見出し画像

Vol.7 高校編〜地獄の夏合宿〜

高校1年生の夏休み。初めてのラグビー合宿が行われました。
部活での合宿は初めてだったので気持ちは旅行気分!
合宿は4泊5日ほどの期間です。
前日から入念に準備をしていました。

合宿当日は早朝に学校のグラウンドに集合して、バスで合宿場に向かいます。
ラグビーの合宿といえば有名なのは長野県にある菅平ですが私たちは力もなければ実績もない弱小チームなので菅平になんて行けるはずもなく、地元の合宿場に行く事になっていました。
前にも言いましたが私たちの部活には3年生はおらず、1年生と2年生だけのチームであり、部員も16人でラグビーは15人で行うスポーツの為、本当にギリギリでした。

当日は予定通りに出発し、バスは走り出しました。
地獄の合宿に、、、、

行きのバスの中は非常に楽しかった事を覚えています。
部員同士の仲は良かったので先輩後輩を交えて盛り上がっていました。
一人の先輩がプレステを持ってきたらしく、練習が終わったら部屋に集合してゲーム大会の約束をしました!
練習内容などは全く伝えられておらず、いつ通り軽い練習だけだと思っていました。
その考えは合宿場に着いた瞬間打ち砕かれる事になりました。

合宿場に着いてバスを降りて集合。
時間はだいたいお昼頃だったと思います。
そこで今日のスケジュールを伝えられました。

『今から練習試合3本、終わったら別グラウンドで死ぬまで練習や!覚悟しろよ。』

今思うとこの時からラグビー部は大きく変わったと思います。
今までは軽い練習で先生も怖くなく、和気あいあいと部活をしていました。
それが合宿で一変しました。
おそらく先生は合宿までは甘やかして定着させ、ある程度部員を増やし、逃げられない合宿で叩き込むつもりだったのだと思います。
気合いと根性とラグビーの基礎を。

民宿の部屋に行って着替えたらグラウンド集合。

集合してアップが終わるとすぐに練習試合が始まりました。
とにかく今は目の前の試合をこなしていく事だけを考えて臨みました。
すると早々に事件が起きました。

私の隣のポジションで同じクラスのメンバーがボールを持って走ってきた相手に思い切りタックルに行った瞬間、吹き飛ばされ倒れ込んだまま動かなくなりました。
私はすぐに駆け寄りました。
クラスメイトを見ると痙攣しながら意識を失っていました。
これはやばい。
先生がすぐに駆けつけると試合は中断。
まもなく救急車が到着し、運ばれて行きました。その試合は中止になり、次の試合に備える事に。
クラスメイトは脳震盪との事でした。

クラスメイトが救急車で運ばれる姿を見て私はラグビーを舐めていた事にこの時気付きました。
舐めてかかると怪我をしてしまう。
何とかこの合宿、生き残るぞ。と強く心に誓いました。

その後も連戦が続きましたが何とか試合を終えました。
死ぬほど疲れた。体力は限界を超えていました。
部員全員が満場一致で死にかけていました。

すると先生から、

休む暇はない!こっちのグラウンドにこい!練習やるぞ!

と声がかかりました。

マジか。。。

冗談じゃないぐらいきつかった事を覚えています。

練習メニューはひたすらランパス。

ランパスとは・・・4人ぐらいでチームを作り、全力で走りながら横にパスをしながら前に進んでいく練習です。
いわゆるランメニューです。

いつもはセット数を決めてやるのですが、今回は特に決められずにスタートしました。
やってもやっても終わりになる雰囲気がないので先生に質問をしました。

Q:いつまでやればいいですか?
A:死ぬまでやっとけ。

これは本気だと感じました。

そこから永遠にランパスを繰り返しました。
途中で足を攣っては伸ばして攣っては伸ばしての繰り返しです。
この時だけで10回以上は足を攣りました。

どれぐらいやっていたかは覚えていませんが、
やっとランパスが終わりました。
これで練習が終わると思いきや、休憩も束の間。
続いてOB相手のタックル練習です。

もちろん弾き飛ばされてはタックルの繰り返しです。
この時もランパス同様、足が限界でしたが限界を超え、みんな気分がハイになっていました。

そして日が落ちる中、一番のハードメニュー。

【円タックル】

が行われました。

円タックルとは対象の一人を部員全員で囲み、対象者が誰にタックルするかを選び、選択した相手をタックルで倒す。3人倒すまで終わらない。

という練習なのですが、この練習の辛いところは、
・すでに体が限界の状態で行う
・周りに煽られて自分より体格のいい相手を選ぶ事になる
・相手が倒れないと次にいけない終わらない

といったところでしょうか。

まさに地獄の特訓でした。
身体中が悲鳴をあげて、立つのもしんどい、息ができない状態でした。
先輩の一人はキツさで泣き叫びながらタックルにいっていました。
私も諦めたくなるぐらいやばかったですが、何とか喰らいついていきました。
何とか終わらせて今日のメニューは終了。

