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研究No.4 公募受賞作から研究するラジオCMの作り方

1 今回のテーマはラジオCM!

むすびめ:さて、前回の最後に予告したとおり、今回はtontonさんのラジオCM受賞作誕生秘話ですね!

おーしろ:改めてtontonさん、おめでとうございまーす!

tonton:ありがとうございます!

おーしろ:えーと、受賞作品ってどんなのがありましたっけ?

tonton:KNBラジオCMコンテスト2021の「便利屋 助ジロー」様の課題で最優秀賞を頂きました。あとは、第9回SBCラジオCMグランプリコピーライターコンクールで、「アルプス運輸建設」様の課題でグランプリ、「有限会社ケー・アンド・エフ コンピュータサービス」様の課題で入選を頂いてます。

おーしろ:あ、そうでしたね!

むすびめ:どうやって受賞されたのかぜひ知りたいです!

tonton:たまたまです笑

むすびめ・おーしろ:いやいやいや笑

tonton:正直、あまり偉そうに語れるようなことはないんですが・・・。

むすびめ:でも、どういうプロセスで作られたのか、それぞれの制作ポイントなど知りたいです!

tonton:わかりました。では、どこまで参考になるか自信ないですが、少し話してみたいと思います。


2 受賞作品の研究

(1)KNBラジオCMコンテスト2021最優秀賞(便利屋 助ジロー)

【作 品】

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【制作プロセス】

おーしろ:この作品はどんな手順で作ったんですか?

tonton:まず企業や課題について調べて、最後のナレーションを作りました。そこをよく知らないままに、いきなり書き始めようと思っても難しいと思いますので。

むすびめ:やっぱり企業や課題についてよく研究することが大切なんですね。

tonton:そうですね。あと、作品をより面白くさせるためには「裏切り」の部分をうまく設計することも重要なので、そこも意識しました。

おーしろ:ラジオCMって、結構パターンがありますけど、確かに今回の「結婚式の代理出席から草刈りまで何でもお任せください!」のところみたいに、割と「裏切り」のパターンが多いような気がしますね。

むすびめ:う、裏切り?

tonton:あ、ここで言う裏切りっていうのは、CMのストーリーや最後のナレーションを、聞き手の予想を超えた意外性のあるものにしていくことを言います。

おーしろ:このCMは、先に最後のナレーションを作ったのですか?

tonton:今回の「便利屋 助ジロー」様が、具体的にどんな仕事をされているのかわからなかったのでまず調べてみました。その中で、便利屋さんによくありそうな「草刈り」などの業務と、調べるまで想像もしなかった「結婚式の代理出席」など業務があることがわかったので、そこから今回の最後のナレーションを考えた感じですね。

おーしろ:となると、意外性のある仕事を見つけたことをきっかけにして、最後のナレーションを企画したのですね。

tonton:そうですね。


【制作ポイント】

tonton:こちらの作品のポイントは、最後のナレーションの中の「結婚式の代理出席から草刈りまで何でもお任せください!」にあります。ここの部分を「発想の飛躍」をさせやすいものに設定することで、うまく「裏切り」が作れた気がします。

むすびめ:「発想の飛躍」とはなんでしょうか。気になります!

tonton:「発想の飛躍」というのは、ここでは、最後のナレーションの中で、CMのストーリーを面白くさせてくれるジャンプ台のような役割をしてくれる部分のことを意味しています。

おーしろ:ふむふむ。

tonton:今回の作品で言えば、最後のナレーションは、「意外性のある便利屋さんの仕事」と「よくある便利屋さんの仕事」で構成されています。このうち「意外性のある便利屋さんの仕事」のところが「発想の飛躍」の部分になるんです。

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おーしろ:じゃあ、別に「結婚式の代理出席」じゃなくても、「意外性のある便利屋さんの仕事」なら何でもいいってことですか?

tonton:その通りです。受賞作では、「意外性のある便利屋さんの仕事」を「結婚式の代理出席」、「よくある便利屋さんの仕事」を「草刈り」にしてますが、HPなどで「意外性のある便利屋さんの仕事」を他にも見つけることができれば、「発想の飛躍」がある面白い内容のCMを作れると思います。

むすびめ:なるほど!ラジオCMってあまり作った事ないですが、何となくイメージが掴めた気がします!


