【発達障害ASDの長男#7】担任の息子さんが自閉症と知る。そして、2分の1成人式。
前回の続きになります。
小学校4年生になり、恒例行事となりつつあった年度頭の担任の先生への説明会、その年も、漏れなく担任の先生に話をするため、資料を作り、話をする日程を決め、事前に資料だけお渡ししておいた。
すると後日、担任から、直接お宅へ伺います、と言われた。
あら、2年生の先生の時以来、だな〜、お宅訪問か〜、と思った。
で、担任が我が家へ来た。玄関先での話となった。
「資料、読ませて頂きました。ありがとうございます。〜中略〜
実は、私事ですが先日、うちの3歳の息子が自閉症だと診断されました。
まだ、他の先生方には話していないのですが・・・・。
実は、作っていただいた資料、自宅で妻にも見せました。
私も妻もどうしようもなく落ちこんでいたんですが、これを読んで、息子が成長した時に、こういう風に周りに言えるように、こうした信念を持って、育てられるようにしよう、と妻と話していたんです。本当に、ありがとうございます。」
と、涙ぐんでいた。もらい泣きしてしまった。
資料には、医者からの診断結果、療育センターで言われた望ましい支援方法、通級でやっている事、自分たちが家でやっている事、私たちが息子をどういうふうに育てたいか、なんかを書いたと思う。
この先生の暖かい指導の元、息子は先生に困った事を話すようになった。今までは、聞かれるまで待っている事が多かったが、この先生が根気よく、話しかけてくれ、「困ったことがあったら、この時間においで。」と、来てもいい具体的な時間を示してくれたり、息子の好きなウルトラマンの話にも付き合ってくれた。
それから、褒める時はみんなの前で褒めてくれた。○○くんは、こんなことができるんだね!すごいね、さ、みんな拍手〜〜〜!みたいな。もちろん、それってうちの息子だけではなく、みんなにそうしていた。
少しづつ、自分に自信がもてたり、自分ができる事を認識できるようになった気がする。苦手なことに目を向けるより、できる事をさらに伸ばす、というやり方をする先生だった。
苦手な算数も、ほんの少しの成長に気づいては、息子に伝えてくれた。
今でも、息子はこの先生のこと「優しかった」と言っている。
クラス全体の雰囲気も、温かかった。
とはいえ、男の子は相変わらず、つるんでいるし、女の子も徐々に男の子よりも体の大きな子が増え始めた。息子は、ポツンとすることもあったが、大きないじめなどもなく、やはり世話好きな女子に世話をされるか、優しい男子が声をかけてくれたりした。
4年ももうすぐ終わる2月に2分の1成人式があった。
前日に先生から電話がかかってきた。
「お母さん、息子さん大丈夫ですよ。ちゃんと、発表の練習もしてるし。上手にできてる。内容も自分で考えたんですよ。明日、安心してお越し下さいね」
と言われた。きっと、心配でたまらない私の胸中を察してくれたんだと思った。
最初は体育館で学年全体で歌や演奏があり、後半は各クラスに分かれて、「自分の夢」について発表をするという。。安心してと言われても、正直、恐怖。。。
相変わらず小さい妹2人を連れて、体育館へ行き、歌や演奏を聞いた。口はなんとなく動いている。楽器の担当は、タンバリン。何となく、タイミングもずれずに叩いている。よかった、よかった、、、問題は次。。
確か、なぜか家庭科室に移動して、いよいよ発表が始まった。
1人目の発表を見た時に、衝撃だった。
「え?みんなの前に出て、家庭科室の机の上に立って、見ないで発表するの??」
ひえ〜〜〜〜💦
やれるの?あんなこと、やれるの??見るのが怖い。
私は自分の心臓が飛び出るんじゃないかってくらい緊張した。
もう、何かしていないとこの緊張はどうにもならないと思い、下の子をせっせと抱っこしてあやした。
みんなご立派な夢を語って、どんどん順番が進む。4年生ともなると、本当に一人前なんだな〜と、久々に周りの子供の成長ぶりを見た。
さて、いよいよ息子の順番がきた。
もう、私の心臓は最高潮にバクバクしていた。
息子の夢の内容は全部は覚えていないけど、こんな感じだった。
「将来はパン屋さんになりたいです。僕はパンが大好きだからです。
美味しいパンを作って、みんなに美味しいパンを食べてもらいたいです。
みんなが喜んでくれたら僕も嬉しいです。
それから、お母さんにも美味しいパンを食べてもらいたいです。」
お辞儀をして、みんなに拍手をもらって降りていった。
ちゃんと、見ないで言えたし、発表ができたことに感動した🥺
内容も一生懸命考えたんだろうな〜ということがよく伝わってきた。
感動して、涙出た。
そして、あの時の発表した話の通り、今は美味しい野菜を作ってるよ!社員さんにもお裾分けするんだもんね。私も美味しい野菜もらって食べてるよ!ありがとう!
いい担任の先生と巡り合い、4年生の1年間は、この2分の1成人式を集大成に、本当に成長した息子を見ることができた。
息子が5年生になるときに、その担任の先生は、自分の奥さんの実家の県で、先生になることになり、退職された。
確か、単身赴任をしていて、それまでは、奥さんと息子さんとは離れて住んでいたようだ。きっと、息子さんのためを思って、決断したんだろうな、とすぐに思った。
いなくなるのはとっても惜しいと思ったが、自分の息子のように見てくれて、今でも本当に感謝している。
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