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イギリスの小学校「入学前」のプログラミング教育について解説します

海外では小学校入学前からプログラミング教育が始まります。

スクラッチを使います。

けれども、プログラムを組み立てるわけではありません

これから小学校に入ってからプログラムを組み立てるための、

準備運動のような内容です。

スクラッチですでに学習用にプログラムされたものを使って、

学習するのです。

それをここで、実際に使われるスクラッチのプログラムを見ながら、

解説していきます。

3つのステップ

小学校入学前のプログラミング教育には3つのステップがあります。

その3つとは、

①操作

②自動化

③最適化

です。

ひとつずつ説明していきます。

ステップ①操作

まず、プログラムで実現する時系列の処理があるということ。

これを一番最初に学びます。

こちらをご覧ください。

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実際のプログラムはコチラ

左中央にいる青いキャラクターをりんごのところまで連れていくスクラッチのプログラムです。

右側の4種類の矢印があります。

矢印を1回押すと、キャラクターがその方向に1マス動くとき、どうすればりんごまでたどり着くでしょうか?

小学校入学前の子供は、直感的に操作を始めます。

右、右、右、上、上のように矢印を押してキャラクターを進める子供もいれば、上、上、右、右、右のようにする子供もいます。

いろんな方法で直感的に試しながら動かします。

大切なことは、キャラクターをりんごまで連れていく目的を達成するには、

「矢印を押す」という操作が繰り返し必要になるということです。

詳しく操作の順序を記述すると、

1.右の矢印を押す

2.右の矢印を押す

3.右の矢印を押す

4.上の矢印を押す

5.上の矢印を押す

となります。

1~5までの時系列になっている、この操作を実際に学校のコンピュータのタブレットやマウスを使って、機器の操作を覚えながら行うのです。

これが、次のステップにつながります。

ステップ②自動化

さて、ステップ①のようにキャラクターがりんごまでたどり着きたいとき矢印が与えられると、子供たちはランダムに操作を始めます。

1つの操作(いずれかの矢印を1回押してキャラクターをひとつ進める)が終わってから、次の操作(またいずれかの矢印を選んで1回押す)を決定します。

しかし、この自動化のステップでは、あらかじめ、りんごにたどり着くまでの一連の操作を決めておきます

以下をご覧ください。

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実際のプログラムはコチラ

下のいずれかの矢印を押すと、右側の「ほうこう」ボックスの中に、押した矢印が入っていきます。

そして、入れ終わったら、スタートボタン(緑の旗マーク)を押して、

「ほうこう」ボックスの中にはいっている矢印の方向に、キャラクターが進みます。

あらかじめ決めておいた一連の操作を自動的にまとめて実行するのです。

ステップ③最適化

いよいよ、ここからがプログラミングらしくなるところです。

こちらがスクラッチのプログラㇺを組み立てる画面です。

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実際のプログラムはコチラ

こちらで用意されている5つのブロックを組み合わせて、キャラクターを動かします。

「3かいくりかえす」というブロックがあります。

このブロックの中に、右、上、という方向を入れて動かします。

以下のような形です。

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②の自動化と何が違うのでしょうか。

ひとつ前の自動化では、右、右、右、というように、右に3歩を表現する際、3回の記述が必要でした。

今回は、1回だけ、右、と記述しておいて、それを3回繰り返す、というような表現になっています。

例えるなら、②は足し算、③は掛け算です。

②は a + a + a + b + b + b

③はa × 3 + b × 3です。

少ない操作のステップだとあまり気にならないかもしれませんが、たとえばこれが10回、1000回、100000回と増えた場合、

足し算での記述は非常に非効率です。

掛け算の記述だと、a ×100000 + b ×100000 とシンプルに書けます。これを足し算で記述するのは大変です。

そういう違いを学ぶのです。

さらに、今回の場合は、以下のようにすることもできます。

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右に進む回数と、上に進む回数が同じ3回だからです。

②では、a + a + a + b + b + b = 3a + 3b

としていたものを

③では、a × 3 + b × 3 = 3a + 3b

さらに、3 (a  + b) = 3a + 3b

のように、同じ結果を出すにも、どんどん左辺をシンプルにしていくことができるのです

まとめ

大事なことは、この3つの流れを同じ作業を別のやり方を通して学ぶ、という点です。

「キャラクターを動かして、りんごまでたどり着かせる」

これを①~③までのやり方で順序だてて行うのです。

繰り返しになりますが、

①で学ぶことは、目的を達成するには、操作の積み重ねがあること

②で学ぶことは、その積み重ねは予め予測して決めておくことができること

③で学ぶことは、その予測して決めたことを整理整頓することを学ぶということ

です。

こんなに難しいことを、しかも掛け算のような概念がでてくることを、小学校入学前の子供ができるのかと思いますが、驚くほど子供は柔軟に適応します。

特別な教育を受けたわけでもない、普通の学校に通う子供たちが目を輝かせながら、こうしたプログラムを楽しんでいます。

動画でも解説していますので、よろしければご覧ください。

最後に、私と子供が利用して良かった書籍をご紹介しておきます。
親が子供に教える前提で読んでわかりやすかった本です。
Scratchではじめよう! プログラミング入門 Scratch 3.0版

基本的には実際にパソコンを操作しながら学習するのが一番なのは変わりないのですが、事前にある程度の知識を入れておくと学習がスムーズです。

それから②は子供でも小学校中学年(小学校3年生以上)であれば、自分で読みながら進められる内容で、評判通りです。

読んでおいて損はない1冊だと思います。

では、今回は以上です。
最後までありがとうございました。




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