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年中休業うつらうつら日記(2024年8月10日~8月16日)

24年8月10日

昨日、宮崎県あたりで南海トラフ地震があった。(註:地学の先生によるとこの表現は誤りで、正確には「
南海トラフ地震の想定エリア内のほぼ西端の日向灘でM7クラスの地震が発生した」のだそう)
「それですぐに次の地震が来るわけではない。可能性が少し高まっただけ」とテレビで報道していたが、夜には神奈川を中心とした震度4ぐらいの地震が起こった。
「うわー、すぐ来るんだ!」と驚いていたら、鉄道や主要道路はほぼ止まってしまった。
定例金曜ZOOM飲み会があったが、神田に出て小田原に帰れなくなった人、今夜、長老の別荘へ車で行こうとしていたが高速が通行止めになってしまったので思案している人、来週「郡上徹夜踊り」に行こうと思ってるが大丈夫か、と心配する人など様々だった。
うちはこの週末はどこへも行かずに家でのんびりしようと思っていたので助かった。
来週からのお盆休み、皆さんの足に影響が出ないといいのだが。

休みなのをいいことに私は寝たり起きたり、せいうちくんはオリンピックにハマってレスリングとボルダリングを見まくって朝の4時まで起きていた。
2人とも、起きたのは昼の12時半。
せいうちくんの買い出しが済んだら、もう全然外に出ないで今日明日を過ごす予定。

息子から心配したメッセージが来たけど、こちらはまったく被害なし。
上高地も尾瀬も何事もないらしい。よかった。

ディズニー+の策略に陥って岩明均原作のドラマ「七夕の国」が終わるのを待っていたら1か月を経過してしまった。
このうえは残る1か月で外国人の書いた三浦按針の話「SHOGUN」を観てしまおう。
それでまた1か月やめられなかったりして…

久しぶりに何もない週末をのんびり過ごしていると、本当にくつろぐ。
先週は落語の会とコロナで山小屋を追い出されてきた息子がバッティングするという椿事が起こったからなぁ。
我々への感染もなく、何もかも終わった今では大したことなかったと思えたが、現場では相当あたふたした。
次の週末にも息子が下北沢のイベントスペースでインプロコントをやりに下山してくるので、3晩ばかり宿を提供することになりそうだ。

新刊大人買いをした「逃げ上手の若君」はさっそく借り手がつき、お盆が明けたら出荷の予定。
どうせ今は生まれて初めての福本伸行の「アカギ」を読んでいるので大量貸出ぐらいなんということはない。

24年8月11日

福本伸行の「アカギ~闇に降り立った天才~」全36巻を読む。
買った時は「こんなのまで読むんだろうか?」と自分でも不思議だったが、今回読んで初めて、息子が大学時代に友人2グループと一緒に初上演したコントライブの中の、「運否天賦…うーん、うんぷてんぷ?字がわからん。しかし、最強のチョキだ!」とやっていたネタの意味がわかった。
10年遅れの理解だが、遅きに失することもあるまい。
その前に息子は一体どこで読んでたんだろうなぁ。漫喫かしら。

いちおう麻雀のルールは知っているので、十二分とは言えないまでも意味は分かって楽しめた。
(あんなに配牌が良くてどうする、とは思ったけど)
「賭博黙示録」「賭博堕天録」とかあたりの買ってなかったシリーズは新たに買うことになった。

これについては多少迷った。
わざわざ1万円以上出して買わなくても、生涯に1回読めばいいのではないか、それならば月に550円ぐらいの電子マンガサブスクで読んでしまえばいい。
しかし、息子に「カイジ、面白いね。そろえようかな」と送ったら、「うん、あると嬉しいね」という返事だったので、これらは買い。
なぜ「中間管理職トネガワ」全10巻は持っていたりするのか、自分よ。

せいうちくんから、
「もう大人買いはやめて細々と買うようにしたら」と言われて「うん」と言ったはずなのに、取りこぼしてる名作がまだまだある気がしてきた。
Kindle Unlimitedなんて無料で読めるのは第2巻まで、だったりするんだもんなぁ。
呼び水も、もうちょっと潤沢に打ってもらいたい。

24年8月12日

祝日だからせいうちくんもお休み、と思っていたら、実はもうお盆休みに突入してるのだった。
暑いので今年は何の計画も立てておらず、ひたすら家でエアコンかけて、溜まった録画を消化したりマンガや本を読んで過ごそうと思う。

