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山岳写真家・山写さんってどんな人?セミナーは役に立つ?彼女はいるの?セミナーに参加して調べてみました!

ネイチャーフォトグラファーの山写氏(@photograph_mt)の山岳写真セミナーに参加してきた。

山写氏は、写真撮影と登山のノウハウメディアの運営(https://yamasha.net/)をしているフリーランスのフォトグラファー。
本職は海外の研究機関所属のフォトグラファー(?)とのことであり、日本では安全な登山と山岳写真の啓蒙活動をされていて、本名も顔も明かしていない謎の人物である。
そんな山写氏が今年の4月、神戸で山岳写真のセミナーを開いたので、その正体を知る絶好の機会だと思って潜り込んできた。
山岳写真の危険性の話、山岳写真で使用する機材、そして色彩学を応用した写真撮影技術について。盛りだくさんの内容を二時間半に凝縮した大変濃いセミナーだった。
謎の人物・山写氏はどんな人だったのか。講義の内容は有益なものだったのかも含めて、紹介したい。

……という書き出しで、山写氏のセミナーの内容紹介をする記事を書こうと思っていたのだが、上記の書き出しをnoteに保存したきり、すっかり忘れていた。
10月9日に山写氏が表参道のfinetrack baseにて写真セミナーを開催するという告知文を見て、思い出したわけだ。

9月18日のセミナー予約開始も近づいているので、参加を検討されてる方の参考になれば幸いである。

この記事を書いた人→@tonkotu0621

あ、タイトルは釣りです。SEOを考えないで記事を書くと、雑なタイトルをつけられるのでいいですね。
(カバー画像 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)より)

そもそも山写さんとは何者か

山写氏(@photograph_mt)は、写真撮影と登山情報のメディア「登山と写真で仕事をしている人」を運営するフリーランスのデザイナーでありフロントエンドエンジニアでありUXデザイナーでありマーケターでイチゴ味のジョア愛飲家である。

この紹介だけだと何をやっている人か分からないのは当然だろう。
だがその点は問題ない。詳しく知れば知るほど、何をやっている人物かよく分からなくなるためだ。
じゃあ本人はどのように自己紹介しているのか、サブブログ、「山写ログ」に書かれた経歴を引用する。

私の現在の肩書はこのようになります。
プロフォトグラファー
クライマー(仕事で山に登る)
WEBディレクター
WEBデザイナー
UXデザイナー
WEBマーケッター
WEBコンサルサント
ブロガー
地方創生業
セミナー講師(NEW!)

参考リンク:「フリーランスになって仕事が増え過ぎた理由をおこなってきたことから考えてみた」https://yamasha-log.net/career/

うん、わけがわからん。

引用は省略するが、本職は、海外の研究機関的なところに勤務するフォトグラファー・研究員的なモニョモニョっとした感じのアレらしい。
なんで海外が本拠地であるにも関わらず日本で活動しているかというと、どうも日本の山岳風景の撮影・調査のためであるとのことだ。

そういった所属機関の絡みもあり、日本では写真でお金をもらってはいけないらしい。おそらく芸能事務所に所属するアイドルが闇営業でお金をもらっちゃいけないのと理屈は同じだろう。知らんけど。

実際、日本では主にCSR的な活動として、写真や登山のノウハウを活かした地方創生、並びに山岳写真の普及啓蒙活動といった、お金をもらわない活動を中心にされているようだ。
ともあれ、そういった本職の守秘義務縛りがあることによって、山写さんはいよいよよく分からない存在になってしまっている。本名も所属機関も顔も非公開で、肩書だけで活動されているのだから、真名を隠したサーヴァントみたいなものである。

そんなわけで、山写氏の正体を探るのは無駄である。言うなれば、日本での活動はあくまでも「山写さん」であるからだ。
ただここ数年、その「山写」というハンドルネーム名義でも、徐々に露出と実績が増えてきている。
例えば、2018年からはアウトドアウェアメーカー・finetrack社とタッグを組みつつ山岳写真セミナーを継続的に開催。BenQや銀一といった写真関係の企業も巻き込みつつ、回数を重ねている。
今年の2月には国内最大のカメラ展示会CP+のBenQブースで登壇し、超満員と時間超過で会場を大いに盛り上げたという。

