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同人誌の装丁をしてみてプロデザイナーの偉大さを思い知る

こんにちは。サークル参加予定の同人誌即売会の開催日が近付き原稿執筆も大詰めですが、今日は息抜きとしてnoteを書きます。
タイトルにある通り、プロデザイナーってすごいなあと思った話。ただの雑記です。

本好きでありながら、私にとって本のデザイナーは長らく存在を意識するものではありませんでした。
本によっては名義がクレジットされていないし(あるいは本の端っこに米粒みたいな字で表記されてるとか)、最初にパッと目を引くのは表紙イラストを描いているイラストレーターや漫画家だしで、デザイナーって何する人なの? 本のタイトルを表紙に置いてるだけ? と学生時代の無知な私は思っていたものでした。
私がブックデザイナーの存在を意識するようになったのは、『魔女の生徒会長』というライトノベルを読んでからだったと記憶しています。1巻のあとがきにて、作者の日日日氏がデザイナーさんの名前を挙げて労っていました。セキケイコさんという方で、とてもお洒落でハイセンスなデザインをされていました。

結構昔の本ですが、今見てもハチャメチャにハイセンス。あとロゴの装飾が凝ってて凄い。
素敵なカバーデザインや目次や口絵はイラストレーターや漫画家の力だけで出来上がるものではなく、装丁をする人がいてこそなのだと当時の自分は気付かされました。

時は流れて今では自分で自作同人誌のデザインをするようになりましたが、改めてプロデザイナーの凄さを痛感しています。
同人誌って中身を作るのも大変だけど、デザインをするのも大変です。どこにどういう色を使えばいいのか、フォントは、装飾は、全体のバランスは、用紙と印刷の相性は……と毎回悩みながら本を作っています。
デザインって正解が無いものだから難しい。素人が安易に手を出す領域じゃないと常々思います。プロデザイナーに頼む余裕も無いし自分で装丁やりたいからやりますが。
ちなみに私はノンデザイナーです。そこそこ本や漫画を読んできたのでブックデザインの良し悪しはなんとなく分かるものの、いざ実践するとなると当然壁にぶち当たる事の連続です。Illustratorのような専用ソフトも持ってないので、クリスタでちまちま作るのが精一杯。私もイラレでフォントをお洒落な感じに変形させてみたいものです(デザインを学んだ事のない人間の言い方)。

昨今では同人誌デザインを請け負うプロデザイナーも増えてきて、商業コミックのような表紙デザインの同人誌もよく見るようになりました。
あと表紙デザインほどは見かけないけど、目次や奥付や組版、はたまたお品書きやポスターや名刺デザインを請け負うデザイナーさんもいます。当然ながら中身のデザインもプロがやると洗練された本になりますし、私もいつか表紙も中身もまるごとお任せしてみたいなあと思ったり。
表紙デザインは一度依頼した事があるんですけどね。二次創作本なので書影は貼れませんが、DD designworksさんに依頼しました。クールでスタイリッシュな表紙デザインにしたい人にオススメのデザイナーさんです。

実物の本も大変満足できる仕上がりでしたが、デザイナーさんに頼むとなるとお金はともかく素材となる表紙絵の完成と背幅の数値確定を急がなくてはならなくなるので、筆が早くない人間にはそこが少々つらいところ。
でもプロに依頼するだけの価値はあると感じた本になったので、余裕があればまたお願いしてみたいです。

組版や事務ページデザインを請け負ってくれる同人誌デザイナーさんで気になっているのはこちらの方々。せっかくなので宣伝しちゃう。

Suzさん。

Origa Designさん。

アカツキユウさん。


アンソロやプチオンリーのフライヤーなどもデザインされる方もいたりして、ポートフォリオを見ていて飽きません。無限に時間が溶ける。


話が逸れましたが、かく言う私は今も楽しく自分の本をデザインしています。モリサワパスポートfor iPadのお陰でモリサワフォントをたくさん使えるので、デザインが楽しくて仕方ない段階。(このまま進むと多分壁に当たって苦しむ段階に入る)
デザイナーさんの成果物ポストを見ていると、モリサワも強いけど筑紫フォントもよく使われてるなあという印象。筑紫ゴシックいいよね。私もフォントワークスのフォントはmojimoを契約して時々使います。

