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英語が話せるまでに必要な学習時間は?


TORAIZ受講生の学習データでは800~1000時間

英語をいつ話せるようになるのか?――英語学習をされている方ならみなさん感じている疑問だと思います。資格試験では、公認会計士になるなら2500~3500時間といった勉強時間の目安が語られていますが、英語についてはどうでしょうか。2015年の開校以来、受講生の英語学習データの蓄積がある「TORAIZ語学研究所」の分析では、日本で英語教育を受けてきた社会人が、ビジネスにおいて口頭で英語を使ったコミュニケーションが最低限できるレベルになるためには、平均で800~1000時間が必要です。

出所:TORAIZ語学研究所

このグラフは、TORAIZの受講生が毎月受験する英語のスピーキングテスト「VERSANT」の平均値を時系列で示しています。横軸が学習時間、縦軸がVERSANTスピーキングテストのスコアです。

TORAIZ受講生の学習開始時のVERSANTスピーキングテストの平均はGSE 31点です。日本のVERSANT受験者の平均点はGSE 32点(2018年、ピアソン調べ)であり、TORAIZ受講生の学習スタート地点と同様のスコアです。このグラフによれば、学習開始から1000時間で GSE 43点まで伸びていることがわかります。

GSE 43点は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で「B1」(自立した言語使用者)レベルに当たり、

身近な事柄において伝えたいことの要点を包括的に述べることができる。構文や語彙の選択、もしくは修正のために途切れることが多々あるが、おおむね包括的に話し続けることができる。時々外国語特有のなまりが出ることや発音のミスがあるが、発音は理解可能である。予想可能な状況では、主要な、使い慣れている語彙や構文をほどほどの正確さで使うことができる。

出典:VERSANT日経スコア活用BOOK 簡易版

という英語力です。

これをTORAIZは「ビジネスで通用する英語を話せる」レベルだと考えています。自分の担当する業務の範囲内でプレゼンテーションをして、その後に1対1で英語の質疑応答をこなすイメージです。ここまでに1000時間です。

もし多人数で議論をしている英語のネイティブスピーカーの間に割り込んで自説を述べるというようなシチュエーションに対応するには、CEFR「B2」、GSEスコアで59点以上が必要です。このレベルを目指すのであれば、平均的な日本のビジネスパーソンの場合、1000時間の英語学習では足りないのが実情です。

VERSANTスピーキングテストのスコアについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

英語話者が日本語を習得するのに2200時間かかるというデータも

もうひとつ、アメリカ国務省の付属機関で、外交官などを養成するForein Service Instituteの研究結果をご紹介します。英語のネイティブスピーカーが日本語を学ぶパターンの研究ですが、逆もまた真なりで日本語のネイティブスピーカーが英語を学ぶパターンの間接的な証拠となると考えることができます。それは、文字・語彙・文法の違いから生まれる言語間の距離という観点では同じだからです。

この研究によれば、日本語は“Super-hard languages”と記されています。英語話者にとって最も難易度の高いカテゴリーに位置しており、米国外交官が日本語の習熟に達するまでに平均2200時間の学習が必要とされています。日本人が中学・高校で学習指導要領の通りに1000時間前後学んだだけでは英語が話せないのは、必要な学習時間が足りていないから当然ともいえます。

英語は1年で話せます

Forein Service Instituteの研究結果は、TORAIZ語学研究所の分析とも一致しています。日本のビジネスパーソンが、中学・高校での約1000時間の英語学習に加えて大学や英会話スクールなどで数百時間学習しているとすれば、トータルで1200時間程度になると考えられます。そこからさらに1000時間学習すると、2200時間程度の学習時間となります。

TORAIZでは、この1000時間の学習に1年で取り組みます。「英語は1年で話せます」とお伝えしているのはこのためです。単純計算すると1日3時間。そんなに学習時間が取れそうにないから1日1時間なら…? 3年かかる計算ですが、それだけの長い期間、モチベーションを保ち続けるのはまた別の大変さがありますね。

語学に限らずあらゆる学習には習得に必要な時間がある

このnoteを最後まで読んでくださったみなさんにいまいちど、語学に限らずあらゆる学習には習得に必要な時間があるということをお伝えしたいと思います。冒頭で例に挙げた資格試験のように、この記事が英語学習に取り組まれているみなさんのひとつの参考になれば幸いです。まずは、自分自身の現在の英語力を把握した上で、ゴールとする英語のレベルを決定し、1000時間を前提に学習計画を立ててみましょう。

ビジネスシーンでどのくらいの英語力があれば何ができるかのイメージは、英語のスピーキングテスト「VERSANT」のサイトでも詳しく紹介されています。こちらもぜひ参考になさってください。


これまでにVERSANTスピーキングテストを受験した経験のある方は20~80点のVERSANTスコアになじみがあると思いますが、VERSANTが世界標準の実践的なスコア「Global Scale of English(GSE)」という英語力の指標に基づき10~90の1ポイント刻みでの表記となったため、ここでもGSEスコアで説明しています。






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