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科学と芸術の丘を続けたい。

2018年から2020年の3年連続で松戸にて開催した、サイエンスとアートを融合した国際アートフェスティバル「科学と芸術の丘」

前回は2019年までの経緯は書いてみました。

今回は科学と芸術の丘をコロナ禍でも続けられた裏側や、来年以降も続けていきたいよ〜!ということを書いていきます。

令和の時代に「根性」で続けた2020年

正直に言うと昨年はあらゆる予算がコロナ対策に流れ、一度は開催中止となりかけました。

もっと正直に言うと2019年も開催が危ぶまれたところを、なんとか予算がついて実現できた経緯があったので、今年こそ本当にできないかもと思いましたが、松戸市の担当者(Oパイセン)が「この2年の積み重ねを無駄にする訳にはいかないでしょ!みんな!」となんとか予算を工面してくれました。
(想像を絶する内部調整力です。感服です。)

規模は昨年の1/3。準備期間約3ヶ月!ごめんなさい心の叫びが漏れました。「ギャー、正直少ない!!!!!」

それでも市も、私たち運営チームも、会場である重要文化財の戸定邸もなんとしてもやるの一択でした!

何よりパートナーのアルスエレクトロニカは、そもそも世界中でプロジェクトがあるし、自国がロックダウンという厳しい状況にあるにも関わらず、優先的にこのフェスティバルに時間を割いて頂きました。

「今こそ、根性見せるよ!!!」

全員の心の声はきっとこうだったでしょう。掲げているビジョンのスマートさとは裏腹に、最大限の泥臭さを持って2020年の科学と芸術の丘が始まりました。テーマは「Garden of Creativity – はじまりの庭 -」に決まりました。

来年に向けての一歩目にしよう。

せっかくやるなら、小さい規模でも意味のある芸術祭にしたい。設定した隠れテーマは「来年に向けての一歩」でした。取り組んだことは3つです。

1、ディレクターのバトンタッチ
総合ディレクターだった清水陽子さんは、昨年からアルスエレクトロニカで仕事をすることになりオーストリアに拠点をうつされ、自分も下北沢支店が増えてなかなか現場に入れない。

そこでディレクターには、ともに初年度から科学と芸術の丘に関わっているomusubiの関口、吉田尚弘くんのふたりが就任しました。ふたりの覚悟がなければ2020年の開催実現はできませんでした。(両名とも潔く「やります」とふたつ返事で言ってくれて、侍が現れたのかと思いました。)

2、サポートスタッフチームの立ち上げ
過去2年もサポートスタッフのみなさんにとても支えて頂いたし、本当は初年度からやりたかったことですが、来年以降に向けてはいよいよチームづくりが大切だと考えた2人はすぐにサポートスタッフチームを立ち上げて、一緒に準備を進めてくれました。

ありがたいことに、主婦や学生など幅広い世代の松戸市民や、市民でなくても科学と芸術の丘に興味がある方が参加してくれました。

(元市民の方や、毎年このイベントのためだけに来てくださる方も多く、終了後「毎年同窓会みたいでやっほ〜みたいに会えて元気出る」「それぞれができることで協力していて最高だった、このチームで仕事したいです!」と感想を述べてくれた方もいて、ありがたくて震えました。。)

3 、街のお店とのコミュニケーション
サポートスタッフの最大のミッションは街のお店とのコミュニケーションです。これも以前からやりたくて、できなかったことのひとつでした。

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2020年は例年開催していたマルシェの実施ができませんでした。そのため、「松戸駅前全体をマルシェ会場と捉え、来場者に少しでも街を歩いてほしいよね。」

「せっかくの機会なのでできれば一緒に盛り上げて頂きたいし、それが少しでもご商売にも貢献できたら嬉しいよね!」

と街のみなさんにご協力を仰ぐことにしました。

意気揚々とポスター掲示やSNSでの告知の協力をお願いし、できれば開催期間中に特別メニューをご用意頂けると嬉しいですと図々しく(!?)ご相談にあがりました。

ありがたいことに、どのお店も告知協力をしてくれましたし、オリジナルメニューの提供や、会期にあわせてイベントを実施してくれたお店もあり、すっごくありがたくて、嬉しい限りでした。

内部のことでは3つのことに取り組みましたが、これだけで関係ができたとかチームができたみたいな綺麗事はおこがましくて全く言えません。まだまだできることはたくさんあります。それでも来年に向けて大切な一歩は踏み出せたと思います。(だといいな!)

こうした準備を経て2020年も無事に終了することができました。(内容は今度書きます!)

コロナ禍での開催にあたり、批判も覚悟をしていましたが、終わってからは「このタイミングで良くやった」「中止になると思っていたので開催されて嬉しいです」と好意的なご意見をたくさん頂戴し、かえって私たちの方が励まされました。ありがとうございました。

「得意」で相手を認め合うためにDIYでお祭りをつくる。

3年間続けているうちに、科学と芸術の丘はDIYで地域のお祭りをつくっているのかもしれない。そう信じられるようになってきました。

思えば、20代後半に地元松戸に関わるようになってから、お祭りってなんだろうと考えることが増えました。

僕がお祭りに参加させてもらって嬉しい瞬間は、普段気が合わなそうに見える方同士が

「でもさ、あの人がいるからできるんだよね。ありがたいよな。」

とお互いの得意を認め合っている姿を見る時です。そしてこれがお祭りの最大の価値だと感じています。

以下、こんなことを言うと怒られてしまうかもしれないけど発言なのですが、地域のお祭りは昔から地元ではない人にとっては、参加方法がわからないし、暗黙のルールがありそうで、怖くて縁遠く感じてしまう。

もっと出入り自由なお祭りをつくれたら、コミュニティの維持というより、コミュニティの意地になりつつある、お祭りの新しい在り方を見つけられるかもしれない。

神様を祀ってもいいし、アートを中心にしてもいい。どちらも大切だし、100年続けば伝統になると思うから。

それよりも、居住の長さや有無、世代や性別関係なく、現在、街に愛着を持つ(持ちたい)人が参加して、得意を持ち寄ってひとつのことを実現し、その過程で相手のいいところを認めあえる。そんな機会をつくりたいと思っています。

そこでは豪快で繊細なおじいちゃんにも、もつ煮が上手なおばさんにも、ロジカルで不器用な青年にも、人見知りだけど圧倒的才能を持つアーティストにも、嘘つきだけど愛嬌あるあいつにも会えるし、笑いあいたい。

科学と芸術の丘は、本当の意味での「市民参加型のお祭り」に育てていける可能性があると信じています。

だからこそ予算の有無で開催が左右されるのではない自立したフェスにしないといけないけど、2020年のような根性だけでも続けていけない。

簡単ではないことはわかっているけど、だからこそ科学と芸術の丘は、意地でも維持していきたい。

それは俺みたいな新住民が街に関われた喜びを知っているからです。

ぐえーまだまだ力不足だよ〜!今年もやっていくぞ〜!

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