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【高校情報1】音のディジタル化/標本化・量子化・符号化・PCM/共通テスト

◆◆はじめに◆◆

情報Ⅰの大学入学共通テストのサンプル問題に音のディジタル化(標本化・量子化・符号化)の問題がありました。

現行の教科書、基本情報技術者試験の入門書、大学で習った内容などを組み合わせて、動画解説しました。動画じゃないと分かりにくいところだと思うので参考にして頂けると幸いです。
教科書は1ページくらいですが、動画は5ページ分以上です。(5倍詳しいはず・・)

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◆◆解説動画◆◆

■資料ダウンロード■

情報教育の底上げが目的なので、資料を修正して、
学校・塾(営利目的含む)の授業等で利用して頂いて問題ありません。
私への連絡不要ですが、利用する際には、
YouTubeチャンネル・情報Ⅰ動画教科書・IT用語動画辞典を
紹介してもらえると嬉しいです。


https://toppakou.com/info1/download/99_資料/12_音のディジタル化.pptx

4:17 【補足】Hz(ヘルツ)混同しやすい点

アナログの周波数と標本化の際の標本化周波数はどちらも単位はHzになります。
アナログ波形ベースでは4回波打っているので4Hzです。
ただ、サンプリング周波数は1秒間に標本化する回数なので10Hzです。

高校情報の教科書の引用では
■アナログ
 1秒間に含まれる波の数を周波数と言い、単位をヘルツ[Hz]であらわす。

■標本化周波数(サンプリング周波数)
 1秒間に標本化する回数を標本化周波数という。
 ⇒これも単位はHz

標本化の説明として後者の10Hzで説明しています。

◆◆文字おこし◆◆

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先に問題です。音には波の性質があり、あなたにこの声が届いているのは、空気中を音が伝わっているからです。
音のアナログ情報を波の形で表したものです。最も低い音はどちらでしょうか?

回答ありがとうございます。この動画の中で詳細説明していきます。

今日は、アナログの波の形をした情報がどのように、0と1の二進法で表されるディジタル情報に変換されるのかということを説明して、実際に試験問題にチャレンジしていきます。

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先ほど少し触れたように音には波の性質があります。
正確には、音とは「振動」のことです。空気や物を振動させることで連続して伝わる波のことになります。音波とも言ったりします。
実際の空気の振動は目には見えませんが、糸電話はかなり遠くの人と話せますよね。
これは糸が振動し音を伝える媒介となっている為です。
その証拠に途中で、糸を指でつまんで波の伝わるのを遮ってしまうと、相手に音が伝わらなくなってしまいます。

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音はアナログの波形で表すことができます。
マイクロフォンを略してマイクと呼ばれる機器を使うことで、空気の振動を電気のアナログ信号に変換することができます。
マイクの中にはダイアフラムと言われる空気の振動をキャッチする部分があります。
マイクはダイアフラムでキャッチした振動、つまり空気の圧力の変化を電圧に変換する装置で、マイクを通すことで電気のアナログ信号に変換します。

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この波の振幅つまり高さが大きくなるほど音が大きくなり、波の高さが低いほど小さな音になります。
工事現場などで、今の騒音を数値で表示していることがありますが、音の大きさはデシベルという単位で表します。

波と波との間の間隔が短いほど音は高くなり、間隔が長いほど音は低くなります。
一番初めのクイズは、音が低いものを選ぶ問題でしたので、右側が正解となります。

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1個の波の伝わる時間を周期と言います。
たとえば、この例は1秒間に2回波打っているので、周期は0.5秒となります。

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1秒間に繰り返される波の回数を周波数といいます。この周波数が大きいほど、波の間隔は狭くなるので高い音に感じます。
1秒当たりの振動数の単位には、Hz(ヘルツ)を用います。
たとえば上のなみは1秒間に1回だけ波打っているので、1ヘルツ
下の波は1秒間に5回波打っているので5ヘルツとなります。

人間が耳で聞くことができる周波数は個人差はありますが、20~20,000Hzといわれています。

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この連続したアナログの波形をディジタル化するには、
標本化、量子化、符号化の順に処理が行われます。

