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【発達障害の長男#3】息子への会話は、私の壁打ちに終わる。

これは3年生で正式に診断が下りる随分前の3歳ごろまでのお話です。

長男が生まれて、初の育児に戸惑いながら、「ひよこクラブ」をバイブルに子育てに奮闘した。妊娠中に旦那の実家近くに引っ越し、慣れない土地にて25歳のまだ若かった私は孤独に育児をしていた。

旦那の仕事は当時SEで、毎日終電帰りだった。仕事の後に上司の付き合いで飲みに行って終電のことも結構あった。子供ができても尚、以前と変わらない生活をする旦那に嫉妬もしたが、週に何度か夜中の授乳(うちはミルク)当番をやってくれたり、とても協力的だったと思う。

息子はとても小さく生まれたので、最新の注意を払いながら育てた。
1歳にならない頃までは、よく飲み、好き嫌いもあまりなく、本当によく泣くこと、なかなか歩かないこと以外は悩みはあまりなかった。

生後半年で私は仕事に復帰し、息子は保育園のお世話になった。とても面倒見の良い保育園で、3歳まではこの保育園に育てて頂いた。

息子にたいして心配だと思うことは当時からあった。
歩き出すのが遅かった。ひよこクラブの赤ちゃんはみんな1歳前か1歳になる頃には歩いている。うちは、1歳になってもちっとも歩き出す気配はなく、テーブルにつかまり立ちして、お尻をフリフリしていた。かわいいけど、心配だった。

妊娠中のたまごクラブに引き続き、ひよこクラブも、あまり役に立たなかった。
かえって比べて落ち込んだりもしたけど、小さかったから仕方ない、でどうにか乗り越えてきた。

結局、最初の1歩は1歳3ヶ月の時だった。歩き出しても、歩き方が不安定ですぐに転んだ。背伸びをしているように、かかとをあげて歩くような歩き方だったと思う。ほんの小さな段差の前で動けなくて泣き出してしまったりもした。

保育園ではお散歩して公園に連れて行ってもらったりもしたけど、風が強く吹いてる日はずっと泣いていたり、砂が手につくと大泣きしたり、みんなが遊んでいるところへも入らず、保育士にずっと抱っこされていた。先生は懲りずにずっと抱っこしていてくれた。

周りのみんながおしゃべりをし始める頃、息子もマネしてお話ししてくれるのだが、語尾の1音だけ発音した。例えば、「おさかな」は「な」とか、「ポイしてきて〜」と言うと、「いー」とか。。
まぁ、小さく生まれたから何かとゆっくりなんだろう、3月生まれだし、仕方ない、と旦那とも話していた。

今思えば、自閉症児によく見られる「手をヒラヒラさせる」とか「クレーン」とかはなかったと思う。

2歳を過ぎてくると、電車にハマり出した。特急電車が走っているだけのビデオを永遠と見ていた。電車の名前を覚え出した。で、息子に話しかけてみる。

「電車が走ってるね〜」
「しゃ、しゃ!」(テレビを指さして)
「この電車すき?」
「・・・」(うん、とか好き!とかの答えを期待していた)
「この電車なんていうのー?」
「しゃ、しゃ」(おそらく、電車と言っている)

ま、このような感じで、私の問いかけのパスはいつもスルーされ、なんか、会話にならないもどかしい感覚がした。会話ではなく、私の一人壁打ちのような。
「コミュニケーションが取れない」感じがして、何を話しかけていいのか分からず、正直、育児にあまり楽しさを感じなかった。むしろ、ストレスが多かった。

インターネットで「発達 会話 遅い」とか調べていた。「自閉症・・・?」と言う文字を見つけ、もしや、、、と思ったが、全力で否定した。

息子が3歳になった頃、3歳児検診があった。これがどう言うわけか、
「異常なし」
だった。これが、、私が今まで思っていた「?」を払拭した。
(これについては、今も疑問です。)

やっぱりね〜、異常ないのよ、この子は正常なのよ。自閉症かと思ったわ。あー、よかった、よかった。勝手に疑っていた障害疑惑は晴れた、と思った。

息子が3歳になり、私はそれまで続けていたプログラマーの仕事を辞めた。パートでPC講師をやることにして、もう少し育児に向き合いたいと思うようになった。


そうすると、今まであまり会うことのなかったお迎えの時間が重なるお友達にたくさん遭遇した。お迎えの後に他のお友達は、近くの公園へと走り出し、遊びが始まる。お迎えのお母さんたちは、「もう、18時までよ〜」と言いながら、子供が遊び終わるのを談笑しながら待つ。。

あー、こう言う光景がこの時間はあったのね。私はそれまでずっと19時お迎えだったから知らなかった。3歳児、みんなお友達とこんなに遊べるんだ。。保育園の先生にお友達との様子を聞くと、「一人で遊んでいることが多いです。」と言われた。ま、別に一人が悪い訳じゃない、私もそういう子だった、、と言い聞かせた。

それまで「ママ友」はいなかった。欲しかったけど、作るタイミングもなかった。妊娠中のなんとか教室も入院してて行けなかったし、、生まれてからのなんとか教室も仕事で行けなかった。

保育園の送迎の中でようやくポツポツとおしゃべりする人ができた。お茶をしに行ったりするような仲になり、子供の話を聞いて愕然とした。
オムツも取れてる、、おしゃべりも達者。遊びのちょっとしたルールも理解できている。折り紙もできる。え〜〜〜〜、うちと全然違う!!

うちといえば、、、電車にハマり、電車の名前しかほぼ喋らない。話しかけても、何やら独り言をずっと言ってるだけ。保育園の帰りには、必ず消防署の前を通り、消防車を見てからじゃないと泣き叫ぶ。しかも車の中のBGMは浜崎あゆみの「seasons」。別に私はファンでもないが、旦那の両親から「気に入ってるみたい」と渡された。

ママ友達は、子供が保育園の帰りに友達と遊びたいと言ってなかなか帰りたがらない、とか、生意気な口の聞き方で困っている、とか、イヤイヤはいつ終わるのか、とか、悩んでいた。。ん??悩みの種類が違いすぎる。

「やっぱ、うちおかしくない?」

3歳児検診、、、クリアしたけど。あれ、本当なの?

保育園の先生に相談はしてみたが、小さく生まれたからゆっくりさんですよ、とか、言われた。ま、やっぱりそっか、と思った。子供と接する時間が増えた分、子供のことで悩む時間も増えた。

でも、明らかに「なんか、うちの子変、、」と思った。

そんな時に第2子を妊娠していることがわかり、同時に賃貸マンションの契約満了も近くなり、引越しすることになった。しばらくバタバタした日々が続き、それを言い訳に息子の成長のおかしさについて考えることから逃げていた。


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