見出し画像

トップスタジオ翻訳部の基本的な業務フロー

PMの小沢です。皆さんは「翻訳のお仕事」というとどのような流れを想像されるでしょうか。翻訳に普段接する機会のない方であれば、こう思われるのではないでしょうか。

① 一人の翻訳者が英語から日本語に翻訳
② 翻訳した本人が内容を確認し、お客様に納品
③ お客様が内容をチェックして終了(問題があれば翻訳者に連絡)

異業種から飛び込んだ私も、恥ずかしながらそのように思っていた人間の一人で、トップスタジオに入社し、世の中の翻訳物がいかに手をかけられて世に出ているかということがわかりました。

そこで今回は、トップスタジオの翻訳部がどのように翻訳の仕事を進めているかについて書いてみようと思います。

登場人物たち

どのような人たちが翻訳に携わっているのか、イメージを描いてみました。翻訳会社によって登場人物や役割は異なります。ここでは、あくまでトップスタジオでのお話になります。

エンドクライアント=翻訳の依頼主
クライアント=エンドクライアントとトップスタジオの間に入っている翻訳会社
PM=プロジェクトマネージャー。スケジュール調整、翻訳者の割り当て、提供されたファイルや指示書の確認など、プロジェクト全体の進行管理を幅広く行う。エンドクライアント/クライアント、翻訳者、レビューアとの連絡もPMが行う
翻訳者=実際に翻訳をする人
レビューア=社内のレビューア。受注したプロジェクトのレビューはすべて社内レビューアが行う

画像1

翻訳作業の流れ

各登場人物と翻訳作業の流れについて説明します。

まずはクライアントからPM宛てにお仕事の打診をいただきます。エンドクライアントから直接受ける場合もあれば、エンドクライアントと弊社の間に別の翻訳会社(上記の説明でいうクライアントにあたる)が入り、そこから打診を受ける場合もあります。

これ以降、流れを簡潔にするために、エンドクライアントとクライアントは区別なく「クライアント」とします。

打診を受けたら、翻訳部内でそのプロジェクトについて検討を行います。検討内容は、プロジェクトの分野、コンテンツ、翻訳の種類、作業内容、要求品質レベル、CATツールの種類、ボリューム、納期、価格などです。ここで、必要な情報が足りない場合は、クライアントに確認します。続いて、その案件に適した翻訳者を選定します。専門的な知識を求められる分野やコンテンツの場合などは、翻訳者に対応の可否を確認したうえでクライアントにお返事するようにしています。もしも、トップスタジオでは自信を持ってお受けすることができない分野や作業の場合は、お断りをさせていただくこともあります。

また、翻訳者の選定と同時にレビューアのスケジュールも確認し、レビュー作業が発生する可能性があることを伝えます。

案件を受注したら、翻訳者に打診をします(未受注の段階で確認することもあります)。翻訳者からO.K.の返事をいただいたら、必要なファイル(指示書、翻訳作業に使うファイルや参考資料など)を翻訳者に送ります。これを私たちはハンドオフと呼んでいます。

翻訳作業が完了したら、PMから社内のレビューアにレビューの依頼をします。レビューアは表に見えにくい存在ですが、一連の翻訳作業におけるキーパーソンです。

レビューアの仕事が、最終的な翻訳の品質を左右

レビューアとは、その名の通り翻訳物のレビューをする人間です。トップスタジオの翻訳者は、以前noteにも書いた「翻訳者に必要な能力」を兼ねそろえたメンバーですが、それでもレビューの工程は欠かせません。翻訳者も人間で、ミスが絶対にないことはありえないからです。

レビューアがチェックする主なポイントは、原文の解釈に誤りがないか、文法的な間違いがないか、誤字脱字はないか、訳文の根拠は正当か、自然な文章になっているか、お客様のコンテンツの背景を理解したうえで訳されているか等です。レビューでどこまで細かく見直すかは、プロジェクトの要件によります。最近多い、ブログやマーケティング資料など読み物系のコンテンツの場合は、レビューの段階でもかなり細かく原文と訳文を見比べて、より良い翻訳を目指します。内容を深く理解し、ときには突っ込んだ編集を加えつつ、一から日本語で書かれたような自然な訳文に仕上げることが求められる、いわゆる「ハイマーケ」の案件では、レビューアが直接クライアントの担当者様とミーティングを持ち、内容や表現の仕方を確認することもあり、レビューアは重大な役割を担っています。

また、レビューアから翻訳者にフィードバックを行い、翻訳者のコンテンツの理解度を深めたり、起こしがちなミスなどの軌道修正をしたりすることもあります。

トップスタジオでは、安定した品質を保つにはレビューが重要と考えています。レビューに時間と手間をかけるぶん、どうしても全体の作業期間は長く、翻訳料金は高めになってしまいますが、おかげさまで品質については高い評価をいただいており、このレビュー工程は弊社の大きな強みと認識しています。

納品。そして納品後

レビューアによるレビューが終わったら、クライアントに納品します。エンドクライアントに納品する前に、間に入っている会社でレビューを行うこともあり、最終納品がなされる前に、再度こちらで翻訳物の修正を行うこともあります。

また、案件によっては、エンドクライアントのチェック後に、弊社の納品ファイルと最終版ファイルとを比較した「差分ファイル」が提供されることもあります。さらに、オンラインミーティング等で品質についての評価や改善点の確認、こちらの疑問点の解決などを話し合う場を提供してくださるクライアントもいらっしゃいます。それによって案件のコンテンツや、翻訳物の要求品質など、お互いに理解のすり合わせができるので、非常にありがたい機会をいただけていると思っています。

イメージが湧いたでしょうか

以上のような登場人物と流れで、トップスタジオの翻訳物は生み出されています。PM、翻訳者、レビューアがそれぞれの仕事に責任を持ちつつ、より読みやすく、より品質の高い翻訳をお届けできるように心掛けております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?