(後ろの人たちは画面見えてるのかな)
また、アウトドアメーカーのfinetrackとは製品開発段階でも関わっているとのことで、今年の4月に発表された登山撮影用ジャケット「エバーブレス®フォトジャケット」は85,800円という値段設定ながら、受注生産分の100着があっという間に完売している。

このように、「山写」名義での実績が着実に増えつつあることからも、もはや「中の人」について探るのは野暮であることがわかる。
・・・とはいえ、それでも気になってしまうのがヒトのサガである。
そんなところに、今回のfinetrack神戸本社での山写さんのセミナーを知った。

山写さんとfinetrackのセミナーはこれまで東京開催ばかりであった。この好機を逃すわけにはいかぬ。
そんなわけで、神戸のセミナーにキャンセル待ちで潜り込むことにした。
セミナーの内容への興味が7割、山写さんご本人への興味が3割くらいと、下心で下半身をパンパンに膨れ上がった状態だったことは否定できない。

実際の山写さんにお会いして、どんな人だったか

第一印象としては「しゅごい、実在の人物だった」というのが正直なところである。
他人の容姿や雰囲気について言及するのはあんまりよくない気もするので、ここではその際に書きなぐっていた怪文書ツイートを引用する


ホンモノの山写さんに会ってみたい人は、是非セミナーに足を運んでみよう

山写さんのセミナーの客層や雰囲気はどんな感じだったか

今回の神戸のセミナー会場は、finetrack神戸本社の1Fショールームのスペースを利用したものだった。
finetrackの登山アイテムをひととおりそろっている(であろう)空間に、山写さんが実際の登山で使用しているウェアやザック、そして撮影機材が展示されていた。
展示品をじっくり見てほしいという計らいもあり、開場はセミナー開始の2時間前。僕がついたのは30分ほど前だったが、すでにほとんどの方が到着されて、ウェアや機材をチェックされていた。
年齢層は20代から40代前半ぐらいの方が中心で、がっしりした体型の方が多いような印象を受けた。ほとんどが男性である。
スポーティな服装の方が多かったように思う。初心者歓迎のセミナーだったが、実際に集まっている方は少なからず登山を楽しんでる方だろう。
セミナー開始前から山写さんを取り囲み、休憩時間にも質問が絶えず飛び交っていた。
wifiを求めて平地を這いまわって生涯を終えるようなもやしっ子は、僕だけであった。アウェイである。

この日は写真フィルターメーカーのNiSiさんや、カメラメーカーの営業の方も関係者として後ろで見られていた。finetrackの社員さんも常時10名ほどはいたように思う。セミナーの運営のお仕事・・・だとは思うのだけど、それ以上に山写さんの講演を聞かれるのを楽しみにされていたのではないだろうか。知らんけど。

山写さんのセミナーはどんな内容だったか

今回のセミナーの内容は、山写さんが常々ツイッターやブログ、noteでお話されている
・山岳写真の危険性の話
・山写さんが山で写真を撮られる際の撮影理論の話
の二部構成だった。
セミナー紹介ページに掲載されていたアウトラインを引用する。

内容
【第一部】山岳写真のための登山の知識と技術
01.登山をしながら写真撮影することの危険性とリスク回避の考え方
02.山岳写真に適したウェアの選び方(夏・冬)
03.冬山での山岳写真のリスクマネジメント(凍傷・低体温症)
04.撮影機材のパッキングと重量を背負った時の歩行技術
05.登山での一眼レフ・ミラーレス一眼の持ち運び方
【第二部】山岳写真の撮影技術
06.山岳写真山岳写真で使用する撮影機材の紹介と使い方(協力:NiSi)
07.山岳写真の構図(画角・露出・アイレベルなど)
08.構図を追い込むためのアプローチ手法
09.山岳写真での線遠近法と空気遠近法の使い方
10.露出え方と実践
11.被写体の見つけ方とタイムスケジュールの組み方(協力:SUUNTO)
12.写真撮影における色彩学の基礎
13.イメージ通りの写真を撮影するための色彩心理学
14.色彩理論の応用によるLightroomレタッチ技術
15.山岳写真の装備や撮影機材・エバーブレスフォトジャケットの体験会

この内容をスライドでの説明と山岳ガイドの方との対談を交えつつ、二時間半でたたき込むセミナーである。正直なところ、やや駆け足の感じは否めなかった。とはいえ、大変贅沢な内容である。なにしろ、この内容に加えて、50ページの教科書がついて、無料なのである。