(2)第9回SBCラジオCMグランプリコピーライターコンクールGP(アルプス運輸建設)

【作 品】

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【制作プロセス】

おーしろ:では次に、こちらの作品の方は?

tonton:はい。この作品は、最初クライアントが運送業である点に着目して「会社のお荷物」と「お荷物の会社」の対句を思いついたところからスタートしました。

おーしろ:さすが、対句のtontonさん笑

tonton:ありがとうございます笑 ただその後悩んだのは、ストーリーをどんな設定にするかでした。これを大人の会話の中での言い間違えにすると、どうしても不自然さがあり、角も立ってしまうんです。

むすびめ:なるほど。

tonton:そこで、子供目線でのストーリーにして、意味もわからない子供が無邪気に言い間違えた設定にすることで、企業の特色を強調しつつ、可愛らしいほのぼのとした印象の作品に仕上げることができました。


【制作ポイント】

おーしろ:この作品、やはり子供の言い間違いが可愛らしいですよね。

tonton:ありがとうございます。正にこの作品のポイントとなるのが、その「子供目線」の部分だと思います。

むすびめ:この作品、子供以外でストーリーを設定するとどんな感じになるかを考えるのも面白いかもしれませんね。

tonton:そうですね・・。ただ、例えば、この作品を大人の会話で設定すると、一気にシリアスな重い雰囲気になってしまう気もします笑

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むすびめ:確かに。大人のリアルな話にしてしまうと笑えませんよね。

tonton:はい。そんな話でも、子供が無邪気に話したり、言い間違えたりするのであれば「面白い!」 「可愛らしい!」のような反応に変えられるところが、子供目線で語る強みだと思います。


(3)第9回SBCラジオCMグランプリコピーライターコンクール入選(有限会社ケー・アンド・エフ コンピュータサービス)

【作 品】

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【制作プロセス】

tonton:この作品は、「便利屋 助ジロー」様の時の作り方とは少し違って、面白そうな元ネタがあってそこから発想していきました。

おーしろ:そうなんですね。僕はラジオCMを作るときは、いわゆるWhat to say(切り口)を設定して、そこを最後のナレーション部分にしてHow to say(内容)のネタに発展させ、広げていくプロセスのイメージなんですが、tontonさんはどうですか。

tonton:僕もおーしろさんとほぼ同じです。通常は、キャッチコピーでも、ラジオCMでも、「What to say」を見つけ、それを切り口にして「How to say」を考えていく感じですね。ただ、先ほどの「便利屋 助ジロー」様のように「発想の飛躍」が上手くできる「What to say」を設定するのが難しい時は、ネタ探しなど「How to say」のほうに力を入れて考えることもあります。

おーしろ:すると、「便利屋 助ジロー」様の作品は「What to say」に、この作品は「How to say」のほうに力を入れてる感じですか。

tonton:そうですね。お二人ともご存知とは思いますが、一応僕の中での「What to say」、「How to say」の定義についてお話します。まず「What to say」とは、「何を言うか」を意味するもので、ターゲットに対して商品・サービスの特徴や、そこから得られる便益を伝える部分になります。それに対して、「How to say」とは作品のストーリーなどを「どのように言うか」の部分です。

おーしろ:ですね。

tonton:先ほどの「便利屋 助ジロー」様の作品でいえば、「結婚式の代理出席から草刈りまで何でもお任せください!」の部分が「What to say」となり、想像以上になんでも任せられるという特徴・便益を伝えています。そして、その「What to say」に基づいて展開している「結婚式の代理出席」の話のやり取りが「How to say」になります。

むすびめ:なるほど!ご説明ありがとうございます!


【制作ポイント】

おーしろ:この作品、結構設定がリアルですよね。もしかして、さっき言われてた元ネタって実体験ですか?
  
tonton:いえ笑 これは、「飛び込み営業はお断りだけど、一発芸やって社長を笑わせたら5分だけ話を聞く」という張り紙を出している企業の話を聞いて、何となくユニークで面白いなーと覚えていたことがきっかけです。

おーしろ:そうなんですか。飛び込み営業されてたのかと思いました笑

tonton:いえいえ笑 確かに実体験に基づいたネタが一番リアルで説得力ありますよね。一方で、誰かから聞いた話や、本で読んだ話などからネタを作るものもありだと思います。だからこそ、日頃から「面白い」と思ったものをストックして、作品のネタの引き出しを増やすことを意識するのも大事なポイントになる気がします。


3 まだまだ語り尽くせないラジオCM

今回は、ラジオCM公募受賞作を見ながら、制作プロセス、制作ポイントについて研究しました。

一見、直感的に作られているようにも見えるラジオCMですが、研究してみると、聞き手の予想を超えていくような「裏切り」の展開や、そうした展開の基となる「発想の飛躍」など、色んな要素が隠されていることが分かりました。

また、自分目線だけでなく、時には、年齢や性別を越えた色んな人の視点で考えてみることや、作品の「ネタ」になりそうな面白い話題を日頃から意識してストックしておくことも大切になると感じました。

今回は受賞した三作品について研究してきましたが、他にもまだまだ知らない魅力がたくさん詰まってそうなラジオC M。ぜひまた改めてその奥深さを研究してみたいと思わせてくれるテーマでした!

さて、次回の研究テーマは・・・、宣伝会議賞でよく見る「あの人」について研究していきます!

次回もお楽しみに!


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