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ビキニアーマーについて調べた話♪

 ふとビキニアーマーをwikiで調べた時に、その情報に違和感があって色々調べる事にした。今回はその話。

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■結論下記長々読むのが辛いと思う人用。……アンチクライマックス。
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 ビキニアーマーは日本の呼称で、1980年代後半のどこかでつけられた模様。

 日本では、恐らく1983年7月公開映画「スターウォーズ ジェダイの復讐」のレイア姫の奴隷衣装(メタルビキニ)の影響で、1984年以降のOVA等のアニメで取り入れて、1986年以降のゲーム等でも反映・展開されていったと思われる。

 当時の米国ではビキニアーマーという表記はなく、あってもメタルビキニのようだ。そしてスターウォーズより前からビキニアーマー的なデザインはあり、ビキニアーマーのデザインに近い絵は1970年代前半にコナンのレッドソニアのデザイン(エステバン・マロト{スペインの人})がメジャーな存在となっている。

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ビキニアーマーとは

■辞書やwikiの「ビキニアーマー」とは
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 ビキニアーマーを調べてみると下記のサイトでそれっぽい意味の記載を見つけられる。

▼weblio辞書

▼Wikipedia

▼アニヲタWiki(仮)

▼ピクシブ百科事典

▼ニコニコ大百科

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 この中で自分がしっかり読み込んだのは、wikipediaだったんだけども内容でいくつか気になった。
 気になった点。

●1つ目:英語版記事の不在
 2022年の現在wikipedia上で「ビキニアーマー」の検索がヒットした時、この手の単語は大概英語版wikiも存在する事が多いのだが、今回存在していなくて違和感があった。そして「アニヲタwiki」で和製英語って事になっているんだけども…英語では「メタルビキニ」だという。ではwikipediaには「メタルビキニ」という“一つの記事”があるのかというと実はない(何かしらの一区分としてビキニアーマーやメタルビキニが書かれている)。

●2つ目:参考画像の違和感
 wikiに記載された「Weird Tales」が最初として出ているケド、絵の内容からするとベリーダンスの衣装に見えた。ベリーダンスの衣装は下記のようなモノ。

今ベリーダンス

●3つ目:時代の違和感
 「Weird Tales」は1934年という話になっていてビキニアーマーの最初はこの時期!って事になっている。しかし、水着のビキニは1946年に登場となっており、時代が合わない。
 「ビキニアーマー」も「メタルビキニ」もどちらにも合わない事になる。だとするなら、「ビキニアーマー」や「メタルビキニ」よりも前には別名称があった事になるケド、その場合、前進の名称を記事内で紹介するのが自然なのではないか?と思ったがそういう紹介はなかった。

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Twitter上のご意見

■Twitterでは呼ばれてる?
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 「Bikini armor」と英語圏でツイートした人は2010年から使用しているようだった(言葉の発生だけだと2008年)。
 「Metal bikini」と英語圏でツイートした人は2007年から使用しているようだった。

 2007年頃はTwitterの最初期にあたる為、「Metal bikini」の言葉はTwitterのサービスが開始する以前から使用されているだろうと思われる。そういう観点からもビキニアーマーの呼称自身は日本発祥と言えるのかもしれない。

 一方、「armure-bikini」「Armadura-bikini」とかスペイン語やフランス語でも検索したが確認出来なかった。

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定義

■ビキニアーマーってどんなモノ?
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ビキニアーマー的絵

 これは調べ終わってからの話なので順番ではアンチクライマックスになるのだが、意外と大事なポイントだと思う。
 ビキニアーマーは下記の(1)~(3)まで含めた上で成り立つモノになる。

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(1)ビキニとは「ブラジャーに似たトップス」と「下着(パンティー)に似たボトム」の2つの組み合わせによるセパレート型の女性用水着を指す。特にトライアングル状のトップスとボトムがそれっぽいモノとして扱われ易い。
(2)このビキニのデザイン(形)をモチーフにして布を金属化する。故に英語圏ではメタルビキニと呼ぶのだろうと思われる。
(3)ビキニアーマーは(2)を起点にしつつ、更に金属や布など追加装飾する傾向がある。

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 特に(1)のボトムが今回の話の肝だと思われる。下着には下記いくつかのパターンがある。現代であっても下着は複数あり、トライアングル(三角形)を意識したモノでないと「ビキニアーマー」感が削がれる印象がある。