こんな時、手近に車がないのはかえってさっぱりしており、ついつい出かけて渋滞に巻き込まれたりしないで済むのはありがたいかも。
試しにちょっと出てみて帰り道で渋滞に巻き込まれ、100キロを7時間かけて帰ったというGくん、お疲れさま。

八ヶ岳の長老の山荘では小さな合宿が行われているらしく、Messengerグループに時々報告が入る。
今週はGくんが車を使っているので行けないし、いまだに北海道18日間の疲れが取れ切っていないので、もうちょっと先になったら寄せてもらおうと思ってる。
本人が「冷やし中華始めました」みたいなノリで「山小屋開きました」と宣伝してるぐらいだから、迷惑にはなるまい。

虫博士のSくんがとんでもなく大きなクワガタをつかまえたと写真を送ってくれた。
こちらからは、今、息子が働いてる上高地の混雑ぶりをXから友人が送ってくれた写真と、息子本人から「敷地内に熊が出た」と言ってきた写真を送る。
危険度はもちろん熊の方が上なんだが、ミヤマクワガタにはレアさで負けてる気がする。

夜にちょっとだけ外出してみよう、とブックオフへ。
こないだ懲りたので、近くの店舗、しかも自転車でだ。
それでも暑くて汗だくになって帰る羽目になったのと、意外と「カイジ」のシリーズが110円の棚にそろっていた李はしないものだという現実を突きつけられ、かなりがっくりとした帰宅となった。
洗濯ものがよ乾く以外に感謝すべき点が見つからない酷暑である。

24年8月13日

夜がダメなら朝はどうだ、と9時半に自転車で行ってみる。
カフェでせいうちくんはプリンとコーヒー、私はパンケーキ(2枚)とアイスコーヒーを頼むのがいつものコース。
しかしこれだけでもう1800円ぐらいするんだよね。
半年ぐらい家計簿をつけてないので、今、どのくらいの支出で生活してるのか正確に把握してないのもあり、年金生活に入ったらこういうのは「贅沢」というものなんだろうな、と思う。
なにしろ110円棚のマンガが15冊買えるわけだし。

見方を変えれば、これだけの本が無料で「読んで、読んで」と呼び掛けてくるわけで、最新刊やベストセラーを望むのでなければ十分に楽しめる。
今回も、坂木司の「和菓子のアン」シリーズの第4冊目、「アンと幸福」を借りることができた。
そういえば2巻、3巻を文庫で買ってデータにしてからまだ読んでなかったな、と思って1巻から読み始めたら、なんということだろう、第2巻の「アンと青春」はあるのに第3巻「アンと愛情」は買ってもいなかった!
あわててAmazonで安い中古を探し、買ったが、こんなことなら昨日ブックオフに行った時にちゃんと探しておくんだった。
110円は無理でも350円ぐらいなら、Amazonで送料払うより断然お得なのだ。
図書館で借りた4巻には、文庫本が届くまで待っていてもらおう。

ところでこのシリーズは百貨店の和菓子売り場に勤めるややぽちゃの杏子ちゃんが、「あんこちゃん」と呼ばれそうになったので、それはあんまりだ、と「アンちゃん」で勘弁してもらう、という話だ。和菓子薀蓄たっぷり、美味しそうな表現もたっぷりで、茶道入門が頭をかすめること請け合い。

陽が高くなる前に帰ったが、やはり汗だく。
着ていたものを全部選択に突っ込んで、水風呂に入ってほっとひと息。
本当にもう、金輪際外には出ないぞ!

24年8月14日

岩明均のマンガ「七夕の国」を原作にしたドラマをDisney+でやっていたので仕方なく入会したところ、最終回を迎える前に1か月が過ぎてしまった。(そもそも「1か月無料」のシステムがDisney+にはない)
少しでもモトを取ろうとせいうちくんが気になるドラマ「SHOGUN」全10回をやっと観終わった。
徳川家康がそもそも別の名前で出てくる、三浦按針を主人公にした米国人の書いた小説が原作らしい。
せいうちくんには「日本人とは違う視点できっちり見て、描いていて、面白い」と大好評であった。