で。
今度出す既刊の第2版では、表紙及び扉のデザインを新たに作り直しました。
初版を作ったのが4ヶ月前。そこからまたデザイン知識をアップデートし(技術は据え置き)、友人にしか読ませないつもりで表記もそこまで凝っていなかった初版から情報量を増やし、リメイクしたものを並べてみました。

初版の扉。イラストは友人作
リメイクした第2版デザイン

…………。

なんだろう……フォントはバリバリモリサワを使っているのに、どっちも教科書に載せられてるような『改善前のデザイン』感がある……。

理由は分かっています。多分、重心やカーニングの調整が甘いんじゃないかと。
凄腕のデザイナーさんはフォントや絵柄をどう調整したら違和感のないデザインにできるかを熟知しているので、パッと見ただけでも雑味の無いものに仕上げられるのですが、私はこれが限界。
友人の描いた絵はとっても素敵なのに、デザイン一つで全然違って見えます。申し訳ない。
精進するしかないです。


重心とカーニングの重要さが分かるポスト。とりあえずセンター揃えにしておけばいいというものではない、というのがデザインの妙。
このカーニングが曲者で、イラレを持っていないと作業が面倒くさい事山の如し。クリスタだと手作業かつ感覚で調整する事になるので、なんなら作業すればするほどバランスが崩れる場合もあります。

あと、欧文フォントの選び方が本当に分からない。各フォントの違いは並べて比べたら分かるし、ここに使われてるフォント格好いい〜と思う事もあるけど、自分が選ぶとなるとなんだかとってもストレス。
欧文フォントは日本語圏の人間には見慣れないもので、ラインナップは膨大。その中から最適なものを選ぶとなると、そりゃ難しいししんどくもなるよなと思います。日本語フォントだと吟味するのが楽しくて仕方ないんですが……。

上の扉デザインの話に戻りますが、表記された文章(Original Boys Love〜みたいなの)もこれでいいのか不安になります。
二次創作同人誌だと参考になる本がたくさんあるんですけどね。unofficial fanbook〜みたいな。
個人的にBoys Loveは一つのワードとしてくっつけたい気持ちがあるのですが、Boysloveだと一体化したsとlが邪魔してひと目でボーイズラブと読みにくい、BoysLoveだとこのワードだけ単語の間に空白が無い違和感……と、あっちを立てればこっちが立たず。
かと言って画像のOriginal Boys Love Bookだと色々とくどい、ように感じる……。

ちなみにこのあたりもどのような表記にした方がデザイン的に美しく見えるのか、デザイナーさんによっては相談に乗ってくれる事もあります。ただ、校正は請け負っていないから文面には口を出さないよという人もいるのでご注意を。

自分のものを見直してみると、文頭の大文字を全て小文字にして『original boys love book』にした方が文面のくどさが減る気がしてきました。分かんないけど。
今はまだ調整中なので、入稿時にはまた少し変わる予定です。特に第2版の方は絵柄と作者名が被らない方がいいんじゃないかな〜。

というわけで、ノンデザイナーによる同人誌デザインの話でした。
筆者が必死こいてデザインをやる新刊と既刊は10月8日のJ.GARDENで頒布予定ですので、興味があれば手にとってやって下さい。
イベント後通販もおこないます。よろしくお願いします〜!

ついでにこちらも頑張って作ったキャラ紹介ページ。毎回本を出す時に使い回すつもりでデザインしました。
大好きな中ゴシックを使ったのと、読みやすいようにグレーで文章を分けたのがお気に入り。大変だったけど楽しかったです。

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