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味覚と嗜好のサイエンス

食べるとは何か

心に残る本は、最初の一文が面白い。食べるとは何かを追求し、美味しさを科学で解いている伏木先生。これを待っていました。

原体験

僕は兄が料理人をしており、ある時お店に食べに行った時に驚きの体験をする。ある仕事帰りの二人組が横に座り、仕事の疲れや愚痴を吐いていたが料理を食べた途端、「あ〜幸せ、仕事の疲れ、一週間の疲れが吹き飛んだ〜」と。そこで、僕は見えた。その人の1週間分の疲れなどが大きな風船となって、お店の天井に消えたのだ!!あの衝撃は今でも覚えている。そこで、料理に魅了され「美味しいとはなんだ」と考えるようになったのがきっかけだ。そこで出会ったのがこの本です。

美味しいとは

おいしいとは4つに分類されるという話も面白い。話題の食べ物がなぜ流行るのかが分かるようになるし、ヒトがおいしいと感じるのは科学で証明できる。また食べる時の環境も大事で、僕も飲食店に行った際はいつも気にしているのは接客だ。接客やオペレーションが良くないと料理も美味しくないのだ。これは共通して言えるし、接客次第で料理も美味しくなるということだ。ヒトと動物が違う点もここにあると思う。動物は生命的な欲求の為にだが、ヒトは飽食の時代で、料理を楽しむ時代になっている。環境も大事だ。

ビール

最近は「とりあえずビール」が少なくなっているが、あるビールメーカーの営業マンが言っていたのが、「飲食店で初めに口にするのはそこのお店の料理じゃない、ビールなんですよ。ビールがまずいと料理がまずくなるんです」これを聞いたことは衝撃だった。まさにそうで、そこのお店の食べ物では無く、ビールなのだ。そのメーカーさんは、「だからビールは美味しくないとダメ、拘らせてやってます」と言っていた。

もっとも美味しいモノ

それは、安全である。ヒトの美味しいは「これを食べても大丈夫」という基本情報があって成り立つものなので、”安全の情報”というのがもっとも美味しいという事。だから、今の昔も産地が明確なもの売れ、無農薬、有機野菜というキャッチフレーズが無くならないわけだ。

おいしいは科学で証明できつつあり、言語化できる。納得の連続でした。素晴らしい研究をしている先生方に感謝です。

#読書の秋2020

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