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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年10月1日~10月7日)

やけに暑い日があったと思ったら翌日から突然寒くなりました。羽根布団を厚いのに替えたいところですが、来週また30度の暑い日があるとの予報で、勇気が出ません。でも春以来初めて寝室の床暖房を入れました。初めて長袖も着ることに。こう気温が乱高下すると体調に影響しますよね。すっきりと「秋だ!」って思えるのが毎年だんだん遅くなってる気がします。地球温暖化と言われて久しいですが、本当ですね。

22年10月1日

先日プロポーズを果たした息子は、今日カノジョのお母さまに会いに行き、無事結婚を許していただけた。
「お父さまのお墓参りにも行き、家族の一員になれそうだよ」と報告があった。
また大きく前進したわけだ。嬉しい。
「もう、息子の1人だと思っているわよ」と言っていただけたそうだ。

昨日のZOOM飲み会は特段記すこともなし。
いつものようにバカ話をして楽しく皆さんは酒を飲み、私とHくんはノンアルコール。
少なくとも私は酒が飲めないというか、弱いので飲むとなると相当な覚悟がいる。
ひと口飲むとあとはある程度気合で飲めるが、身体はアルコールを受けつけていない。
なので「お酒が美味しい」と思ったことはほとんどない。
飲める人にはわからないだろうが、一気に流し込むことでようやく飲んでいるありさま。

今週もせいうちくんは仕事でくたくただったのでわりとすぐに落ちて、寝かしつけたあと私は戻った。
ちょうどSくんがUくんからワインのうんちく話を聞いていたところだった。
前に「ワインの話で盛り上がっていたので、落ちた」と書いたから、Sくんは「ちょうどワインの話で戻ってきた。うさこさんはこの話だと帰っちゃうんだよね」と少し慌ててた。

いや、ずっと続くんでなければ話題のひとつとしてかまわないよ。
ただ、「ワインは飲めないし、わからない」と言っても言ってもSくんは「酒が飲めないなんて、人生の半分損してる」とか「せっかくソムリエのU先生からワインのお話が聞けるのに、もったいない」と主張する。
1500円ぐらいの美味しいワインの話をしていたので「せいうちくんは500円以内のワインしか飲まないからなぁ」と言うと、「そこで千円節約して何を買うって言うんだ。人生損してる」とまた言う。
決まってるじゃん、マンガや本買うんだよ。

だからさぁ、うちはワインに興味がないのよ。
味もわかんないからせっかくのUくんのお話も「猫に小判」。
1本500円以内ならコスパもそう悪くないし、その値段内でそこそこのワインが飲めればせいうちくんは満足なわけ。
飲めない私とコスパ重視のせいうちくんはワイン1本に千円も2千円も払う気がないの。
そこを「もったいない。本当に美味しいのに」と言われても興味がないものはしょうがない。

と、ちょっと語気が荒くなって気まずい雰囲気になったので、意外と気ぃ遣いの長老が、
「今度、Uくんに500円以内のワインの飲み比べ会をやってもらおう」とアイディアを出した。
それならせいうちくんも興味を持つかもしれないが、いったいいつから日本人はこんなにワインについてあれこれ言うようになったんだろうか。
かつて日本酒もブームがあって、くらぶ内でも「利き酒の会」などが催されていたが、飲んで「これはうまい!」となったことがないんだよね。
バームクーヘンの違いの方がよほど一家言持っていると言える。
この温度差をどうしたらいいのだろうか。

せいうちくんが超多忙だったここ3カ月の埋め合わせに少し休みを取ってくれそうなので、長老の山荘に泊めてくれるかどうか聞いてみた。
長老曰く、パリピの娘さんと1カ月暮らしてもコロナに感染しなかったのでなんだかコロナに関して自信がついたようだ。
去年の夏までは山荘にこもっている感じで外泊者も受けつけず、合宿も中止になっていたのだが、非常に寛大になっていた。