あとはもう、スパイダーマンとか観るぐらいしか我々には選択肢がないので、「そこまでの作品を全部観ていないと楽しめない」と評判の「アベンジャーズ/インフィニティ―・ウォー」に手をつけた。
全部観てから、と思ってうちに録画がある作品と必要作品を突き合わせたリストまで作った時期もあるんだが、時が経つうちに忘れていたよ。
結局、スパイダーマンとアイアンマン以外はほとんど知らない状態で観て、それなりに面白かったものだから、「やっぱり全部観てからにすべきだったか?」と少し悩む。

まあいいや、中華料理の達人、薬学博士のNさんが到着した長老の山荘では中華パーティーが繰り広げられてるらしいので、こちらはこちらで壁面を大スクリーンにしてピザ買ってきてコーラ飲みながら「アベンジャーズ/エンドゲーム」を映画館気分で楽しもう。
ピザはせいうちくんが買ってきてくれるから半額になるし、私は汗まみれにならずに済む。
ちょっとは話がわかってきたきがするので、「インフィニティー・ウォー」より楽しめそう。

お盆で配達が遅れがちなため、「カイジ」シリーズはまだ届かない。
来たら来たでかなりの作業になるが、せいうちくんもお盆休みの間にやってしまおうと思ってる家庭内庶務の仕事がいくつかあるようだから、書斎にエアコンかけて夫婦別作業しよう。

庄司陽子の「生徒諸君!」のシリーズは私が高校生ぐらいの頃からずっと続いている。
本編25巻、続編「生徒諸君!教師編」26巻、続々編「生徒諸君!最終章・旅立ち」30巻で終わったかと思ったら、今は「生徒諸君!Kids編」が続行中で14巻まで出ている。
この全部を持っていて、しかも時々読み返しているというのは有意義なのか時間の無駄なのか、よくわからない。

ネットでも取り上げられるぐらい絵がひどくなり、「最終章・旅立ち」の途中からさすがにつらくなってKindleで自動的に買うようになった。
読むのをやめようとは思わないのがコンプ癖のある人間ならではだ。
「Kids編」はいつの間にか14巻までたまっていたという感じで、一気に読んだが、終わるべき時に追われなかった作品の悲しさを感じる。
それなのに時々すごく泣けてしまったりするのはやはり古参少女マンガ家の底力であろう。

「生徒諸君!」には、せいうちくんの高校の授業中、誰かが「わっ!」と突然叫び、「マールが死んだ!」と、机の下でこっそり雑誌を読んでいたことを自ら白状してしまったとの逸話があるぐらいで、中高一貫男子校まで浸透していた大変な人気作だったのだと思われる。

大好きだった「Let's 豪徳寺」も8巻で終わったかと思いきや、今や二世編の「Let’s 豪徳寺 Second」に入ってすでに8巻。
こちらもどんどん代替わりして、今やひ孫の代に縁談がくるほどのご長寿シリーズだ。


女の子が恋をしてハッピーエンドを迎えると終わっていた少女マンガも、その後に結婚。出産、子育て、次世代と話が続くのは当然のことかもしれない。
そういう意味では庄司陽子は過去の名作で食っていこうとしているわけではなく、リアルな世界を描いているのだと言えなくもない。
人生山あり谷ありだってことを思い知らされる。
読み始めた頃は、こちらも自分の人生に結婚や子供が登場するとはあまり想像していなかったからなぁ。


古い少女マンガの話を続ければ、高口里純の「花のあすか組!」が連載開始したのは1985年の雑誌「ASUKA」の創刊号からで、雑誌名に合わせた中心企画だったと思われる。
こちらはいわゆる「サザエさん」型で、主人公のあすかちゃんはずっと中3のまま、「花のあすか組!」から「外伝」があり、「新・花のあすか組!」「花のあすか組・BS(ブラックスクール)編」を経て最近の「花のあすか組・インフィニティ」で一応の終了をみている。
今は「グランマの憂鬱」という農村のボスおばあさんの矍鑠たる生き様を描いた作品を続けているので、もうあすか組は出てこないかもしれない。

それにしても高口里純、エッセイマンガ「息子が心配で夜も眠れない」の中で息子のバイトが続かないとか就活が大変とか親心を十二分に吐露してくれているが、「花のあすか組!」シリーズや「ロンタイBABY」シリーズでいったいどれだけのヤンキーを生産して世の親たちを泣かせてきたと思っているのか、と少しあきれる。
親になって初めて知る親心、であろうか。
それで「グランマの憂鬱」や名ベビーシッター「紅のメリー・ポピンズ」を描いて、少しでも次世代、さらにその先を救おうとしているなら天晴れである。