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 現代でよく言われるビキニの形

ビキニ

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■ビキニからビキニアーマー
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 下記1枚目が1910年代、2枚目が1920~1930年代、3枚目が1940年代

1910s水着

1920-30s水着

1940s水着

 1946年7月以降に、ビキニという“呼称”と“デザイン”が発表される。
※セパレート水着はそれよりも前から存在していたが、トライアングル状のトップスとボトムではなかった。

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 しかし、特に1946~1960年代初頭までは米国では「けしからん」という事で一般的なビーチでは着用禁止とされていたらしい。「けしからん」水着を着用する人を取り締まる人もいたらしい。なのでデザインの公表自身は1946年ではあるが、この時期は一般的には扱えない。

 ビキニは1960年代後半以降米国で一般的に着用していく事になる。

 この60年代はヒッピーが台頭する時期なので、米国的には「先鋭的なファッション」をヒッピーの「カウンターカルチャー」として、様々に取り入れたのかもしれない。サイトによってはビキニ姿をヒッピーファッションと呼ぶのみ見かける。
(具体的な番組名は覚えていないが1960年代後半というとドキュメンタリーでヒッピーがビキニ着てる映像を見た覚えがある)

 当時は「ヒッピー」「カウンターカルチャー」が大きな若者のカルチャーになっていったので、ファンタジー世界やSF等に取り込んだとも言えるのかもしれない。

 ヒッピーの自然回帰も「ホビットの冒険」「指輪物語」を聖典にして行われているとされていたので、ファンタジーとヒッピーには親和性があったと思われる。

 英語圏でのビキニアーマーの初出は明確化はされていないが、恐らくコナンのレッドソニアだろうと思われる。1974年。それよりも前のデザインでは保守的でビキニアーマーと呼べるようなモノではなかったらしい。また、この時既にデザインしたエステバン・マロト(スペインの人)なのだが、他のヒロインにもビキニアーマーを着せてたと指摘があるので…ビキニアーマーのデザインの初出時期は1970年代前半が有力だと思われる。ただ具体的な作品名はわからなかった。下記の画像がレッドソニア。
(マロトをスペイン語版wiki見ても詳しくはわからないなぁ…)

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●ビキニアーマーについては過去に調べた人たち
 Togetterで議論が交わされている。かなりタメになったケド、結論が出てるかと言われるとわからない……

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英語圏

■英語版wikiのメタルビキニ
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 英語版wikiでもメタルビキニ単体のページはなく「スターウォーズ ジェダイの復讐(1983年)」のレイア姫の奴隷の時の服装に転送される。
 メタルビキニ関連ではこのレイア姫が多くヒットする。

 その他にはコナンのレッドソニア(1974年)もヒットするが、レイア姫のメタルビキニよりは不思議と少ない。

 和製英語であるビキニアーマーの英語版はメタルビキニと描きつつも、wiki的にはレイア姫の衣裳がイコールとして扱われている感覚がある。

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日本

■日本のアニメやゲームのビキニアーマー
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実写

 OVA「くりいむレモン」第3作(1984/12/5)、「幻夢戦記レダ」(1985/3/1)、ゲーム「アテナ」(1986/7)「マドゥーラの翼」(1986/12/18)、実写ドラマ「スターヴァージン」(1988/6/21。上左図)、アイドル「ピンク・サターン」(1994年1月。上右図)にビキニアーマーが登場する。

ここらへんの話の詳細は下記のURLによる

 アニメは1984年以降なのでアニメの影響でゲームに登場したと考えるのが自然だと思う。そしてアニメが1984/12/5と考えるとスターウォーズ ジェダイの帰還(1983/7/2。当時はジェダイの復讐)が関連あるのではないかと思う。

 スターウォーズが直接的な関連があるかどうかについて明示できるモノは調べられなかったケドも…

 wikiには、Wired(雑誌)は2006年に「SF的な金の水着を着たキャリー・フィッシャーの姿が、1983年の春に思春期のファンボーイの汗臭い潜在意識に焼き付けられたことは間違いない」とも記載がある為、影響は大きかったのではないかと思う。

 他にも役に立つ情報かは怪しいケドも、2009年のアメリカのエンターテインメント・ウィークリー誌が発表した「映画史に残るビキニ姿」ベスト18に、「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」でのキャリー・フィッシャーが入っているらしいので影響はそれなりにあったかもしれない。

