馬の蹄によく起こる、起こりえる病気

馬にとって足は第2の心臓と呼ばれるほど大切で、足を支える蹄もとても重要です。

馬の健康管理において、蹄の病気や問題が放置されると、健康やパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。
馬の蹄によく起こる病気や問題について詳しく説明します。


 蹄葉炎(Laminitis)

蹄葉炎は馬にとって深刻な問題で、蹄葉の炎症が原因で起こります。
初期症状には歩行困難や足への痛みが見られ、深刻な状態の場合は、命に関わることもあります。

蹄葉炎(Laminitis)の炎症は、様々な要因によって起こります。
重要なのは、早期の発見と適切な治療を行うことで、炎症が進行するのを防ぐことです。
馬の健康を維持するために、定期的な蹄のケアや栄養バランスの確保が重要です。

体内の原因:

過剰な食事: 過剰な炭水化物や糖分の摂取が蹄葉炎を引き起こす可能性があります。
特に、急激な飼料の変更や、大量の穀物の摂取はリスクとなります。

代謝異常: 糖尿病やクッシング症候群などの代謝異常が蹄葉炎を引き起こす可能性があります。

感染症: 内部に感染がある場合、炎症が引き起こされることがあります。

外部の要因:

急激な運動: 過度な運動や強い運動によって、蹄葉に負担がかかり、炎症を起こす可能性があります。

長時間の立ちっぱなし: 長時間の立ちっぱなしや硬い地面の上での活動が蹄葉炎を引き起こすリスク因子となります。

外傷: 例えば、蹄に鋭利な物が刺さったり、外部からの衝撃があった場合、蹄葉炎が発生する可能性があります。


 蹄腫(Abscess)

蹄腫は馬の蹄内に膿が溜まる状態を指します。
通常、急激な足の不調や痛みが現れます。


感染: 蹄の内部に細菌が侵入することで蹄腫が引き起こされる場合があります。
この感染は通常、蹄の裂け目や亀裂を介して起こることが多いです。

蹄に何かが刺さる: 例えば、鋭利な物が蹄に刺さると、それが感染を引き起こす場合があります。

蹄の外傷: 重い物が蹄に落ちたり、急激な衝撃が蹄に加わると、内部に血腫ができ、それが膿に変わることがあります。

炎症反応: 馬が急激な運動や不適切な地面での活動を行うと、蹄の組織が炎症を起こし、それが蹄腫につながる場合があります。

内部の異常: 例えば、蹄の内部の異常な構造や形態がある場合、それが蹄腫を引き起こす可能性があります。

適切な蹄のケアの不足: 適切な蹄のケアが行われない場合、蹄の健康が損なわれ、蹄腫のリスクが高まります。


亀裂(Cracks)

蹄は様々な事由が起因し、亀裂が入ることがあります。

乾燥と湿度の変化: 蹄が乾燥しすぎたり、急激な湿度の変化によって、蹄が収縮や膨張することで亀裂が生じる場合があります。

不適切な蹄のケア: 適切な蹄のトリミングやケアが行われなかった場合、蹄の形状が不均一になり、亀裂が発生する可能性があります。

過度な運動やストレス: 馬が過度な運動やストレスにさらされると、蹄に過剰な圧力がかかり、亀裂が発生する場合があります。

蹄鉄の不適切な取り付け: 蹄鉄が不適切に取り付けられると、蹄に負担がかかり、亀裂が発生する可能性があります。

外部の外傷: 鋭利な物に蹄が当たったり、外部からの衝撃がある場合、亀裂が生じる可能性があります。

栄養不足: 適切な栄養が不足している場合、蹄の健康が損なわれ、亀裂が起こる可能性があります。

寄生虫感染: 蹄内に寄生虫が侵入することで、蹄の健康が損なわれ、亀裂が生じる場合があります。

細菌や寄生虫(Thrush)

蹄内で細菌が増殖し、臭いや腐敗が起こることがあります。
Thrushを日本では蹄叉腐爛と呼ぶことが一般的ですが、Thrushは蹄叉以外の場所でも起こります。

湿度と不潔な環境: 蹄の裏側が湿った状態で、かつ不潔な環境にいると、寄生虫が繁殖しやすくなります。

亀裂(Cracks)が起こる理由として挙げた、不適切な蹄のケア・過度な運動やストレス・蹄鉄の不適切な取り付け・外部の外傷・栄養不足・寄生虫感染なども、細菌や寄生虫(Thrush)の起こりうる要因となります。