1日マンガを読んで過ごすと、自分もヒロインになりたかったんだなぁとしみじみ思う。
ナッキーのように「悪たれ団」(このネーミングセンスはいかがなものかと思うが)を作って前項に影響を与えて伝説の人になってみたかったし、あすかのように厳しい生き様を貫く強い少女でありたかった。
この先さらに老婆になっても、「グランマの憂鬱」のように「しゃらくさい!喝!」と言ってみたいものだ。

24年8月15日

終戦の日。
黙祷も忘れて寝こけていた。
お盆休み継続中で、申し訳ないほどのんびりしている。

Disney+に入会して2か月目の行きがかり上、MARVELシリーズを少しでも進めておこうと思い、リビングをシアター仕様にして次々と観ている。
「アベンジャーズ」のシリーズにハマって3本観たあと、スタークさんの死後が気になって「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」を観て、キャラの魅力にやられて「ドクター・ストレンジ」を観て、そこで「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」を観ようとしたらいきなり出てきた魔女が「過去に変えてしまった町」が気になって「ワンダヴィジョン」を観ている最中、という状態だ。

「アベンジャーズ」シリーズは、観れば観るほど作中人物の関係や絡み合いが気になってきて、枝葉末節にこだわり始めると止まらない。
今は「ヴィジョンを作ったのは誰なんだ?」てなあたりをさまよっている。
さらに他の作品を観ないとわからないのかもしれない。

24年8月16日

台風が来ているようだ。
朝から雨が降ったり止んだり。
友人情報では横浜が大雨らしいので、東京も台風圏内にいることだし、午後は荒れるかも。
八ヶ岳の山荘に残ってるメンツは大丈夫なんだろうか。

お盆休みの重要課題として、格安SIMへの乗り換えがあった。
せいうちくんはとりあえず自分のスマホで試してみると言って昨日何やらいいろいろやっていたが、今日、もうSIMカードが届いてしまったそうだ。
「届いたからには料金が発生し始めている。すぐに機能させないと」とスマホとPC相手に頑張っているよ。
そのへんは全部おまかせなので申し訳ないんだが、私がPCでせいうちくんに勝るところはエクセルが使える点だけだからなぁ。

昨日、書こうか書くまいか迷っていた件が少し先に進んで、ポイントがいくつか見えてきたので書くことにする。(そもそも日々起こることを正直に書かないのは非常に主義に反していて気持ち悪かったのだ)

10月末まで上高地で働いてるはずの息子が、昨日連絡してきて、「9月の第1週で仕事を辞めて別の仕事で京都に行き、そのあとしばらく東京にいる。ついては2、3週間実家に滞在させてほしい」と言ってきたのだ。
とりあえず10月末までは夫婦で別居出稼ぎ計画を立てていると思ってすっかり安心して過ごしていた我々夫婦にとっては、

「また息子の『仕事辞めたい病』が出た!」

というショックが大きかった。
前回2週間居候された時のストレスも相まって、思わず「うちに長期は、無理!」と返事してしまった。
「南海トラフ地震で不安になり、少しでも近く、連絡の取れる場所にいられればと思った」
「子供心に、家に来るのが手放しに嬉しいものだという勘違いしていた節がある」と言われると、親としては嬉しいんだが、現実の対処は難しい。

「どうせ京都は大した用事じゃないんだよ。悪くしたら、知り合いの演劇を観に行く、ってだけかもしれない。それで勤め先から『キミ、ちょっと休み過ぎだよ。それじゃこの先は雇えないなぁ』と言われて、『じゃあ、辞めます!』ってなっちゃったんだよ」と夫婦の妄想は加速する。

そのあとせいうちくんと「息子はいったいいつになったら長期的展望が持てるようになるんだろう」と嘆きあっていたのだが、Messengerでのやり取りではらちがあかないので、今日になってやっと彼の休憩時間に3者通話で話せた。

それによると、京都は去年もやった学生さん相手の講師の仕事で、それで休むのは勤め先とも話がついていた、しかし妻との間で「茨城で知人の店に住み込んで一緒に手伝いながらコントライブもやる」という話が進行しており、さらに別件で演劇関係の仕事が入りそうになってるのもあって早めに山を下りることにした、よく働いて惜しまれて去る形なので何の問題もない、とのことだった。

