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行く宛のないダイレクトメール

午前中に膝の具合を診てもらいに市立病院の整形外科へと出かけた。先生の忠告どおりに筋トレをしているので、以前より膝の痛みは減ったのだが、膝のサポーターを外すと痛くて真っ直ぐには立ってはいられない。それでもかなり症状は楽にはなったのだが、今はそれよりも膝の裏側が痛いのだ。仕事中にずっとサポーターをして動き回っているので、膝の裏の皮がむけてしまって、ただれている。これが痒いし痛い。

サポーターをしないと膝が痛いし、サポーターをすれば膝の裏が痛い。……泣けてくる。

貼るタイプの鎮痛剤の他に軟膏を処方してもらい、次回は一ヶ月後の予約となった。

そのまま実家へ顔を出す。兄から連絡があって「洗濯機が壊れたので買いに行きたい」とのこと。前回は電子レンジが壊れていたので、立て続けに家電が壊れていく。

実家の玄関のドアを開けると、棚に亡き父あてのダイレクトメールが置いてあった。裏面に青汁やサプリメントやらが掲載されている。どうでも良い郵便物だったので、そのまま開封もせずにゴミ袋に入れた。

洗面所で壊れた洗濯機をどかして、洗濯機が置ける寸法などを調べて兄に「二人なんだから、安いので大丈夫だよ」とアドバイスをして、二階で母とお留守番。相変わらず母に話しかけても母は頷くだけで声を発しない

ぼーっと先程のダイレクトメールの事を考える。

別段、わざわざ連絡をして父宛の郵便を停めるのも面倒なのでそのままにしたが、あの会社は僕の父が亡くなったことを知らないのだ。また来月も送ってくることだろう。

以前、実家の電話を停めたので実家へ連絡するには、兄の携帯番号に電話をかけるしかない。当然、兄の番号を知らない人は連絡が取れないことになる。父の交友関係も、母の交友関係も知らない。解約した昔の電話番号にかけている両親の知り合いの方が居るとしたら、とても申し訳ない……。

僕の家もインターネットの回線を変更した時に家の番号を捨ててしまった。仕事先は携帯電話の番号を教えただけだ。

僕に突然、何かあったときは? 

携帯電話にはロックがかけてある。友達は急に僕と連絡がつかなくなる。僕の住所を知っている友人は少ない。

実家の写真を整理した時に、母が友人と写っている写真が何枚もあった。元気だった頃は、母の口から母の友人の話を聞いたこともある。

僕のことすらよく解っていない母は、もう友人に連絡をすることはないだろう。

歳を取ると、皆んなこんな感じなのだろうか? 

亡くなった後でも、律儀に最後まで連絡をくれるのは、健康食品の会社だとは皮肉な話しだ。


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