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【ちょこっとDirty Pals#1】 『ONI』 脚本家・岡田麿里 × 監督・堤大介 トークライブ

Intro

2021年10月23日に「Dirty Palsで開催されたMonthly Talk Live、第10回目のゲストは、トンコハウスで現在制作中の最新作『ONI』の脚本家・岡田麿里さんをお迎えし、堤監督とのトークライブをお届けしました。「ちょこっとDirty Pals」ではその一部を抜粋してご紹介します。

ーーDirty Palsについて
Dirty Pals」はTonko Houseが運営する会員制のコミュニティ。毎月スペシャルなゲストをお迎えしてオンラインのトークライブをお届けする「Monthly Talk」や、毎週土曜日の夜に堤監督とロバート監督の会話を覗き見する「ロバート&ダイスのWeekly本音トーク」、その他様々な活動をFacebookグループ上で行なっています。
トンコハウスを通じて出会った仲間から生まれたこのコミュニティで、トンコハウスから皆さんへ、皆さんからトンコハウスへ、様々な気づきを共有し、好奇心を刺激し合う場所としてお楽しみいただけたら幸いです。

Guest

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脚本家・岡田麿里

脚本家。埼玉県出身。1998年『DTエイトロン』で脚本を手掛けて以降、主にアニメ脚本家として活動。2011年には原作・脚本を担当した『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が大ヒット。その後、小説や実写作品、漫画原作、作詞など、活動の範囲を広げ続け、2018年『さよならの朝に約束の花をかざろう』でアニメ監督としてデビュー。現在、監督2作目となる映画『アリスとテレスのまぼろし工場』を制作中。

代表作品
【監督・脚本】
『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018年)
【脚本】
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011年)
『凪のあすから』(2013年)
『心が叫びたがってるんだ。』(2015年)
『空の青さを知る人よ』(2019年)
『泣きたい私は猫をかぶる』(2020年)  ほか多数。

1. 堤監督と岡田麿里さんの出会い

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堤大介監督(以下、堤):
岡田麿里さんとの出会いは僕の中ではすごく奇跡的な出会いで。そこから話していいですか?

岡田麿里(以下、岡田):
どうぞ!(笑)

堤:
僕はそこまで日本の作品に詳しくなかったものですから、一番最初に見た作品が麿里さんの代表作ではなくて「ひそねとまそたん」だったんですね。「ひそねとまそたん」がたまたまアメリカのNetflixでやっていて、なんであれを見たのかも覚えてないぐらいなんとなく見たら、すごく僕好みだったんですよ。変な設定というか、すごく不思議な世界観じゃないですか。自衛隊の飛行機が実は龍だった、みたいなね。
そのへんてこりんな世界観とかユーモアのセンスとかがすごい面白いなっていうところから惹かれて。見ていくと、キャラクターの描写がすごく人間臭かったのが印象的だったんですよ。
そこから、こんな人がいるんだと思って調べていったのがはじまりでした。

調べていったらもちろんすごいキャリアで、正直最初は岡田麿里さんと仕事ができるという希望よりも、“岡田麿里のようなライターを探そう”という感じでしたね。

最初は「ダム・キーパー」の絵本を送って、映画祭の招待状を送ったんですよ。その時は直接麿里さんとやりとりしていたわけではなくて出版社の方を通して、ラブコールを伝えたんですが、まっっったく返事がなくて。
いやーやっぱり大御所の人はそういうのには返事してくれないのかーって(笑)。

岡田:
違う違う!違うんです!(笑)
その時絵本を見て、わぁこれすごい!と思って、嬉しいですとお手紙書こうと思ったんです!ただその時出版社の担当編集者の方のお手紙がすごい達筆でどう返事を書いたらいいかわからなくて……すみません、言い訳ですね。

堤:
そうだったんですね。
でも僕はしつこい性格なんで、その後も諦めないで日本脚本家連盟のお問い合わせフォームに「岡田麿里さんと連絡とりたいです」ってコメントしたんですよ。そしたら二日ぐらいで連絡があってびっくりしました。

岡田:
連絡したい気持ちは山々だったのでお返事いただけて嬉しかったんです。ちょうどその時ぐらいに映画祭*があって、映画祭にも行かせてもらって、このスタジオとお仕事してみたいなと思いました。その時にも『ONI』のセットが飾ってありましたよね。

*岡田さんがいらしてくださったのは「トンコハウス映画祭第一回」ですが、URLは「トンコハウス映画祭第二回」のページとなります。

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堤:
そうでしたね。その時はまだ『ONI』の話も特にしてなかったですよね。そこで連絡が来てから、岡田さんのご自宅のカフェで打ち合わせをしたんですよね。その時に僕が遅刻してね(笑)。

岡田:
はい、1時間ぐらい遅刻しましたね(笑)。

堤:
1時間もだっけ!(笑)
その時僕は時間勘違いしてたんですよね。おっちょこちょいだから。
でもその時印象的だったのが、麿里さんが全然平気そうな顔で「一人カラオケしてたんで全然大丈夫ですよ」って言ってて、なんだこの人!と思って(笑)。
その時点で、もしかしたらこの人と何かできるかもしれないって思ったんですよ。怖い大御所の人だったらどうしようと思っていたんだけど、すごく気さくな対応をしてくれて。
それから数ヶ月後にアメリカに来てもらうことになるんです。

