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◆アートヴィレッジとうおん コラムⅣ◆ ~童謡に思いを込めて~

いよいよ本格的に肌寒くなってきました。こんな時期には温かい食べ物でも食べて英気を養いましょう。
さて、アートヴィレッジとうおん コラム第4弾です。
東温市の魅力をアピールしようと始動した歌プロジェクトの次のステップとして、東温市内にて美しい棚田が見れる井内の春夏秋冬を歌った『棚田の四季』の創作が始りました!どんな内容になるのか、ぜひコラムを覗いてみてください。

筆者:忠の仁(ただのじん)氏 -演出家/作詞家-
桐朋学園大学短期大学部演劇専攻科卒業。早稲田小劇場に入団し、2年間を過ごした後、ミュージカル劇団いずみたくフォーリーズに入団。その後独立し、1991年オフィスJINを設立。舞台芸術学院ミュージカル科本科の担任を経て、東温市地域おこし協力隊に就任。
現在は東温アートヴィレッジセンターにて、とうおん舞台芸術アカデミーのアカデミー長を務める。

~童謡に思いを込めて~

東温市の魅力を歌によってアピールしようとして始めた歌プロジェクトは、さくらひめをテーマにした『桜色の奇跡』に続いて第二弾、井内の棚田の春夏秋冬の美しさを歌った『棚田の四季』という作品になった。

今度は前回と違って童謡の形にしたのだが、4曲を繋げて童謡組曲という大それた試みに挑戦した。僕は由紀さおり・安田祥子姉妹の童謡コンサートを3年間演出したことがあって、童謡への思い入れはかなりあったのだが、実際に童謡の歌詞を書いたことはない。だから全く新しいチャレンジであったわけだ。案の上、いざ書くとなると歌い始めの歌詞がまるで浮かばない。有名な童謡の歌詞から離れることが出来なかった。「卯の花の匂う垣根に」とか「夏が来れば思い出す」とか数え出したらキリがないくらい名曲が浮かんでしまって、そのたびに腰が引けてしまった。また「どんぐりころころどんぶりこ」とか「みかんの花が咲いている」とか、そのあまりのさり気なさに打ちひしがれる思いだった。

作曲は、桜色の奇跡と同じ寺田ひかりさん。彼女はミュージカルの歌はあまり知らないのだが、音楽療法士として、毎日のようにご高齢の患者さんにピアノや歌を披露して、心のケアを行っている女性である。その時のリクエストの中に童謡が多いらしく、得意分野だ。「棚田の写真をずっと見ていればきっといい言葉が浮かんでくるはず」というアドバイスに助けられ、四季の詩を書こうと思いついた。そしてそのおかげだろうと思うが、どうにか童謡の姿が見え始めてきた。水が張られた春の田んぼの姿。夏は風にたなびく稲の騒ぐ音や蝉や蛙の鳴き声などのシンフォニー。収穫前の楽しそうな棚田の景色、そして雪にすっぽりと覆われた静寂の冬。そして再びめぐりくる春。

なんとなく全体が掴めたと思ったら、不思議にもスラスラと童謡の歌詞が浮かんできたのだ。そして寺田さんの曲も、『桜色の奇跡』とは比べ物にならないくらいのスピードで素敵なメロディーが生まれ、実に素晴らしい曲が出来上がった。

こうして出来た『棚田の四季』を、今度は誰に歌ってもらおうか、などと想像するだけで楽しくなる。童謡である以上、世代を超えた人たちに受け容れられたらと願うばかりだ。

僕が東温市に、そして井内地区の活性化組織とか井内棚田FAN CLUB事務局とかに話を持って行って、実りある成果につながる様にしたいと思っている。棚田の美しい風景と共に、その四季の童謡がSNSなどで拡散されることを望む。そのためにはまた素晴らしいプロの歌い手さんに一肌脱いでいただく必要があると思うが。

少しでも東温市に恩返しができるようにという思いから始めた歌プロジェクトだが、いい曲が生まれ人々の心に触れる作品が出来れば存外の幸せだ。

        2020.10.5       忠 の 仁

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