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土砂降りの雨でも長靴を新調すれば外に出たくなる!

 朝から降り続く雨、紫陽花の花びらが白とピンク、紫や青色に道路脇の垣根を彩る。舗装されていない道に出来たいくつもの水溜まりを下ろしたての長靴を履いた男の子が黄色い傘をクルリ、クルリと回しながらピョコン、ピョコンと楽しそうに歩いている。

 いきなりだが「水溜まりに下ろしたての長靴」は強いと思う。鬼に金棒、むしろ鬼が金棒を捨てて機関銃を両手に持つ程に強い。

 頭に黄色い通学帽を被り、背中には黄色いカバーを付けたランドセル。右手に黄色い傘を持ち、明日は休みなのだろう左手には上履きが入った袋と給食の割烹着が入った袋をぶら下げている。そして足元にはピカピカに光る青い長靴。それは魔法の靴だ。どんな水溜りだって気にせずに進んで行ける。

 おそらくそれが、幼いながら「自然に打ち勝つ」という最初の体験なのだろう。まぁその後、自然の絶対的な強さを知る事になるのだけれども。まずは一勝。

 そんな一日も確かにあった。

 今では早朝から雨が降れば、仕事に行く意欲が低下するだけだし、休日に雨が降れば外には出て行かない。濡れる濡れないは関係ない。気持ちでやられている。いつからか雨には負けっぱなしになった。

 桜の花も散り、ようやく暖かくなってきた。次は夏が来る。先日、腕時計を新調した。長靴は買わなかったが、新しくランニングシューズも買った。

 外に出よう。

 梅雨入りをしたら長靴でも買ってみようかな。そうなったら、もう雨には勝ちっぱなしだろうな。

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