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【高校情報1】知的財産権・著作権~情報に関する法規~情報モラル

◆◆はじめに◆◆

文部科学省:高等学校情報科「情報1」教員研修用教材  
第1章 情報社会の問題解決
 学習3 情報に関する法規・情報モラル

高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編):文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416756.htm

学習3の知的財産権(著作権など)の部分についてかなり掘り下げて解説しました。

といっても、現行の「社会と情報」の教科書で8ページ以上にわたって解説されている部分が、教員研修用教材だと、1ページしかないので、現行の教科書ベースに、独自に掘り下げて解説しました。

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◆◆動画解説◆◆


◆◆文字おこし◆◆


はじめに問題です。

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これは僕がさっき描いた馬です。
描いた瞬間に僕にはある権利が発生しています。
その権利をなんというでしょう。

正解は著作権です。
一言に著作権と言っても、著作権は知的財産権の中の1つで
さらにそれも細分化されます。

著作権をはじめとする
情報社会のルールについて勉強していきましょう。

――

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さっきの絵や文書を執筆したり、新しいデザインや機能を考える活動を知的創作活動という。
その知的創作活動の中で創作したときに、創作者に得られる権利のことを知的財産権というんだ。

これは商品の商標や称号などの営業上の信用の維持に関する知識も含まれるんだ。

知的財産権は大きく、産業財産権、著作権、その他の権利に分類される。

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まず産業財産権について見ていこう。
産業財産権は、実用新案権、特許権、意匠権、商標権がある
いずれも、特許庁に出願して認められれば権利として登録される。
この権利が認められる期間は有限で、創作者に対して一定期間の権利を保護した後には、その知的財産は社会で自由に利用できるんだ。

まず、実用新案権は、「物の形状や構造などの技術面のアイデアで早期実施できるものでライフサイクルが短いもの」 になる
例えば、鉛筆の上に消しゴムをくっつけたり、転がらないように六角形にしたりしているものも実用新案権になる。保護期間は出願から10年になる。

特許権は、「物または方法の技術面のアイデアのうち高度なもので実用新案権に比べてライフサイクルが長いもの」になる
例えば、携帯電話の小型軽量化したリチウムイオン電池に関する発明などがある。
保護期間は出願から20年になる。

意匠権は、「物品の形状、模様、色彩など、ものの外観としてのデザイン」になる。
たとえば、グリコの「バトンドール」のパッケージデザインも意匠権を取得しているから、他の人が模倣すると権利侵害になる。
保護期間は登録から20年になる。

商標権は、「商品やサービスについて自他の識別力を有する文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音、ならびにそれらの組み合わせで時間と共に変化するロゴも含む」とされている。
例えば、いま、高校生の人は、ニュースで有名になった「うんこ漢字ドリル」で勉強した人もいると思うけど、これも商標権を獲得しているんだ
保護期間は登録から10年で更新もできる。

こんどは、著作権について見ていこう。
著作権は例えば絵や音楽や写真や動画や文章やコンピュータプログラムなどの著作物を創作した人に与えられる権利なんだ。

さっきの産業財産権は申請が必要だったけど、著作権は著作物を創作した時点で権利が発生するから、権利を得るための手続きは必要ない。

著作物は複数人で創作する場合もおおいけど、共同で創作した著作物で各人の寄与が分離できないものを「共同著作物」というんだ。その場合、創作に寄与した全員が著作者となる。

さらに掘り下げてみていこう

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著作権は著作者の権利と著作隣接権に分けられる。

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著作者の権利の代表的なものを説明していくね。
著作者の権利は著作者人格権と著作権(財産権)に分けられる。
著作者人格権は著作者の人格的な利益を保護する権利のことで、
公表権、氏名表示権、同一性保持権がある。
・公表権 は 著作物を公表するか決める権利
・氏名表示権 は 著作物の公表にあたって、氏名を表示するかしないか、表示するなら実名にするか匿名にするかを決める権利
・同一性保持権 は 著作物の内容などを意に反して改版されない権利になる。

つぎは、著作権(財産権)の代表的な権利について詳しく見ていこう。

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・複製権
 著作物を複製する権利
・上演権・演奏兼・上映権
 著作物を公に上演、演奏・上映する権利
・公衆送信権
 著作物を通信などにより、公衆に送信または送信を可能にする権利
・口述権
 言語の著作物を口述する権利
・展示権
 美術の著作物を展示する権利
・頒布権(はんぷけん)
 映画の著作物を頒布する権利
・譲渡権・貸与権
 映画以外の著作物を譲渡・貸与する権利
・翻訳権・翻案権
 著作物を翻訳、編曲、変形、作り変える権利

次に、著作隣接権について説明していくね。
歌手や俳優等の実演家、放送事業者、CD等の製作者など、著作物などを公衆に伝達する人や事業者を著作隣接者というんだけど、その人や組織が持つ権利を著作隣接権というんだ。

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著作隣接権は、大きく実演家人格権と財産権に分けられる。
実演家人格権は氏名表示権と同一性保持権があるけど、これはさっき説明した著作者人格権と同じ権利になる。

財産権には、許諾権、報酬請求権がある。
許諾権を細分化すると、
・録音権・録画権
 実演家が実演を録音・録画することを他人に許可する権利
・送信可能化権
 実演家が、インターネットなどを利用して、著作物を公衆からの要求に応じて自動的に送信できる状態にすることを他人に許可する権利
・貸与権
 実演家とCD等の製作者が商業用のCD等を貸与することを他人に許可する権利
 ツタヤとかのレンタルショップが思い浮かぶよね
報酬請求権は、商業用のレコードの二次使用料を受ける権利や貸与報酬を受ける権利がある。

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著作権の保護期間は、著作者の死亡した翌年の1月1日から起算して70年間とされている。前は50年だったんだけど、2018年12月に変更された。
著作権などに関する法律は常に変わる可能性があるから、必要に応じて常に最新情報をチェックする癖をつけよう。

著作権には、例外規定がある。
例えば、学校や塾の授業で市販の問題集を複製して配っていたりしない?
これは著作権の例外規定で認められいるんだ。
著作権法第35条に授業での利用 について明記されていて
教育を担任する者、授業を受ける者は、授業の過程で利用するために、必要と認められる限度に置いて著作物を複製できる。ただし、著作権者の利益を不当に害することは違法になる。


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最近はインターネットからいろんな情報が手に入る。
その、著作者が自ら著作物の利用条件を意思表示できるものとしてクリエイティブ・コモンズ
・ライセンスというものがある。
このようなマークの組み合わせで利用条件を意思表示できるんだ。

マークには4種類あって、
BY(表示)
著作者や作品に関する情報を表記しなければならないという意思表示


NC(非営利)
営利目的での利用を禁止する。
もし営利目的で使用したい場合は、直接著作権者にコンタクトを取って許諾を得るなどの必要がある。

ND(改変禁止)
作品自体を改変(加工・編集)せずに、
作品の全部または一部をそのまま利用するようにという意思表示。


SA(継承)
作品の改変は可能だが、もし作品を改変して新しい作品を作った場合には、
その新しい作品にも元の作品と同じライセンスを付けることを要求するアイコン

例えば、「NC(非営利)」と「SA(継承)」の付いた作品を改変して新たな作品を作成した場合は、
新しい作品にも「NC(非営利)」と「SA(継承)」のアイコンをつけなければいけない。

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世の中にはいろんな著作物があるから、
権利を侵害しないように今日話した内容をしっかり把握しておこう。





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