この教科書、コピー用紙とホッチキスによるものではなく、印刷会社で製本されたしっかりとしたものだった。これも無料なのだ。くらくらしてくる。

さて、で、実際のセミナーの内容自体はどんなものだったのか。

全体の感じとしては、山写さんのノートの内容を掘り下げて、スライドと山岳ガイドの方との対談でより奥行きを広げたものだった。
だから、すでに山写さんのnoteを購入された方だと、内容をだいたいイメージできるのではないだろうか。

無課金の方でも、目次でアウトラインを確認できると思う。
また、山写さんがブログで書いている内容も、noteやセミナーの内容と重複する部分がある。ブログを隅から隅まで読んでみるのもいいかもしれない。


セミナーの感想文(写真初心者目線)

セミナーの内容自体は、前述のとおり山写さんのnoteで確認することができる。
ここからは、写真初心者・登山未経験者の僕がセミナーを受けた直後に書いた感想文である。
個人の感想なので、一般性のある教訓などは無いので、役に立つ情報が読みたい方は次の項目まで飛ばしても問題がない。かもしれない。
登山については全くの門外漢ということもあり、一部見当違いなことを書いているかもしれないが、あくまで個人の感想ということで多めに見ていただければ幸いだ。

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山写さんはこのセミナー以前もfinetrack tokyo baseやCP+のBenQブースでもセミナーをしている。
カラーマネジメントディスプレイや写真の構図・色彩学などを絡めた講義をされているが、いずれにも共通しているのが、山岳写真のリスクについての講義ががっつり1時間以上入ること。
もちろん今回も例外ではない。finetrack tokyoの山岳ガイド平川さんを交えながら、登山のリスク、装備の重要性のレクチャーから始まった。

なぜそれほどまでに山岳写真のリスクについて語るのだろう?
それは、重たい荷物を背負いハードな運動量をこなさねばならない登山の要素と、時間を忘れて没頭できる写真撮影の要素の相性が最悪だからである。

ある程度の標高を登る登山では、ただでさえ荷物が多くなってしまう。
防寒具や食料・水、応急グッズ、テントなど、必要な登山用具だけであっという間に20kg近くになってしまう。
その荷物を背負い、過酷な山道を登らねばならない。
そのためだけに体づくりが不可欠であるし、体に負荷をかけない技術が必要である。コースタイムの把握、怪我の対処、不測の事態への対応方法などの知識もいる。
これらのどれか一つが欠ければ即事故につながるし、何一つ欠けていなかったとしても予想外の側面から事故が起こることがある。
そういう危険と隣り合わせのアウトドアスポーツが登山である……らしい(僕は登山未経験なので、大きな口で語れない)

そこに、写真撮影の要素が加わる。
まず、撮影機材自体が重たい。「防塵防滴のタフなコンデジを一個持って行こう」と割り切れる人ならともかく、そもそも登山の魅力のひとつが絶景である。その日の体験をもっと美しく撮りたいと思ってしまうものなのだろう。一眼カメラに交換レンズ、三脚、その他撮影グッズ諸々が加わっていくと、どんどん機材の重量が増えてしまう。重量が増えれば当然、平時よりさらに体力が求められる。
加えて、写真愛好家は撮影に没頭しがちだ。登山では、事前のコースの把握とペース配分が必須であるという。コースタイムの把握はもちろん、その日の自分の体調と体力、天候に応じたリスクマネジメントができないと、道迷いや凍傷といった重篤な事故に平気でつながってしまう。
しかし、写真撮影に没頭していると、ついついそのタイムマネジメントがおろそかになってしまうのだろう。
機材重量とタイムマネジメント、その両面において登山と写真撮影の相性は最悪であり、だからこそ山写さんとfinetrackはたびたびその啓蒙のセミナーを開いているわけだ。

「凍傷になりそうだと思ったらすぐに撮影を諦める」
「低体温症はそれ自体の原因を作らないようにする」
「まず、行動の基盤になるテントや山小屋を確保して、危なくなったらすぐに戻る」
そういったリスクを語る山写さんは登山と写真の両面のプロである。
話をうかがっている限り、撮影に没頭せずに、リスクを管理する習慣の存在は、プロとアマチュアの決定的な違いだと感じた。

