見出し画像

「踵」をつよく踏むべし

ふいんき
A5ランクのお肉
駐車禁止と書いてあるカラーコーン
人はイメージや経験から先入観を持ってしまうことがある。
実際は「ふんいき」と読むし、A5ランクのお肉とA4ランクのお肉の違いは見た目の美しさだけだし、駐車禁止のカラーコーンが置いてあっても私有地じゃなければ駐車してOKだったりする。
わたしは先入観が強い人間で、つい最近までの22年間「かかと」の指す場所を勘違いしていた。

わたしが小学校の低学年の頃、父はわたしと遊ぶことに乗り気じゃなさそうな時でも、「プロレスごっこをしよう」と言えばノリノリで誘いに乗ってきた。そして、プロレスごっこの時「かかと落とし」という技名を私の父は連呼して、足を振り下ろしてきた。もちろん本気で小学三年生に対して足の後ろがわを振り下ろすほどいかれた人間ではない。ゆっくり足を振り下ろし、ギリギリで外してくる。その記憶が焼き付いていたので、幼いわたしは「かかと」とは足首の後ろ側の部分を指すのだと思っていた。そしてそのまま22歳まで成長した。

かかとの指す場所を勘違いしていたからだろう、よく歩き方が変と言われる。わたしは漫画が好きで、体感だが漫画から全知識の三割を得ている。歩き方も、漫画を読んで知った情報をもとに理想のフォームで歩いているつもりだった。だから、周りの人が正しい歩き方を知らず、わたしが先進的な歩き方をしているために変だと思われるのだろうとさえ考えていた。
漫画で得た知識では、かかとから着地するのが正しい歩き方らしかった。マイケルジョーダンもかかとから着地して走っていたらしい。偉大なバスケ選手もやっているのだから正しいだろう、と私は自信満々に一歩一歩小さくかかと落としをするイメージで歩いていた。ニュースで見た軍隊の行進みたいだったかもしれないと思うと恥ずかしい。日常で行進している人間など絶対におかしい。

本物の「かかと」は足の裏の後部である。そう知ってから歩き方の矯正を始めた。意識的に足の裏の後部から着地する様にして歩いている。たしかに本物の「かかと」から着地すると大地の力を感じて心地いい。
歩き方を少し変えるだけでこんなにも歩くのが楽しく感じるとは。単純だな、と思った。

先日久しぶりにサークルの友達と会う機会があり、わたしの歩き方をよくいじってきた人たちに「どう?歩き方綺麗になったでしょ!」と自慢気に歩くのを見せた。
結果としては、
「綺麗になったけど、まだ変。ガニ股。」そう言われた。
なぬ〜!しかし、薄々気づいていた。歩き方が変なのはかかとの部分を勘違いしていたことだけが理由ではないことに。

朝起きたら全く身に覚えがないのに歩けないほど足が痛くなったことが2回ある。2回とも病院に行ってレントゲンを撮ったのだが、医師には全く問題がないと言われ数千円取られた。
唯一のアドバイスは「Amazonでインソールを買っては?」という言葉で。50歳くらいの医師の口からそんな他力本願で、若い発想を提供されるとは思わず、驚きとじわじわとした笑いが込み上げてきたのを覚えている。
どうもわたしはO脚で、それが原因で足を痛めていたらしい。たしかにランニングしている時に足元を見て、自分の足が斜めに傾いたまま前に出ているのが気になっていた。
かかとの勘違いの次はO脚、これは一朝一夕で変えられるものではない。長い戦いになる。だが、O脚を治すと身長がちょっと伸びるらしい。大台突入をモチベーションにじっくり頑張るか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?