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【高校情報1】MACアドレスとARP/LAN内のデータ転送(スイッチ)の仕組み

◆◆はじめに◆◆

情報Ⅰの大学入学共通テストの試作問題に同一ネットワーク内(LAN)のデータ転送の問題がありました。
MACアドレス、ARP、L2スイッチの用語を体系的に理解していないと解けないので今回の動画で基礎知識解説を行いました。

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◆◆解説動画◆◆

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情報教育の底上げが目的なので、資料を修正して、
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私への連絡不要ですが、利用する際には、
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https://toppakou.com/info1/download/99_資料/10_MACアドレス_スイッチ.pptx

◆◆文字おこし◆◆

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IPアドレスについて説明した動画で、ルータはネットワークを区切り、相互接続する機器スイッチは、同じネットワーク内でデータ転送を行う機器 と説明しました。

今日は、同一ネットワーク内でデータがどのように転送されていくかということについて説明していきます。

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同一ネットワーク内でデータ転送を行う為に必要なものに
MACアドレスがあります。

MACアドレスとは、パソコンやルータなどのネットワーク機器などについている固有の識別番号になります。

同一ネットワーク内では、このMACアドレスがそれぞれの端末の住所の役割を果たします。

表記方法はFF:AB:CD:EF:12:34
のように0~9 A-Fの16進法であらわされます。コロンはIPアドレスのドットと同じで、二けたごとに区切るものになります。区切り文字はハイフンだったりただのスペースだったりします。
2進法に変換すると 48bit つまり0と1の48桁になります。


前半24bitはOUIいう名前の、ベンダー番号が割り振られます。メーカー固有の番号になります。
後半がそのメーカが付けるシリアル番号になります。

例えばAPPLEのOUIは00-1B-63になります。

だれがメーカごとの取りまとめをしているかというと
IEEEというアメリカに本部を置く技術標準化機関が管理しています。

基本的にこの番号は他の機器と重複しないように世界で一つになるように付けています。

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自分のパソコンに割り振られたMACアドレスを見るには
windowsの場合は、コマンドプロンプト
立上げて、ipconfig -allと入力したら見れます
MACアドレスの公開はあまり望ましくないので、一部をマスキングしてあります。

複数のMACアドレスが表示されています。パソコンという機器に一つということではなく
例えば、無線LANと有線LAN二つのネットワークインターフェースを持っている場合は2つでてきます。
有線LANの場合、このようなコネクタの差込口がパソコンについていると思います。

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この、同一パソコンでも、ネットワークの入り口が二つあるイメージです。
同一パソコンでも、ネットワークの入り口が二つあるイメージです。


それではデータ転送の仕組みを説明していきます。

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端末AからDまで4台あってそれがスイッチにつながっています。

MACアドレスは長いのでここでは簡略化して端末AならMACアドレスAとします。

端末のIPアドレスは192.168.1.1から順番に割り振ります。

端末Aから端末Dと通信します。
はじめのデータ転送は、相手のIPアドレスは知っているけどMACアドレスは知らない状態なので、端末Aは端末DのIPアドレスに対応するMACアドレスを問い合わせます。

このIPアドレスからMACアドレスを得るプロトコルをARPと言います。
問い合わせの時に出力されるデータのことをフレームと言います。


ARP要求のフレームはまずスイッチに届きます。
スイッチは、どのポートに端末Dがつながっているか分からないので要求のあったポート以外、全てのポートから、IPアドレス192.168.1.4が割り振られている端末のMACアドレスを教えてくださいとARP要求をだします。 この受信したポート以外のすべてのポートから、フレームを送出することを、フラッディングといいます。
スイッチにつながっている。端末D以外は、自分自身には関係ないということで、届いたフレームを破棄します。端末Dは自分自身のIPアドレスだとわかるので、MACアドレスを応答します。この応答をARP応答と言います。
そして問い合わせ元の端末Aに端末DのMACアドレスを返却します。
端末Aは手に入れたMACアドレスで端末Dとデータのやり取りが行えるようになります。

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ここで覚えておいてほしい用語に、MACアドレステーブルとARPテーブルがあります。

MACアドレステーブルはスイッチのボートとつながっている端末のMACアドレスの対応表になります。
スイッチは、はじめはどのポートにどのMACアドレスを保持している端末が繋がっているかは初めはわかりません。


ARP要求があった時に端末AのMACアドレスが分かるので、接続先のポートと対応づけて保持しておきます。
そして、ARP応答があった時に端末DのMACアドレスが分かるので、接続先のポートと対応づけて保持しておきます。
次回から特定のMACアドレス宛ての通信があった場合は、そのMACアドレステーブルを参照して、そのポートからだけデータを送出します。


ARPテーブルはIPアドレスとMACアドレスの対応表になります。
端末Aは、ARP応答があったときに端末DのIPアドレスとMACアドレスの紐づけをARPテーブルに書き込みます。次から端末Dとの通信はARPをわざわざせずに、ARPテーブルをみて、そのMACアドレスで通信をします。

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いまは1台のスイッチで解説しましたが、試験時はスイッチが連なっているパターンで問われることがあります。
考え方は同じです。

スイッチ① ② ③があって

スイッチ①のポート1番につながっている端末Aと、スイッチ③のポート4につながっている端末Dが通信するとします。
MACアドレステーブルの更新状況も確認しながら流れを追いましょう。

まずは、端末AはARP要求を出します。
スイッチ①は ポート1番に端末Aが繋がっていることがわかるので、MACアドレステーブルを更新します。ARP要求フレームをフラッディングします。

スイッチ②の1番ポートにもフレームが届きます。スイッチ②は、1番ポートの先に 端末Aが繋がっていることがわかるので、MACアドレステーブルを更新します。
ARP要求フレームをフラッディングします。


スイッチ③の1番ポートにもフレームが届きます。
スイッチ③は、1番ポートの先に 端末Aが繋がっていることがわかるので、MACアドレステーブルを更新します。

スイッチ③も要求フレームをフラッディングします。そして、スイッチ③の4番ポートにつながっている端末Dは要求フレームが自身のIPアドレスと一致するので、ARP応答として端末A宛てにMACアドレスを返却します。

スイッチ③はその応答をうけて、ポート4番の先に端末Dがつながっていることがわかるので、MACアドレステーブルにポート4番と端末Dの紐づけを追加します。
ARP応答を1番のポートからだします。

スイッチ②はその応答をうけて、ポート4番の先に端末Dがつながっていることがわかるので、MACアドレステーブルにポート4番と端末Dの紐づけを追加します。
ARP応答を1番のポートからだします。

スイッチ①はその応答をうけて、ポート3番の先に端末Dがつながっていることがわかるので、MACアドレステーブルにポート3番と端末Dの紐づけを追加します。
ARP応答を1番のポートからだします。

応答を受け取った端末Aは、端末DのIPアドレスとMACアドレスを対応づけてARPテーブルを更新します。

端末Dにデータを送信する際はスイッチもMACアドレステーブルを参照し、端末Dのつながっているポートからだけフレームを送出します。

以上が、同一ネットワーク内のデータ送信の基本になります。
最後までご視聴ありがとうございました。




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