リスクマネジメントのキーワードであり、悪魔の言葉だと思ったのは「撮れ高」という概念。
山頂付近の稜線で、尚且つ朝日や夕陽、星景といった「撮れ高」のいいシチュエーションは、時間や体調管理を忘れてしまうほど美しいのだと思う。
(繰り返し書くが、僕は山に登らないので体験したことがない)

きっと、どうにかして自分の技術を活かして写真に残して、誰かに伝えたいほど美しいのだろう。
だからこそ、撮影に没頭してしまう。
そして、低体温症のリスクや、タイムマネジメントの失敗に伴う遭難のリスクなどがむくむくと上がっていくという。よくできた罠だ。

こういった話をセミナーで、あるいは教科書で読んでいると、
「そんなリスクを考えて行動するのが当たり前だ」と、
我々はつい思ってしまう。
だが、おそらく実際にアマチュアの方でそんな景色に出会ったら、諦めるのは相当に意思の力が必要なのではないか。
なにしろ大好きな趣味の時間である。
休みのスケジュールを管理し、余暇を趣味に使うことを家族に承認してもらい、てるてる坊主を作って山登りの日を待つのだ。
そうやって楽しみにしていた大好きな趣味の時間で、最高の景色に”出会ってしまった”ら、
それこそ時間を経つのも忘れるくらいなんだろう。山の中なのに、浦島太郎の物語を連想する。
そんなときに、一歩引いて、自分を冷静に見つめなおすための足掛かりとなる知識。それが、このセミナーを受けたという体験そのものではないかと思った。

以上が登山の安全面での感想である。
写真のロジカルなアプローチも、noteで解説よりも頭に入ってきやすかった。
文章で読む場合との最大の違いは、声での解説には「時間」がともなう点である。
なぜ、この写真を撮ろうと思ったのか。鑑賞者にどのように見てほしいか。
それらを順序立てて説明する行為には時間の経過がともなう。
その時間の流れは、撮影した山写さん自身が経験した時間の流れの一部であり、一枚の写真を見るときに我々が体験するものでもある。
写真にはファーストビューで目がいく部分があり、一呼吸おいてそこから見せたい部分に視線誘導するロジックがあるのだという。
そしてその視線と思考の動きによって、見る人に対して撮影者の意図や経験を追体験させる。
SNSの時代になって、一枚の写真を我々が見る時間は1秒にも満たなくなったという。でも、その1秒の間に我々はいろんなことを感じる。あるいは考える。プロの写真家の作品なら、1秒よりもっと長い時間、我々は心を奪われるだろう。
普段なら流し見してしまったり、自分の脳内で完結してしまうものを、一歩引き留めてじっくりと解説してもらえるのが、大変ありがたかった。

写真を見る側の視点で書いてしまったけど、撮る側としてはより切実な話である。
「伝わる写真」としての、ストーリーをロジカルで落とし込もうとすると、そこには必ず「見る人」の視点を組みこんでいくことになる。いわばクライアントの視点を想定しなければならない。
登山のタイムマネジメントの話で、「下山時間」も含めて家にいるうちから行動スケジュールを「逆算」するという話があった。
撮影に関しても同様に、見てほしい人の心理の動きから逆算してアピールする写真を狙った結果、ロジックによってアプローチされた美しい写真につながっていくのだと思う。
まあ僕は写真初心者だからしらんけど。

2時間半があっという間に感じるセミナーだった。
前半の山岳撮影のリスクマネジメントの話が重かったので、若干お腹が空いて集中力が維持できなかったのが辛い。
もしも次回もセミナーに参加できるなら、おやつを持って行こうとおもった。甘い酸っぱいしょっぱい(=登山の携行食を選ぶコツらしい)だ。

セミナーを受けて5カ月、写真がどう変わったか。成長したことなど。

セミナーはそれ自体が目的ではなく、得た知識を実践して活かさないと全く意味が無い。
(というか、そもそもセミナーって知らないことを知るためではなく、自分が分からないことをあらかじめ把握したうえで受講するくらいがちょうどいいと思っている)
登山はまだ早いとしても、撮影技術のほうは自分の写真になにか影響を与えるはずである。
あれから、5カ月経ったが、振り返ってどのように変わっただろうか。

うーん🤔

たぶんあんまり成長してないと思う('A`)
こればかりは山写さんのセミナーが悪かったのではなく、僕の生活態度の問題だ。少なくとも自分ではなかなか成長したようには思わない。