 映画のパンフレットにメタルビキニに言及されていたかどうかについては、明言化はされていないケド…当時の映画のパンフには、その記載はないっぽい。

 メタルビキニについては、下記に、こういうご意見もあった。
 ちなみにこの時のキャリー・フィッシャーの年齢は26歳っぽい。

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 日本のビキニアーマーについて自分の推測では……

・1983年映画「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」公開。
・1984年OVA「くりいむレモン」第3作(1984/12/5。下図1個目)、「幻夢戦記レダ」(1985/3/1。下図2個目)発売。

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画像15

・1986年ゲーム「アテナ」(1986/7。下左図)「マドゥーラの翼」(1986/12/18。下右図)発売。

ゲーム

 この流れで日本のビキニアーマーは発展していったと思う。
 もちろん洋モノに敏感な根っからのオタクなら1970年代についても、それより前の1930年代の話も知っているだろうとは思われる。

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 ドラゴンハーフRPG(1991年)の頃には既に定着して周りで言われていたとされる。人によっては1983年から既に言われていると述べる人もいる。その為、日本での呼称時期は1983~1991年の間、恐らく1980年代後半だと思われる。

ドラゴンハーフ

 誰が「ビキニアーマー」と呼称し始めたのかはわからない。アニメやゲームという点と、呼称が広がった点から媒体(雑誌)ではないかと思う。アニメ雑誌かゲーム雑誌。しかし「俗っぽい表現」はアニメよりもゲームにはある気がするのでゲーム雑誌かなぁ~という気もする。ログイン、テクノポリス、コンプティーク。ファミ通、マル勝ファミコン…。とはいえ、ファンロード含め読者の投稿によって広まった可能性もありえる。決めてとなる情報を調べる事は出来てない。

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前身

■ビキニ登場前のビキニアーマー
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 ここらへんの詳細については、下記程度で、これ以上は調べない。

●トップス(ブラジャー)
 「女性の胸部に布を巻きつける」なら古代ギリシアになるが、1400年にオーストリア、今の原型は1889年「コルスレ・ゴルジェ」で、現在の形に近いのは1913年という流れになっているらしい。
 つまりブラジャー的なモノのみを指してビキニアーマーを語る場合、古代ギリシアから1913年まで幅広く捉える事が出来る。

●ボトム(パンティー)
 ビキニアーマーを語る上でここは少しおざなりになっているように思う。だからここを無視するとデザインが大きく崩れる。腰巻のようなデザインになったりする。更にはクラシックブリーフ(Classic briefs)やコントロールブリーフ(Control briefs)と呼ばれるようなデザインになったりする(デザインは下記参照)。

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●ベリーダンス
 ベリーダンスそのものの最古は紀元前6000年前(下図1個目の左)、西洋に紹介されたのが1893年(下図1個目の中央・右図)、衣装で近いのは1940~1970年代(下図2個目)かもしれない。

ベリーダンス歴史

今ベリーダンス


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■所感・まとめ
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 この記事の発端は、2022/01/06の昼頃、Twitterでビキニアーマーに関連したツイートを見た事に起因する。その時の内容自身は「防具がスカスカなのにどうやって防具として機能しているのか」の話だったんだけども、今の時期、外は雪降ってて寒いという事もあり、自分としては「寒くて鳥肌立ってるケド頑張って肌色出してます的な感じで風邪ひきそう……。」と思ってた。感覚的には、冬なのに生足出して頑張ってる女子高生みたいな……。なんとなく文化的な匂いがするなぁ~と思ってwikiを調べ出したら……という感じだった。

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 ビキニアーマーについて色々調べて改めて思う。ネットって凄い!! こんなのネットのない時代だったら、どれだけコストがかかるかわからない。それが資料の購入などはせずに片手間で調べて3時間半程度……

 多言語の翻訳、多言語で検索、多言語のwiki、多言語のSNS……別に頭も使わず駆使できる現在って本当に凄い。

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 あと、wikiの下着の言葉に倣って「パンティー」という言葉を使っていたが、40代男性が真面目に連呼するのは、気恥しさやザワザワする気持ちとそれなりに格闘した(笑)

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 最後に。画像はネットから拝借させていただいており、無断利用になっている。申し訳ない。



おわり。


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