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正解なんてないし、正解じゃなくてもいい。|あの子に聞いてみた vol.01

今何を見ている?気になっていることはある?将来の夢は何?と気になる"あの子"に質問するシリーズ。第一回は「校長先生アドバイザー」を目指す現役大学生・鳥居紗歩ちゃんにインタビューをしてきました。自己肯定感=自分で自分を大切にする力だと彼女は言います。教育の、先生の、あるべき姿って?

体育館で号泣した夏 

高校最後の夏休み前の終業式で校長先生の話を聞いていたらなぜか急に涙が止まらなくなって(笑)。「あ、私、校長先生になりたい!」って唐突に思ってからずっと今まで、将来の夢は校長先生になること。

厳密に言えば、校長先生アドバイザーのような仕事をしていきたいと思っています。実際に今そういう名前の職業が確立されてはいないから、大学の教授が教育機関の補佐的役割に入ることが全国的には多いみたいなんだけど、今はそれを自分の職業にするために奮闘中です。

📟 Behind Talk
🎤:校長先生の話がそんなに感動したとか?
紗歩:ううん、全っく内容は覚えてない(笑)どうしてあの時にそう思いついたのか今だに分かんないんだよね。


「生徒想い」な学校づくり

高校時代、担任の先生たちを見ていて、私たち生徒から見た「生徒想いじゃないな」と感じる瞬間が多くありました。先生たちが学校のメンツとか、先生同士の立場に縛られていたからだと思うのだけど。でも、先生が自分の職業として先生を選んだ理由ってもっと熱意のこもったものだったと思うんです。

だから、先生たちがやりたいことをそのまま行動に移せるような環境が整えられれば、ベストな学校が作れると考えて、最初は先生たちが働きやすい学校づくりを目標にしていました。先生のやりたいことをやらせてあげるよ!ひいてはそれが生徒のためになるでしょ、って。

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新しい目標

実際にどうしたらいいかなと思っていたタイミングで、SCHOP SCHOOL(当時はany school)っていう、子どもの感性と表現力を育むことをテーマにしたサマースクールを開催している団体を見つけて、参加する子どもたちを募集しているページからボランティアに応募したんです。

スコップスクールで一からの教育機関づくりに携わることで、学校をつくるのには莫大に費用がかかることと、国からの認可が降りるのがいかに難しいかを学びました。学校を作るのが難しいのなら、アドバイザー的立ち位置で教育に関わろう、と新しい目標を立てました。

あと、ボランティアを通して子どもたちと実際に接するようになってから、より子どもが持つ可能性をヒシヒシと感じています。初めてカタカナに触れる子が、30分もしないうちに全部のカナを覚えていく場面に遭遇したことがあって、子どもって無限大だな!って本当にワクワクしたんです。そういった子どもの無限大さを狭めない環境を作りたいなと考えています。

私は特別?

大学2年から始まったゼミ活動がきっかけで、自分のやりたいことが明確になりました。私が所属していたゼミは就活第一優先で、みんなで大企業を目指しましょうねっていう雰囲気だったから同期は学部の中でもやる気がある人の集まりだったのだけど。ゼミ活動を進めていく中で、私が思い切った選択をすることとか、責任のある役割に立候補することが増えていって、そしたらなぜか同期から「紗歩はすごいなぁ、私にはできないな。」って言われることも増えていきました。

私は特別なことをしているつもりは無かったから、何が同期たちに自分にはできないって思わせているのか不思議だった。原因は自己肯定感にあるんじゃないかって気がついてから、自己肯定感の育み方についても考え始めたんです。

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自己肯定感=自己評価が高い、じゃない

自己肯定感=自分に対する評価が高いって捉えられがちだけど、私はそうじゃなくて、自己肯定感=自分を自分で大切にする力だと思っています。

自分がどうしたら一番嬉しいかを逃げずに考えて、自分を自分で大切にする力を蓄えていけたら、良い意味での自分本位な行動を増やせると思う。その経験を積み重ねて初めて、世間一般で言われる“自己肯定感(=自己評価が高い)”に結びつくんじゃないかな。

自分が持っていないものを持つ他人を羨ましく思える時があるかもしれないけど、逆に言えばその人が持っていないものを、自分は持っているのかも。すでに在るものを自己肯定していければ、自分が楽に、軽やかに生きやすくなるんじゃないかな、って思っています。

正解じゃなくてもいい

私たちは大人になっても、いつもどこかで正解を選択しなければ、と考えてしまう癖があると思うんです。他者にとっての正解を求めるうちに、自分本位な選択ができなくて苦しくなってしまう。自分本位な選択を増やすには、自分の経験に真摯に向き合うしかないと思います。例えば誰かを励ます時に、自分が落ち込んだ経験を思い出して言葉を探すように、過去の経験からでしか自分はつくられない。

自分の人生を振り返るって練習をしていないとできないことだけど、自分の経験をそのまま受け入れることが大事だと思います。どんな選択にも正解なんてないし、正解じゃなくてもいい。そういう、私と同じ考えを持った大人を集めて子どもを育てていきたいです。

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鳥居紗歩
1998年6月生まれ。中学・高校での生徒会長経験を経て「先生」の在り方をありのままにするため教育に興味を持つ。趣味はキャンプとピクニック。
text / interview by カヅキ
1998年12月生まれ。コンセプチュアルマガジン・toothpastes magazine編集長。同誌ではライティング、編集と共にデザインも担当。音楽、映画にファッションや化粧品と雑誌まで吸収できるものはなんでも好き。


※この記事はtoothpastes magazine issue.01に掲載されたものです。
 (取材時:2019年9月)