でも、その一方でセミナーがきっかけで確実に変わったと思うこともある。
それは写真の撮り方(撮影技法)を学ぶ意義を少し理解できたことだ。
どういうことか。

例えば、山写さんの撮影スタイルでは、写真の技術として色彩学を活用している。

色彩学は色の持つイメージや効果を体系的に整理したものだが、それを写真に応用することで、構図づくりに制限のあるシチュエーションでも主題に視線を集めやすくなるのだという。
僕は写真初心者だが、写真の入門書はいくつか読んだことがあるし、デザインの本もかじったことこそあるため、色彩学の存在自体は知っていた。
しかし、プロカメラマンがどのように写真に落とし込んでいるのかは、実際にセミナーを受講するまでいまいち想像ができなかった。
もちろん、山写さんは色彩学だけではなく、現場で構図や光といった要素も最大限に活かして撮影し、レタッチを施して写真を完成させている。
では、なぜ、そもそもどうしてそこまで考えて写真を撮らなくてはならないか。
それは、写真を鑑賞する人に伝えたい山の景色や、そこに至るまでのストーリーがあるからだろう。文章を書く際に、より伝わりやすい文法やレトリックを試行錯誤するのに、近い感覚なのかもしれない。
撮影技術って、いい写真を撮るためのものではなく、自分が伝えたいものを伝えるための技術であること。それが僕が感じたところの、撮影技法を学ぶ意義である。
まず、自分が写真で伝えたいものは何なのかを把握する。それから、そのために技術や知識を組み合わせることで、それがより伝わりやすいものへと変わる。だから知識や技術がいる。学べば学ぶほど伝わりやすくなってハッピーになる。
そのように捉えると、それまで難しい構図の本や、色彩の本といったものが、以前よりも納得感を持って読めるようになったと思う。
それだけではなく、美術史や写真史、デッサンといった、直接撮影に関わらないような知識も、回りまわって誰かに伝える技法の糧になることも、なんとなく腑に落ちるようになった。

(余談だが、山写さんのセミナーの導入では、ウォーホルの「キャンベルのスープ缶」がシルクスクリーン印刷の作品でありながら美術界で高く売買されたことに触れつつ、「作品の価値に複製の可否は関係ない。評価に値する作品であればデジタル写真であっても高い値段で買う人はいる。特に、日本の山岳写真は、アートとしてまだまだ流通していないため、皆さんの作品がこれから売れる可能性も十分にある」という話をされていた。日本の山岳写真の成長可能性について述べた話ではあったけど、裏テーマとして美術史を理解する重要性を主張したかったのではないかと思う)

とまあここまで長々と書いておきながら、作例を示しつつ自分の写真の成長を訴えられないのは、我ながら説得力に欠けるとは思っている。
とはいえ、まだセミナーからまだ半年も経っていない。
写真趣味者として、これからもカメラを持ってうろうろするだろうし、もしかしたらいずれ登山にだって挑むかもしれない。
これからも写真を楽しんでいくに際して、今回の山写さんのセミナーは僕自身にとって大変意義のあるものだったと思っている。1年、2年と経験を重ねる中で、今回のセミナーの体験やいただいた教科書を反芻し、成長できるであろう指針をいただいたようなセミナーだった。

改めて、20名の限られた枠の中に、僕のような平地のもやしっ子を参加させていただいた山写さんに五体投地で感謝したい。
本当にありがとうございました。

山写さんのセミナーが10月に東京開催!予約は9月18日スタート

さて、そんな山写さんのセミナーがfinetrack TOKYO BASEで10月9日に開催される。

これまでの山岳写真セミナーと内容を変えて、低山や森・雨天時といった「山の始まり」での撮影を深く知るセミナーになるという。また、ネイチャーフォトグラファーの瀬尾拓慶氏を交えた対談形式とのことだ。プロ二人の対談、スタイルの差異や共通点を通じて、撮影技法やフィールドでの立ち振る舞いを、より深く知ることができるんじゃないだろうか。

今回のセミナーも無料で、教科書付きになるのだという。
予約は9月18日の12:30から。例によって20名限定の超レアなセミナーなので、気になる人は予約開始時間に予約ボタンを連打しよう。


この記事を書いた人→@tonkotu0621

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