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エッセイ集―心のままに言葉を紡ぐ―

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心のままに語ったエッセイ集。嘘偽りのない本音を、言葉にのせてぶつけています。
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#死

新時代に辿りつけても

 新元号が発表される前日、私は身近にいた人の訃報を聞いた。といっても、ここ一年くらい会っていなかったのだが。別に、その人と親しい間柄でもなければ、その人との思い出もほとんどない。ただ、「職場が同じだった」というだけの間柄だ。  たったそれだけの関係なのに、私はひどく動揺した。つい一年前までは、元気だったはずなのに、つい最近も「昨日一緒に飲んだんだけどさ、相変わらずだったよ」なんて話を耳にしたばかりなのに、その人がこの世にもういないなんて、全く信じられなかった。悲しかったわけ

有名人の訃報に動悸が止まらない

 先日、ミュージシャンの内田裕也さんが亡くなった。内田裕也さんに対して、これといって思い入れがあるわけではないが、訃報を聞いた途端、胸の奥がざわざわして、しばらく動悸が止まらなかった。  私は、あと数ヶ月で27歳になろうとしている。いわゆる「アラサー」というやつだ。30代が近づいて来ると、人の死が「遥か遠くにあるもの」ではなくなってくるように感じる。  子どもの頃にも、今と同じように、テレビで有名人の訃報を聞いた。その度に、「誰なんだ?この人は」と思っていた。顔も名前も知