコロヒーさんが最後まで聞き、予想もつかない展開になっていく。これがとても面白い。そしてどんな風にも食いつけるようなVTRなどがうまく番組内に取り込まれている。
今回のイベントでも、冒頭の展開から実に予想外で面白かった。
”齊藤さんとヒコロヒーさんが2人で江の島に行ったのでそれを振り返る”。普通のバラエティ的な展開なら、タレント2人にディレクターがついていくか、タレントのどちらかが自撮り棒などで動画を撮っていて、それを振り返るものであろう。
しかし、この番組イベントでは、2人に10万円だけ渡し、好き勝手に行かせて、写真だけ撮ってこさせる。そして2人は定番のところには行かないし、写真はトークに対して足りていないし、トーク自体は良い意味で薄いし、まさかのお金は余る。舟橋さんも都度強めにつっこむわけではない。ずっと予想外すぎるが、それが面白いのである。
転換時のVTRでの"楽屋ルーティーン"もシュールすぎた。VTR中に誰もツッコまない。100%演出なのかもわからないし、VTR明けてもその説明もなく、内容に関して誰も触れない。千鳥さんの某番組とかなら一体何回ボタンが押されているだろうか、と思うくらいである。
少しだけそれるが、途中に自分とは若干価値観が合わない客がいた。"箱の中身はなんだろな"企画では「はよ触れや!」、終盤のゴルフのような企画でも「はよ打てや!」と聞こえてきた。ツッコミのつもりなのかもしれない。「神宮球場で阪神戦見に来てくれ」と言っていた方と、だいたいのエリアも声質も同じ気がするが、定かではない。
でもイベント後によく考えれば、大抵のバラエティ番組ならそういうツッコミな気がしていた。千鳥さんの某番組も、ダウンタウンさんや有吉さんの番組も、長く待たずに「何してんねん!」という展開な気がする。ゴールデン番組で、出演者が多ければ展開は短くあるべきであり、制作側が面白いところを切ってつなげて出来上がっている。
この番組が独特で面白いところは、そこを待つからであろう。何が起こるかわからないし、聞いていてワクワクするから、トーク全てを聴きたくなる。待ちたくなる。この番組ならではの魅力な気がする。
1回1回の展開は若干長めになるので、ディレクターさんの構成としてつなげる難易度が高くなっている気もするが、ありがたい限りである。
3.恒例企画がほぼ無い安定した斬新さ
安定した斬新さ、矛盾しているかもしれないが、個人的にはこの表現が一番しっくりきた。
この番組には、毎週ほぼ必ずやっている恒例企画が無い。ダンス動画も毎回ではないし、つるさんの企画も不定期、ゲストも予想外ばかりである。企画が毎回斬新である。奇抜なわけでもなく、シュールなものも多い。
番組の制作側が「この2人ならどんな反応をするだろう」と楽しんでいる気がする。不定期で恒例のような企画であっても、展開が急に変わることが多いので、2人の驚きが生まれたりもする。それも実に面白い。だから、ある意味いつから観ても面白いので、視聴者も徐々に増え続けている気がする。毎週録画してでも必ず観たくなる番組である。
淡々と毎週の恒例企画の時間があれば、番組としては安定するかもしれないが、この番組はそれをしない。当然、その準備や企画のハードルも大いに上がっているであろう。これもありがたい限りである。
最後に
人間的で、斬新で、それでいて安心して観ていられる。この番組ならではの魅力である。誰も嫌に映らないのだ。
これからも毎週が楽しみである。
とらん
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