バークレーに来てもらってから、最初は作品の話よりもずっとお互いの生い立ちの話をしてましたよね。

岡田:
本当にいきなりダイスさんが人生の深いところを話し出すから、この人大丈夫かな…精神的に今辛いのかな、って思ってたんですけど(笑)。
そうじゃなくて最初にそういう話をしておくことでこれからのシナリオ作業が深くなっていくということだったんですよね。

(中略)

2. 『ONI』の舞台にもなった、屋久島での旅

堤:
バークレーのカフェで毎朝話しをする中で、グッと(お互いの理解が)深くなりましたね。
『ONI』のストーリーの構想は、基盤みたいなものはあったんですが、僕の中では岡田麿里さんが持ってくるものを入れたいという気持ちがかなりあったので、僕がこだわっているポイントを明確にして、崩せる部分はどんどん作り直していったんです。

やっぱり物事を作る時には必ず作る過程で必ずエボリューションがあるんですよね。作り終えるまでものがたりは変わっていくのが当たり前で。その中で岡田麿里さんとものづくりの旅を一緒にしたいと確信しました。そこで一緒に屋久島に取材旅行に行ったんですよね。

岡田:
なかなか冒険がすごい旅でしたよね。
運動神経悪いから、あ、やばいなっていうことが何度もありましたね(笑)。

堤:
本当に精霊が住んでいそうな森で。すごかったですね。

岡田:
息遣いを感じるというか。
行ってから(ストーリーの)方向が変わった気がしますね。

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3. 岡田麿里さんの人生について

堤:
僕もインタビューや自叙伝で読んではいるものの、岡田さんがどういう形でこの世界に入ってきたのか、というのはやっぱり色々聞いてみたいんですが。
小さい時は登校拒否をしていたんですよね。
今麿里さんとお仕事していると、人懐っこいというか、スタジオでいろんな人と一緒にいても物怖じしない印象が強いんですが、幼少時代はどのような感じだったんですか?
麿里さんの中でどういうきっかけで、ものづくりをしたいと思ったのでしょうか。

岡田:
ものづくりという以前に、まず家から出られると思ってなかったですね。学校は行ってなかったんだけど、友達はいて。
1ヶ月に一度ぐらい遊びに来てくれたり電話したりするんですけど、どんどん状況が変わっていくんですよね。1ヶ月会わないと、「あの子が好きなんだけど、どうしよう」みたいな恋バナをしていた女の子が次の1ヶ月後に会うと、もう一回付き合って別れた、みたいなことになってたりして。
当時はネットもなくて、その期間の情報が全く無いから、自分の中で友達とかの物語を補完していくしかなかった。そうやって想像していた時間は、今の仕事に繋がってるのかなと思うときはありますね。
もちろん時間もたっぷりあったから本を読んだり映像を見たりして、こういうもの作りたい、と思う気持ちもあったけれども、どちらかというと「身近な人の知らないところを埋めていきたい」という思いの方が大きかった気がします。

つづく…

この後もますますお話は盛り上がり、予定時間をオーバーして約1.5時間にわたりお送りしたトークライブ。続く以下のトピックを含めた全編動画は、Dirty Palsでご覧いただけます。

4. 「あの花」はどのようにして生まれたのか。
5. 監督として挑む最新作「アリスとテレスのまぼろし工場」について
6. 『ONI』脚本の制作秘話。堤さんは厳しかった!?

トークの最後はみんなで記念写真をパチリ!

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ご参加くださったDirty Palsのみなさまありがとうございました!

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次回のMonthly Talk Liveは、なんとYouTube特別無料公開!
Netflixにて公開中の最新シリーズ『プリンセス・マヤと3人の戦士たち』の企画、脚本、監督を務めたホルヘ・グティエレスさん、キャラクターデザイナーのサンドラ・エキフアさんをゲストにお迎えし、堤監督・ロバート監督とのトークライブを開催いたします!

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あらすじ
舞台は湖に浮かぶ伝説のテカ王国。勇者の心をもつ王女、プリンセス・マヤに課せられた使命、それは古代の預言に従い、神々の怒りから人類を救うことだった。運命の大冒険が今幕を開ける。

10月22日(金)に公開したばかりの新作『プリンセス・マヤと3人の戦士たち』。メキシコシティで生まれ、ティフアナで育ったホルヘ監督。メキシコのポップカルチャーと民族文化を題材に、美しくも力強さのある数々の作品を生み出してきました。
ホルヘ監督のルーツ、インスピレーションの源、エネルギー溢れる作品の制作舞台裏など、ここでしか聞けないお話をたっぷり伺います!

開催日:11月13日(土)12:00〜
開催場所:YouTube特別無料配信  ▷配信URLはこちら

主催:Dirty Pals(トンコハウス オンラインコミュニティ)


『Dirty Pals』入会はこちら

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『Dirty Pals』
入会ページ:Dirty Pals公式サイト
活動場所:Facebook非公開グループ
会費:月額 1,650円(税込)

みなさまのご参加お待ちしております!


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