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春の日に

夏至は冬至に出逢いたかった。真冬の夜、あの凍てつく濃紺の星空を従えるその人はどのようなお方なのか。いくら憧れ慕っても、決して逢えはしないのだけど。

冬至も夏至に出逢いたかった。あの光り輝く灼熱の太陽に、夏の盛りを照らされ続けるその人はどんなお方なのだろう。いくら想い焦がれても、決して逢えはしないのだけど。

一年のちょうど真ん中の日、それぞれに彼らは互いを想い合った。

やがて孫の孫の孫の代。家系図からとっくに名前が消え去った頃、彼らの子孫は偶然高校のクラスメートとなった。夏至の子孫と冬至の子孫は不思議だった。ああなぜか、ずっとあなたを探していたように思う。それはそれは、麗らかな春の日に。

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