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【ブックレビュー】ジョン・ミリントン・シング『アラン島』 (寺田和代)(「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」第1回 アイルランド篇)
■ J・M・シング『アラン島』栩木伸明訳、みすず書房
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19世紀の終わり、欧州を転々としながら“自分探し”中だった25歳の著者が、トリニティ・カレッジの先輩で詩人のイェイツに勧められてやってきたアラン諸島についての文学的紀行文。
初訪問からほぼ毎年、島に部屋を借りて1ヶ月近く滞在するほどアラン諸島に惚れ込んだ著者は、島人の暮らしや仕事の現場に溶けこんで、驚くような観察眼でリアリティに満ちた滞在記をつづり、年寄りが話す伝承や妖精話をまるで目の前で語られているような魅力的な文体で再現した。
行間から海風が吹いてくるような爽やかな読書感。
想像力だけでアラン諸島を旅した気分になると同時に、いてもたってもいられないほど実際の島を旅したくもなる。
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