先輩と合宿場からの脱獄も本当に考えるぐらいきつかったです。

宿舎に帰ると風呂に入り、食事の時間です。

食事も戦いでした。
ラグビーは体重を増やさないといけないという事でここでもノルマがありました。
鍋料理だったのですが、でかい茶碗に山盛りのご飯を3杯食べるというのがノルマでした。
茶碗のご飯についても自分で盛り付ける事ができず、合宿に参加しているOBの先輩がでかい炊飯器の前に数名おり、食べ終わった部員の茶碗を受け取り日本昔ばなしの様な見事な山盛りご飯を入れてくれました。

元々食べるのが好きだった私は余裕で食べ切ることができましたが、
普段、あまり量を食べない部員は苦労しており、食事の時間が終わった後も残って食べさせられていました。
私は他のテーブルの余った食材を全て集め、闇鍋を作り、残飯処理にあたっていました。

何とかみんなが食べ終えると、食事は終了。
先生から今日の総括があり明日の練習の内容を伝えられて解散。
各自部屋に戻って体を休めました。
明日も早朝から練習です。

〜翌朝〜

グラウンドに集合したところ、来ていない部員が数名いました。
先生はキャプテンに部屋に見に行かせるように指示がありました。

数名は体調不良や発熱などでダウンしているようでした。

昨日の練習で体調不良者が続出してしまいました。
本当に体調が悪くなかった部員もいたかとは思いますが、
あの時の練習のハードさを思うと仮病を使ったのかもしれません。

残りの1、2年生+OBの人でチームを作り、練習メニューと練習試合をこなして行きました。
2日目も限界が来るまで試合と練習を行ないました。

3日目の朝練時、走り込みをしていると右足の甲に違和感を感じました。
気にせず練習を続けていると違和感は激痛に変わりました。
走ると激痛に襲われる為、先生に相談をしました。
副顧問のS先生に足を見せたところ、足の甲が山のように腫れ上がっていました。

『あー。これは完全に折れてるな、、
どうする?このまま合宿残って試合出たいか?』

と聞かれました。
足は折れているが、ここで医者に行ったら間違いなく合宿の練習には参加できない。
この後の試合にも出れない。
意地でも合宿最終日まで残ると決めていた私はスラムダンクのみっちー張りに迷わず答えました。

『試合に出たいです!』

それを聞いた先生は、分かったと了承し、骨折の件は見なかった事にすると言ってくれました。

その後も試合に出続け、練習にも参加しました。
足は痛かったですがテーピングと試合時はアドレナリンの影響なのか、
あまり痛みは感じませんでした。
試合が終わった後は激痛でしたが!笑

そんなこんなで皆んなが脱落していく中、生き残っていました。

しかし、怪我の飛び火が部員内で流行ってきていました。
同じ部屋の同期も擦り傷などが膿み、全身の色んな箇所に飛んでしまい、
熱が出ていました。

気合いと根性の夏合宿は脱落者がどんどん増えていき、
最終的に残ったのは私と同級生の2人のみでした。
結果、合宿最終日は2人とOBのみの練習になり、試合も先生の取り計らいで、記憶だと他の学校の1年チームに混ぜてもらったりしていました。

最終日の夜の食事の際、先生より熱い言葉と表彰がありました。
先生が独断と偏見で決めた賞です。

賞の景品は先生が自腹で用意してくれた合宿場で売っているラグビーグッズだったので数はそんなになかったです。
基本的には2年生に渡されていましたが、一つだけ先生が食事賞というものを用意してくれており、私がもらう事になりました。
景品は先生が学生時代に使用していたヘッドキャップです。
(ヘッドキャップとは練習や試合の際に頭に被り、頭を保護する防具です。)

賞をもらう事ができ、めちゃくちゃ嬉しかったです。
こっそり先生が、
『本当はMVPにしたかったけど2年生の顔も立てなあかんからすまん。』
と言ってくれて、より合宿を頑張ってよかったと思いました。

翌日の帰りのバスは合宿を乗り越えた嬉しさと開放感でテンションがぶち上がりました。
生き残ったもう一人のメンバーと馬鹿騒ぎをして帰ったのを覚えています。

この合宿からラグビー部の体制がガラッと変わり、休みなし、掛け持ち禁止、練習時間は他の部活と比較しても一番長くなりました。
学校内で一番きつい部活No.1になっていきました。

このきつい合宿で生き残った自分の自信になりました。
折れた足は合宿から帰宅後、病院にいきました。
医者にびっくりされました。
折れて少しくっついての繰り返しで人差し指に繋がる骨が異常に太くなっていました。
しばらく安静にという事だったので走る練習はしばらくお休みとなってしまいました。

今回の記事はここまでです。

次回もよろしくお願いします!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?