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とらぶた自習室 (12) 勉強メモ 野口良平『幕末的思考』第2部「内戦」第1章-1

勉強メモ 野口良平『幕末的思考』
第2部「内戦」
第1章「内戦の経験──第二のミッシングリンク」-1

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(筆)栗林佐知
2023年3月22日のメモ

■戊辰戦争──失われてゆく可能性


新政府軍VS幕府軍 の戊辰戦争は、理念でも正義でもなく、欲と欲の争い。
どちらも、お互いに相手を「賊」と思っていて、それはお互い様だと、お互いにわかっていた。
「自分の方が正義だ」と信じてたわけではないし、お互い目指すところは一つなので、「薩長からも幕臣方からも、有能な人材をだして一緒に新しい政治機構を作る」 という選択肢もあり得たはずだった。

だが、その可能性と「お互い様」を、「錦の旗」は見えなくしてしまう。

目はしが効いて軍事力が強いだけの新政府軍が、「官軍」(正義)を名乗って、押し切ってしまった。
こんな不正義への"抵抗の思想"が、戊辰戦争の中で芽生えてくる。

■マニュフェストの提示


政府軍も幕府方も、どちらも、 欧米列強から「正当な日本の新政権だ」と認めてもらわねばならなかったし、 民衆からも「まっとうな政権者だ」と認めてもらわねばならなかった。
「ちゃんとした政府」だと示すために、マニュフェストの提示が必要になる。
【新政府のマニュフェスト】
=五箇条の御誓文 
〔福井藩士、由利公正(三岡八郎)が初めに起草〕
・管理の任期制
・専制はダメ(万機公論に決し、わたくしに論ずなかれ)  

が! ↓

〔長州の木戸孝允、土佐の福岡孝弟(たかちか)による修正〕
・ドクサイができちゃうかもしれない文言にかわる。

【幕府方は……】
=まだそれどころじゃない……

→ 徳川慶喜は、さっさと降伏
→ 会津藩(京都で幕府を支え、新選組の親方だったので薩長に恨まれてしまった)は「武備はしつつ恭順」の姿勢。
→東北の大藩仙台藩・米沢藩は、新政府方を説得しなんとか和平へ
 だが! ↓
薩長新政府軍は「ダメ!会津と庄内藩は叩き潰す!!」(ナニサマ💢?)
     ↓
奥羽諸藩(仙台藩・米沢藩がリーダー)が集まり重役会議。奥羽列藩同盟ができる (長岡藩も加わり、奥羽越列藩同盟に)。
=ここへきてようやく彼らも、方針・理念を提示する
【奥羽越列藩同盟のマニュフェスト=修正盟約書】
・大義を天下に伸ぶるをもって目的とす
・信をもって属し、義を持って動くべし
・強いからって弱い者を押しのけてはならない(最初は「小藩は大藩の意向に従うこと」と決められてた)
・自分の利益や都合を優先しない
・みだりに百姓に労役を課さない
・無辜の民を殺したり、金穀を奪ってはいけない
(なんか感動してしまう。織田信長の口にこの盟約書をねじ込んでやりたい)

■     私の感想

現代の私たちは、「新しい時代がくるためにそういう戦争があった」みたいに「ふつうのこと」みたく思ってスルーしがちだけれど、この戊辰戦争というのは、本当に新政府方がエグいのですね。
「叩き潰してやる! おまえらなんかいれてやんないもんね!」 と、新政府が襲いかかったのはなぜなのか。
いじめか。ねたみか。
幕府方に有能な人が多いので、ポストの分け前が減るのが怖かったのかしら(枝野さんが山本太郎さんを恐れたのと同じ心?)

そして、「旧式で弱い」かに思われた奥羽列藩軍は、ものすごく抵抗し、かなり強かったのですね。 やっぱり「負けるわけにはいかな」かったのだな。

でもやっぱり、戦争はなんとしても避けたい。
近現代の歴史では、国が市民を戦争に巻き込むとき 「仕掛けてきたのはあっちだ、これは国を守る戦争だ、戦わないなんて卑怯だぞ」という論法をとり、そのさいに会津白虎隊の犠牲なんかが褒め称えられたりして使われがちだから、紛らわしくてイヤだ。
でも「抵抗」の思想を著者が支持(というか「一蹴しない」)のは、共感できる。

とはいえやっぱり、戦争を回避しようとした人がいたと、次の-2で知って、ほっとした。

あー結局、1節ベタ記録になってしまった。。。頭わる;

→ とらぶた自習室(13)野口良平『幕末的思考』第2部 第1章-2

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