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まず、標本化について説明します。
まず、標本化はアナログデータを一定の時間間隔で区切り、その時間ごとの信号レベルを標本として抽出する処理のことです。標本化はサンプリングともいいます。

実際にやっていきましょう
これは、とある音声の1秒間のアナログ波形です。
縦軸は圧力(音圧)を表し 横軸は時間で右端を1秒とします。

このアナログ波形を一定間隔で区切ります。
そして区切った線と波の重なる部分に点を打っていきます。この点のことを標本点といいます。
この作業を標本化またはサンプリングと言います。

このときサンプリングの時間間隔を標本化周期またはサンプリング周期といいます。

そして1秒当たりのサンプリング数を標本化周波数またはサンプリング周波数といって、単位をヘルツで表します。

今回の場合は、1秒に10個サンプリングしているので10Hzということになります。

音楽のCDのサンプリング周波数は44100Hzです。これは、1秒間に44100回のサンプリングしている意味になります。
一般的にサンプリング周波数の値が大きいほど、音質が良くなります。

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つぎに量子化を行っていきます。
量子化は信号レベルを何段階で表現するかを定めて、標本化したデータをその段階数に当てはめて整数値に置き換える処理になります。

今回は0から7までの8段階にします。
さきほどサンプリングした値をこの段階値に最も近い値にわりあてていきます。
この作業を量子化と言います。
そして、サンプリングした波形の値を2進法基準で何段階で表現するかを表す値を量子化ビット数といいます。
今回は0~7までの8段階ですが量子化ビット数は3となります。
ビット基準だと2進法なので000~111 の3桁で8種類を表すことができます。 
これは2の3乗 の指数部がビット数となります。仮に16段階だとすると2の4乗となるので量子化ビット数は4となります。

量子化した際に、サンプリングした値を切り捨てや切り上げをして整数値に変換しますが、その時生じる誤差を量子化誤差といいます。

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次に符号化を行っていきます。
量子化した値を順番に2進法に変換していきます。

縦軸を10進法から2進法に変換します。
0~7なので000から111までで表されます。
この時の桁数は量子化ビット数の桁数に合わせます。今回の量子化ビット数は3ビットなので3けたで表します。仮に1だとしても001と表すようにします。

この作業を符号化またはコード化といいます。

今やった標本化→量子化→符号化の処理を行ってアナログ信号をディジタル信号に変換する方法をPCM方式(もしくはパルス符号変調方式)と言います。


――――――
次にデータ容量を計算していきましょう。

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データ容量は、1秒間のサンプリング周波数(Hz)×量子化ビット数で表されます。
今回はサンプリング周波数は10ヘルツ 
量子化ビット数は3ビットでしたね。
それを掛け合わせると1秒間のデータ量は30bitとなります。

ただ、試験で問われるのは〇〇バイトで答えましょうということが多いです。
8bitは1バイトとして計算するので、30bit÷8をすると3.75となり、バイトという単位で表すと3.75バイトとなります。
これは1秒間のデータ容量なのでかりに1分のデータ容量を求めたい場合は
1秒当たりのデータ容量である30bitと60秒を掛け合わせて1800bitとなり、バイト換算の為に、8bitで割ってあげると225バイトとなります。


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それでは今説明した内容で実際に試験問題を解いて行きましょう。

基本情報技術者試験 平成31年春 午前問25

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音声のサンプリングを1秒間に11,000回行い,サンプリングした値をそれぞれ8ビットのデータとして記録する。このとき,512×106バイトの容量をもつフラッシュメモリに記録できる音声の長さは,最大何分か。

サンプリングを1秒間に11,000回行う という文言からサンプリング周波数は11000Hzとなります。そして、サンプリングした値をそれぞれ8ビットのデータとして記録するという文言から量子化ビット数は8bitになります。
1秒当たりのデータ容量はサンプリング周波数×量子化ビット数なので、11000×8で88000bitとなります。
フラッシュメモリの単位はバイトなので、今求めた88000ビットをバイト換算するために8で割ると、11000バイトとなります。

1秒あたり11000バイトのデータ容量が必要ということになります。
フラッシュメモリの512×10の6乗÷11000バイトをすると46545秒となります。分に換算するため、60秒で割ると775.75となり、整数値だと775分が答えとなります。

以上になります。


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