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【300字小説】いつかの未来

 昔々の小さな恋を思い出し、あの頃の、小さなわたしが泣いている。それが今のわたしにまで伝わってきて、つい涙が滲んでしまう。
 時間は止まらず、ましてや戻ることなど決してない。常に流れ続けていくその中を、わたしたちは必死な格好で、まるでもがくように泳いでいる。そうしてきっと気づいた時には、遠く遠くにいるのでしょう。
 やがてわたしたちが消え去って、かすかに覚えていたような人さえ死に絶えて、いつか完全になにもなくなった時。やっとやっとすべてに溶けて、わたしとあなたはひとつになれる。
 そんな夢のようなことを信じて、今はもう少し泣いてみている。

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