発根蹄(Seedy Toe)

蹄の内部に細菌や真菌が侵入し、蹄の組織が腐敗することが主な原因です。
通常、蹄の前部に発生します。

不適切なケア: 適切な蹄のクリーニングやケアが行われない場合、蹄の前部が腐敗しやすくなります。

外部からの外傷: 例えば、鋭利な物が蹄に刺さるなどの外部の傷が原因となる場合があります。

適切な蹄鉄の取り付けの不足: 適切な蹄鉄が取り付けられていない場合、蹄の前部が不適切に支えられ発生する可能性があります。

他の蹄の問題: 例えば、亀裂や傷がある場合、それが原因となる場合があります。

まとめ

馬の蹄の健康は重要です。蹄には様々な問題が発生する可能性がありますが、適切なケアと定期的な点検でこれらの問題を予防することができます。

定期的な蹄のクリーニングとトリミングは蹄の異常な成長や問題を早期に発見できます。
また、蹄の裏側や裂け目の清潔を保つことは、細菌や真菌の繁殖を防ぐために重要です。

馬に運動や活動させる場所では、適切な地面を選びましょう。
硬すぎる地面や鋭利な物が蹄にダメージを与える可能性があります。

馬の栄養バランスもとても大切です。
適切な栄養素を摂取することで、蹄の健康を維持できます。

最後に、定期的な獣医や蹄の専門家によるチェックアップはとても重要です。
専門家の助言を得て、早期に問題を発見できれば、深刻な状態になることを防げます。

蹄の健康を保つために、常に注意深く観察し、適切なケアを提供してください。

トップスママの経験から蹄の問題について

上に挙げた蹄の問題は、私が仕事をしていて、よく聞く、頻繁に起こっている問題です。

蹄腫(Abscess)、細菌や寄生虫(Thrush)、発根蹄(Seedy Toe)は、似ている蹄の問題だと思います。

亀裂(Cracks)が入った蹄や、衛生的に問題のある場所に長時間いた蹄にに、細菌が増殖し、蹄腫(Abscess)、細菌や寄生虫(Thrush)、発根蹄(Seedy Toe)が起こります。

これらの問題が起きている蹄の箇所は、黒く腐り、腐臭がします。

亀裂(Cracks)だけの場合は、広がらないように、装蹄師が整えたり、専用の薬で埋めたりします。

細菌や寄生虫(Thrush)、根蹄(Seedy Toe)は、腐った部分をできる限り切り取り、専用の薬で消毒を続けます。

蹄腫(Abscess)は、馬が跛行するため、気づく事が多いです。
塩水で蹄を浸し消毒した後、問題の箇所に専用の消毒薬を塗布しガーゼ等で密閉し、膿の排出を促します。(うちの牧場は、おむつを使って密閉してます)
跛行が落ち着くまで(数日)は、ガーゼを毎日交換し、密閉を続けます。
その後、しばらくは消毒薬を続けます。

どれも深刻な状態になると、跛行したり、体重を支えられなくなりますが、これらの問題は、私の経験上、命に関わるほど深刻にはなったことはありません。
どれも、発見したときに適切な処置をすれば、治っていきます。

上に上げた問題のうち、一番厄介なのは、蹄葉炎(Laminitis)です。
蹄葉炎(Laminitis)を患っている馬は、馬房で徹底した管理を施すことになります。{他の問題は、(深刻になっていなければ)馬房に入れなくても、治療ができます。}

蹄葉炎(Laminitis)が発症する原因で一番多く見たものは、食事。
治療のかいもなく見送った馬も何頭かいます。

どんな病気も、早期発見と適切な処置がほんとうに重要です。
早期発見するためには、馬の普段の状態を知って、少しの変化に気づかないといけません。

変化に気付けるように、馬の知識を身につけ、たくさん馬と触れ合って、たくさん観察していきましょう(*^^*)

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