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姫リンゴの花が咲くころ

旧年度は静かに去っていった。
同僚や同期入社の友人たちは、みな遠方に旅立っていった。

僕は、今年もまた札幌にとどまっている。

「じゃあな」と去っていく友人の背を見送るとき、
角に消えるまでそこに居てしまう。
旅立ちを送るのは、いつものことだがちょっとだけ寂しい。
(そうかといって、送られるのは苦手だ。なんとわがままな生き物だろう)

新年度が始まった。
我が家の姫リンゴが、真っ白な花を咲かせた。
新しい人が入れ替わりにやってきた。

ある人の机は着任したばかりでピカピカで、
ある人は席替えでごちゃっとしている。
窓の外がどんどん明るくなって、空が少しづつ高くなって、
外に出るとまだやっぱり外套が手放せない。
こういうアンバランスさに、「春だなあ」と思う。
伝わるかなあ。

今年は、どんな一年にしようか。

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