私もひと晩考えてずいぶん整理がついており、やはり彼らのライフスタイルは我々のそれとは違っており、理解したふりだけですませられる問題ではないと気づいた。
「不安定と不確定」
少なくとも今の段階の彼ら夫婦にはそれが当たり前なのだと、特に息子のやりたいことは常にチャレンジになってしまうので、「経済的に現在食えている」以上の期待をしてはいけないのだと思うに至ったのだ。
まして彼の妻が同意して、夫を支えて尾瀬で働き続け、11月頃から茨城での新しい計画を喜んでいるのであればなおさらのこと。

南海トラフ地震はあんまり関係ないのでは、とも思うが、息子によれば「とてもイヤな感じがする」のだそうだ。
彼は時々神懸って、後楽園のゴーゴーファイブショーで数万人に2、3人にしか当たらない「ゴーゴーレスキュージャケット」を引き当てたり、受験を何とかしたりするから、ちょっと気にしておこうかな。

「家に来たら嬉しい、ってのは勘違いなんかじゃないよ。嬉しいよ。ただ、先に相談してもらいたかったのと、母さんも毎日闘病していて、父さんはドクターから『ダンナさんが離れたら奥さんは死にます』と言われて仕事を減らし、毎日綱渡りで少しでも見通しを立てながら生活してるんだよ。そこを理解して、あなたも家族として生活を一緒に支えてくれる気で来てもらうんでないと難しいんだ」と話す。
「わかった。先に相談しなかったのは確かに悪かったよ。それに、もちろん生活に協力するし、母さんが予定の変更に弱いとか僕の状況が刻々と変わるのが負担なら、あまり伝えないですますようにするよ」
「なにかしら仕事はしてね」
「うん、山にいる間に算段をつけるようにするよ」

最後の約束はちょっとこれまでの前科を見ると反故にされそうだが、「せいうち家は中途半端に甘やかすからダメなんだ。甘やかすならとことん甘やかせ。突き放すんならきっぱり突き放せ」と言ってくれた友人の言葉を参考に、「実家に身を寄せたい」という希望をなるべく受け入れよう。
我々が親に対して持ったことのない気持ちを大事にしたい。
娘が生まれた時に「力を貸してくれ」と頼む隙もなく拒絶された時の失望を、息子には味わってほしくない。

サラリーマンにならずに芸人になる息子、という現実をとことん受け入れるしかないのだろう。
「僕の『不安定』がお母さんに悪い影響をもたらすならあまり連絡を取らない方がいいのかもしれない。2人の望む『安定』は僕には無理だろうから」と言わせてしまったのを申し訳なく思う。

だがしかし、我々のバイブル、のりつけ雅春の「アフロ田中」の中で田中のお母さんも時にはキレるではないか。
「お豆腐ぐらい、いえ、もっと美味しいものを食べさせてやりたいわよ。息子なんだもの。でも、あなた、ゴロゴロして働かなくて、家にちっともお金を入れないんだもの、食べさせてあげられないわ」
高校を勝手に中退した息子に対しての言葉としては親切すぎるだろう。
30歳過ぎてやっと「お金は足りてるのか?」と聞かないでいられる状態になったことだけでも感謝すべきなのかも。
「仕事を辞めたくなった」のではなく、「別の展望が見えてきたのでそっちに舵を切った」のだと思おう。

せいうちくんは早くも、
「茨城!北海道以外でセイコーマートがある唯一の場所!キャラバン買った意味がやっと出てきた。茨城に行きまくって、ラズベリージャムパンを買いまくる!」と興奮しており、ほらほら、そういう「勝手な思い込みと期待と予定」がいけないんだってば。
「先の予定なんか立てられない」と主張する自由人のGくんと同じだと思わなきゃ、と忠告したら、
「息子は可愛いけど、Gくんは特に可愛くない。一緒にされたくない」と憮然としていた。
やっぱ可愛いんじゃないか。
そして、息子にとって自分の親とは違う親でありたいと思ってるんじゃないか。
だったら直視しなきゃいけない現実はたくさんあるよ。
ラズベリージャムパンはまあほのかな期待ぐらいに留めておいたらどうかな。

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