今日とて、つぶやく!!

えー、オレオレ詐欺なんてものがありますがこれはもちろんとんでもない犯罪でございます。ただ、おばあちゃんがぼけていたりすると始まるのは、何とかだましてお金が欲しいお兄ちゃんVSとにかく話していたいおばあちゃん。いや助けてよ、ってな話ですが今回はいつもとちょっと違う。えー、今日のお話は私の体験談。大学のレポの期限が近く、私にしては珍しくアニメも見ずに大学生のようなことをしていた昼下がり。

スマホがバイブレーションで着信を主張しますと、バイト先からではとびくつきます。これまでも急にかかってきたバイト先からの電話が穏やかな内容だったことなんざありません。でもって、この時間帯は曜日によっては出勤しているもんですから大騒ぎ。まぁ、いざ出てみれば大山鳴動。よくわからない、聞き覚えのない声の主はハタナカを名乗りまして。勿論そんな親戚はいないし、知り合いもいやしない。それに声はおばあちゃんだってんですから、間違い電話に違いない。うちのおばあちゃんなら、九州訛りですぐに気づくってもんです。
「おばさん、きっと間違い電話ですよ。私ハタナカなんて名前知らないよ」
「あ、はいはい。ハタナカですけれども、本日のお茶会なんだけれどもね」
「いや、だからおばあちゃん。間違い電話だよって」
「あー、そうじゃなくってお茶会なんだけどね。今日だったでしょ?」
「んー。すまないけどね、間違い電話だってば」
話はなかなか分かっていただけません。というより詳細は聞こえていないようななんでございます。なんだこの状況、そりゃまぁこんな時は、すぐに切って迷惑登録ってのが常ではありますが、だけど私は何とか理解してもらおうと躍起になっておりました。今から思えば何とも奇妙なお話でございます。
そこで、生物のお話が頭をよぎります。なんでも、耳の遠いご年配の方の耳は渦巻官の手前ばかりが摩耗してしまっている状態なんだそうで、簡単に言えば高い音が聞こえずらい、ということなんでございます。お、これは初めて高校生物が実を結ぶと勇んで実践いたします。
目いっぱい低い声で
「えー、おばぁちゃん。聞こえてございますか」
「あ、どうもお世話になっております。ハタナカでございますけれども、先ほどお孫さんがねえ、」
より拗れたようでございます。
「いや私、千葉県で大学生やってるものなんですけれど」
「はぁー。そうですか?そんなことないと思いますけど」
自分にだってひいおばあちゃんがおりまして、最近はちょっとぼけてきちゃってるのが残念で。そんな背景も相まって、とても無下にすることはできません。とはいっても、それにしたって、そろそろイラが回ってくる頃であります。
なんだかこの調子だと、オレオレ詐欺ができてしまいそうなそんな気すらしてきてしまうんでございます。
「あの、間違い電話なんで、よく確認してくださいね」

電話は切りました、限界でございます。魔が差す前に終止符を打ちましてこのお話はオシマイでございます。

なんだか枕ばかりでオチもなく、大変恐縮ではございますがあくまでもこれは つぶやき にございます。ここらでお開きとさせていただきます。


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