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姑の濃度

『見えるかしら?貴女が装飾したあの部分、少しズレてるわよ。』と姑が言う。

私はそれくらいと思い少し腹が立ったが、怒りの言葉を飲み込み、姑に謝罪した。

この装飾群は、私たち夫婦の婚姻式典を彩るための飾りである。私たちの国では、金を基調とした装飾が多く、式典にはたくさんの金が使われる。それは脈々と受け継がれている伝統の一つで、婚礼を上げる際の必須条項となっている。

それに反対する理由もなく、私も金で壁面を装飾する事に習った。完成した所で、姑から苦言を呈された訳である。式に間に合わせる為に、寝る間も惜しんで作業し、ようやく一息ついた所での出来事だったので、ため息を禁ぜざるを得ない。

正直、姑とは相性が合わない。

それは初めから分かっていた。姑が原因で、結婚を諦める考えを何度も起こした。それでも結婚に踏み切ったのは、子どもが出来た事に由来する。子どもが出来れば、姑の存在感が薄らぐ事を希望にして結婚式を迎えようとしている。

心を一新させて今日の日までやってきたが、ここに来て姑の濃度が濃くなり、飲み込めなくなってきた。

あぁ、やっぱり結婚するんじゃなかった。


※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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