野球観戦にハマったワケ

スポーツ観戦にはめっぽう興味がなかった。小さい頃からテニスをしたりランニングをしたり、体を動かすことは好きだったが、スポーツ観戦についてはつまらないといつも感じていた。

特に野球。野球大国に生まれたにも関わらず、ルールも何も知らなかった。例えば、バッターが打ったら一塁に走るのがルールであるが、一塁がどっち側なのか(三塁側に走ってもいいと思っていた)知らなかったし、アウトとかボールとかストライクとか、何が何だかさっぱりだった。無知とは怖いもので、この状態で野球観戦をしても、何も面白くないのは目に見えるかと思う。ただ応援がうるさいだけのスポーツが“野球”だった。

そんな私が東京ヤクルトスワローズにハマる。なぜかって?あなたも知ってるだろう、あの客寄せパンダならぬ客寄せつばめ、つば九郎である。たまたま私のYoutubeにつば九郎がファンの質問に答える動画がおすすめとして上がってきた。可愛いので見てみると、なんと毒舌!あの見た目からは想像できないほどの口の悪さ!見事にハマってしまった。

そこからつば九郎を追っていると、ヤクルトの試合でホームランが出れば、つば九郎がグラウンドに出てくることを知る。つば九郎をもっとたくさん見たいので、自ずとチームのことを応援するようになる。

でも面白くない。ルールがわからないのに、つば九郎が出てくることだけを祈って試合を見ていても、日によってはつば九郎は出てこない。プロ野球選手であっても、ホームランなんてボコボコ打てるものじゃないと、この時点で悟った。だが、このチームには恐ろしい化け物選手がいた。

村上宗隆である。彼は毎回つば九郎を出陣させてくれる、私の救世主であった。彼が打てば、つば九郎が出てきて、パフォーマンスなのかつば九郎のお腹を撫でてくれる。彼は、ベンチでは監督顔負けの態度でベンチに座り、誰よりも声を出してチームを鼓舞する姿をよく見かけ、その熱い姿勢を見るとなんだか感動して泣けてくるようになり、彼を応援するようになった。その他山田哲人選手や青木宣親選手など、挙げればたくさんの名選手がいるにも関わらず、私は何が凄いんだかわからなかった。とにかく「つば九郎を呼びやがれ!」状態だった。

そして私のスポーツ観戦をより楽しくしてくれたのは、東京ヤクルトスワローズOBの、古田敦也さんである。つば九郎の動画ばかり見ていたら、おそらくYoutubeが学んでくれたおかげだが、古田さんの動画がオススメされるようになった。古田さんといえば、私の中ではプロ野球選手なのにめちゃめちゃ喋りが面白くて賢い人というイメージだったので、試しに見てみた。結論から言うと、動画は私には難しすぎた。野球の技術面について、永遠に語っていた。体の動かし方なんかは理解できたが、野球をするときにメンタルの駆け引きがどうのこうの…という野球談義であった。なるほど駆け引きがあるのか、だから野球は面白いと言われているのか、わからない自分が悔しいと思った。この悔しさが、私を成長させる。

ここで登場するのが夫である。夫はかつて甲子園に出場したほどの野球少年であり、今でもたまに草野球をするほどの野球親父だ。今まで私はずっと野球に興味がなかったので、夫に「わかったら面白いんだけどな〜」と言われ続け、ムスッとした経験が何度かある。そのため夫にはつば九郎にハマったことも村上宗隆を応援していることも古田敦也の動画を見ていたことも、なんとなく悔しくて話をしていなかった。だが、もう仕方あるまい、ルールを知らなければ次の段階に行けないのだ。夫に助けを乞うた。洗いざらい事の経緯を話し、これから野球を見るときは解説が欲しいとお願いした。覚えるまで何度も同じ質問をすると思うがそれでも教えて欲しいとお願いすると、夫は快諾してくれた。(古田さんの動画をたくさん見て、昭和・平成の野球選手に詳しくなっていたので、そこはかなり笑われた。)

それから夫と野球の試合をたくさん見た。夫は野球の試合が何時から始まるのか、野球のニュースが何時から始まるのか、どんなリーグがあるのかも、メジャーの情報も、全て知っていた。時間がある限りひたすら試合を見たり過去の動画を見て、夫に教えてもらった。

そんなこんなで、現在はどうなったかというと、夫よりも私が選手の情報を早く取り入れられるようになった。夫に「〇〇選手が一軍復帰だって!」とか「今日〇〇のチームが勝ったんだけど、〇〇選手がこうやってこうなって勝ったんだって」とか、教えてあげる役目を担うほどに成長した。また、ヤクルトスワローズの顔である山田哲人選手の今までの栄光がどれほどえげつないことだったのかを知り、同い年ということもあり、村上宗隆選手と同じくらい応援するようになった。古田さんの動画は、野球のルールを知れば知るほど面白くなっていく。「痺れるな〜!」なんて思えるようになった。

ピッチャー、キャッチャー、バッターの駆け引き、ここで必ず打つという鋭い眼光、チームを盛り上げようと声をかける選手たち、チームを心から応援してくれるつば九郎…
こんなに面白い趣味はない。私の野球観戦(つば九郎観察も含む)は、これからも続く。

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