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遠野市宮守には、わさびがある

 私たち「遠野アグリサポート」は、遠野市の持続的な農業の発展に貢献するため、様々なサポートを続けています。今まで活動を続けてきて、遠野市の農業はいろいろな可能性を秘めていると感じています。特に今回は、わさびについて紹介します。実は遠野も、わさびの産地です。この記事では、なぜ、遠野市宮守がわさび栽培に適しているのか、ぜひ知っていただきたいと思います。
 
 そして、遠野市宮守でわさび農家として新規就農するという選択も、積極的にサポートしていきたいと考えています。



わさびの産地や歴史


 わさびは、原産地の違いから大別すると、東洋の「本わさび」と西洋の「セイヨウワサビ」があります。さらに、生育環境の違いから、本わさびの中で、「畑わさび」や「水わさび」という呼び名があります。
 
 そして、今回紹介する宮守のわさびは、この畑わさびと水わさびの生産地です。さらに、この水わさびの栽培は、一定の環境下であることが条件です。その条件は、3つポイントがあります。

  1. きれいな水が近くにある

  2. 安定した水温

  3. 冷涼な気候

 実は、この条件を満たす場所は、あまり多くありません。国内の主な産地は、長野県安曇野市、島根県益田市、静岡県有東木などです。これらの地域は、わさびが自生していた歴史をもつほど、栽培適地の代表と言えます。その歴史は、飛鳥・奈良時代にまで遡ります。江戸時代には、徳川幕府に庇護されるほど、わさびは特別扱いでした。徳川家の命令により、門外不出となった栽培技術は、1700年代後半にその包囲網をくぐり抜けます。そこから、現在も採用されている「畳石式栽培」など栽培技術の発展が始まりました。また、これまで台風などの自然被害に遭った後の復興の過程で、数々の品種が開発されてきました。栽培が盛んな県の農業試験場では、地域毎の栽培特性に合わせた独自品種の開発が進んでいます。


遠野市宮守という環境


 日本の冷涼な地域と言えば、東北。中でも、岩手県遠野市は山に囲まれた盆地で標高が300mの場所に位置しています。遠野市の宮守は、水わさび栽培の条件を満たす適地として、今も栽培が続いています。大正4年頃、達増部の湧水地区という場所から始まりました。「湧水」という地名は、まさにわさびのための場所のような印象を受けます。そして現在、主に猿ヶ石川の支流である達増部川の最上流部にある湧水地区、白石地区で栽培されています。20名ほどのわさび農家が、東北一の生産量を支えています。


宮守のわさび栽培は、ビニールハウスが特徴的


きれいな水路がわさびの生命線


自然な水がわさびの品質に直結する


どんな特徴のあるわさび


 気温や水質、水温などの環境条件がわさびの品質を左右します。わさびの品質は、市場の価値を左右する大事なポイント。具体的には、味や香り、辛味、苦味、甘味に加えて、保存性といった生活に必要な要素もあります。その一方で、栽培という観点から、栽培効率や耐病性も考慮に入れる必要があります。
 
 その点、その環境に適した品種は品質向上のために、大事なポイントであり、わさびにおける品種改良や品種選抜は、非常に大切な作業になります。
 

和歌山県印南町が発祥の高級品種「真妻」


全国的に栽培されている品種「実生」


遠野市宮守のわさび農業


 宮守には、14名ほどのわさび農家がいます。それぞれの農家が、恵まれた自然環境の中で水わさびを栽培しています。ビニールハウスを活用した宮守のわさび栽培は、単価が最も上がる(時には、キロ2万円近くまで上がることも)11月から12月にかけて、収穫・出荷作業を行います。人手を要するその作業をいかに効率化するか、その方法は農家によって異なります。
 
 栽培期間が長い作物(品種によって異なるが、約18ヶ月)のため、11月から始まる収穫時期に合わせた栽培スケジュールにしている農家もいます。つまり、わさびと他の作物を組み合わせるなど、宮守には様々な形の農業があります。
 
 それは、遠野市の農業の特徴と言えるかもしれません。遠野にはわさびの他に、ビールの原材料ホップ、米やピーマンなどいろいろな農産物が栽培されています。少しずつ新規就農者の数も増えてきており、それぞれが遠野で自分に合った農業を実践しています。その中でも、わさびは収益性の高さや環境に配慮した栽培方法など、これからの遠野の農業にとって、期待できる作物と言えます。

2018年に就農した佐々木勝美さんは、わさびと米を栽培する農家
JA遠野地域青年部宮守支部長を努め、新規就農者にとって頼もしい存在


私たち「遠野アグリサポート」は、多くの人に遠野の農業の可能性を知ってもらいたいと考えています。できれば、実際に遠野に来ていただいて、現場での体験や農家さんとの交流を通して、一緒にその時間を共有したいと思っています。

 そして、11月から収穫時期を迎える遠野市宮守のわさびに、私たちの活動も関っていきたいと考えています。詳しい日程や活動内容は、後日にFacebookなどを通して、ご連絡します。

直近のイベント

 今月末、30日(土)に開催される「新・農業人フェア2023」に遠野市が出展します。場所は、池袋サンシャインシティになります。これまで、私たちの活動の軸になっていたホップに加えて、今回はわさびも紹介する予定です。もちろん、その他の農作物の就農についても、ご相談できます。こういった遠野の農業を話題にできるイベントに参加できるのは、非常に楽しみです。会場で、遠野の農業の可能性を共有しましょう。お待ちしております❗️


遠野市は、令和5年度の「地域おこし協力隊」を募集しています。わさびの募集プロジェクトは、現在も募集中ですので、興味のある方は是非ご確認下さい。

遠野市では2016年から、総務省の「地域おこし協力隊制度」を活用し、地方での地域活性化に意欲を持つ人を地域おこし協力隊として採用し、地元企業や生産者と連携しながら、ホップやどぶろく、歴史、文化など、遠野の人々が育んできた豊かな地域資源を活用した地域おこしに取り組んでいます。

岩手県遠野市公式ウェブサイト

こちらは、募集要項になります。https://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/46,71511,c,html/71511/20230727-204821.pdf

こちらは、わさびのエントリー専用フォームです。応募お待ちしております❗️
なお、締め切りは今月の9月30日(土)までになっております。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScgnRMP9Dsjwhjel5WV1thrVzqbP227OH00Iu_CEUVN7WFTAg/viewform