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ゴミの城〜022~兄と喧嘩

これまでのお話

実家には母親と兄が住んでいる。母は認知症気味で目の焦点も合わず、いつもベットの上で横になっていて、僕が行っても言葉を発することはまずない。兄は中学生の頃から引きこもりで、現在は介護4級となった母親の面倒を診ている。

実家のゴミ屋敷を綺麗にしようと通っていても、いつも「母親が亡くなったら、家は売ることになるのではないか?」と思いながら掃除をしていた。

先週、実家に行ったときに兄に「母親の貯金から、いくらか出して家を直そう」と提案してみた。少しばかり貯金があるので、母親が亡くなったら僕が家に入るので、一ヶ月くらい時間を開けるから、少しお金をかけて家を綺麗にしよう。と話したのだが、兄は「……うん、考えておく」といつも通りの答え。

父親が亡くなったときもそうだった「もうお父さんは永くないと思うから、亡くなったあとの準備をしときなよ」と言ってあったのにそのままで、父親が亡くなったと兄に連絡を貰い、弟と病院へ行き葬儀屋で葬儀の手配を済ませて実家に顔を出すと「互助会に入っているから、それならお金がかからないのに……」と言われてしまい、結果無駄にお金を払うことになる。亡くなったあとの身内の連絡先などもわからない。準備をしときなと言っておいたのに……。

母親が転んで硬膜下血腫になり手術をして入院、退院するとなったときも、母親の部屋は二階だったので「退院したらお母さんは一階じゃないと駄目だよ。歩けないでしょ」と言ったのだが「一階はお父さんが居たので怖がる」と譲らず。父は母親が認知症気味で家から逃げ出したり、訳の分からないことを言ったりしたときに怒ったりしていたので母は父を怖がっていたらしい。
「夜中に出歩いて階段で転んだりしたら死んじゃうよ」「この先、お母さんは悪くなることを考えないと駄目でしょ」と言ったのだが、結局兄が母親の面倒を観るので兄の意見を尊重して、今まで通り二階の部屋にして様子をみることにした。

母親が退院するとき、兄と迎えに行ったのだが、母は一人で歩けるとかいうレベルではなく、歩こうという意志もなく、二人で抱えて車に乗せるほどで、兄に「やっぱり一階じゃないと駄目だよ」と言ったのだが無駄だった。それでも会うたびに一階を勧めたのだが、ある日、実家に行ったら二階の母親の部屋に新しいエアコンが付いていて一階を諦めた。そもそも僕が実家の掃除を始めたのは、母親が足が悪く階段が大変だから一階に部屋を作ろうと、当時まだ生きていた父に一階の掃除をさせてくれと頼んで始めたというのに……。

そんなこんなで、今後のことを考えて「今ならある程度時間が取れるから、やるなら今のうちに直そう。母親が亡くなったら俺が住むから」と頼んだのだが聞き入れてもらえず「お母さんが亡くなったらどうするの?」と話していくうちに煮えきらない兄の姿勢に腹が立ってきて、兄は兄で「なんでお母さんが死んだとこを考えるんだよ! 長生きしてもらうことを考えるんだろ!」
「長生きしてもらいたいけど、亡くなったときのことを考えないと駄目でしょ!」
「おまえは薄情だ!」
「そもそもお母さんが亡くなったら家だってお金だって兄弟で分けなくちゃだからね!」
「もう来なくても良い。おまえにお母さんのうんちが拭けるのかよ!」
「もう来ないよ!」
と言い合ってしまった。

休みのたびに実家に行って掃除をしたって兄は手伝うこともないし、帰りに「ありがとう」と言うわけでもなく、掃除の道具や家を修繕するのに十万以上も使っている。それに対して文句を言ったこともないし、お金を請求したこともない。そもそも家族が居るのに兄貴と住むと言ってるいるのだ。その前に少し綺麗にしたかったのだけど……。溜まっていた感情が爆発してしまった。

言いすぎてしまった。兄とは価値観が違う。ゴミと隣り合わせに暮らしてきたので、僕がカビだらけの浴室を掃除しようとしたときも「昨日、掃除したよ」と普通に答える。昔から家にはゴミがあるのだ。それを僕が片そうとも、元々気にならないのだから片したところで何も思わないのだろう。現在の兄にとって母親は絶対だ。亡くなることは考えないというより、考えたくないのであろう。

一応、話の真意とカッとなって言ったことへの謝罪を紙に書いて置いてきた。もちろんそのあと兄から連絡はない。

まったくもって、やる気がでない。

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ゴミの城〜023~庭の木


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