うちは車を売ってしまったのでレンタカーを借りて行くつもり。
せっかくだから何かとレンタカーを借りて車中泊の旅に出るGくんを「一緒に行かない?」と誘う。
「わしは安いワゴン車しか借りんから、せいうち家みたいに1日1万5千円のクラスの車なんか乗らないぞ」というお返事。
「じゃあGくんの分もうちが払うよ。うちに泊まって、夜中とか早朝に出発しようよ。道が混むから」と提案すると、
「わしは老眼がひどくてよく見えないから夜は運転しない」
「じゃあ運転もしなくていいから」
「それじゃわしはただの荷物じゃないか」
ってやり取りがあり、最終的にはせいうちくんが半休を取り、午後出発にした。

長老のスケジュール管理のためいつにするか話し合っていたら、最初は「いつでもいいですよ」と言っていたせいうちくんが候補の週末が上がるたび、「あ、そこはダメだ。マンション管理組合の会合がある」「月曜に予定が入ってて休めないなぁ」などと次々却下している。
だったら最初からどの週末なら休めるのか決めてから話を持ち出せ。
「いつでも休み取るよ」とか安請け合いするから、人の考える予定にどんどんダメ出ししていく感じになっちゃうじゃないか。
こんなに勝手な人だっけ?

そう嘆くと、Sくんは、
「せいうちはわりと昔から勝手だったよ」と証言する。
そうか、私はいつも言うこと聞いてもらってるから、あまりダメ出しされたことがないんだよね。
他の人にはわがままだったのか。

Sくんはこないだ1人で長老の山荘を訪問しているけど今回も行くことになった。
その後ZOOMに入ってきたUくんHくんKちゃんも誘ったが皆さんちょっと都合がつかないみたい。
まあUくんは遠い北海道の空の下で、山荘に行かなくても十分涼しいからなぁ。

楽しみな予定が入って嬉しい。
長いこと爆発的に楽しいことから遠ざかってたからね。
コロナ恐るべし。


今日のマンガは大童澄人の「映像研には手を出すな!」既刊7巻。
どこか未来世界のような高校でアニメが作りたいあまりに「映像研」を作ってしまう3人娘の青春物語。
実はこの人はあまりマンガの絵が上手でないので、アニメで火がついた感がある。
アニメータは基本絵が上手だから、マンガで読むより面白くなってる。
原作マンガ推奨派の私も、これだけはアニメの方がいいと思ってる。
ただ、下手は下手なりに味があるのと、メカの細かい設定等の絵は大変上手なのだ。
宮崎駿の熱狂的なファンらしい。
「未来少年コナン」放映中はTwitterで「実況中継は100万回観た人に任せて、初見の人々はテレビを食い入るように見ていなさい」と豪語していたが、実は前もって書いておいた原稿を時間になったらPCがアップしてくれる仕様になっていて放送時間が遅れた時は焦っていたため、せいうちくんはちょっと怒っていた。アニメ好きの争いは熾烈。
マンガの中での場面の転換(アニメ世界に突入するところ)などはアニメで非常に達者に描かれているが、この優れた原作のアイディアあってのことだと思う。

22年10月2日

下北沢で息子が企画・運営にかかわらせてもらってるパフォーマンスパブで、息子の名前を冠したお笑いの会がある。
学生お笑い時代からのつきあいである漫才コンビの片方がお笑いやめるんだそうで、彼らのラストライブにもなる。
せいうちくんはずっとそのコンビ、特にやめる方の人の大ファンだったので悲しがっていた。
「ぜひ見に行きたい。できれば花束を渡したいぐらいだ」と息子に言ったら、「それはもう、来て、花束渡してあげてよ」となって、今夜は下北沢。

そうなると予定をぎちぎちに入れるタイプの我々は、まず途中の駅で降りて懸案だった私のダイヤのペンダントを買おう、と考える。
今年は初めて会ってから40年の年で、これまでで一番懐が温かいので記念にダイヤ買ってくれるって言われてたんだ。
数十万単位のアクセサリなんか買ったことない我々はちょっとそわそわと百貨店に向かう。
「大丈夫、今日はちゃんと高いの買う気だから」と自分たちを励ますのは、前に同じようなことを考えてでも予算が5万円ぐらいだったので百貨店宝飾品売り場のおねーさんに気の毒そうに、「その価格帯のものは置いておりませんね…」と言われた過去があるからだった。

不思議なもんで、まだ家とかマンションとかを買う資力が全くない頃に「勉強だから」と見に行ったモデルハウスでは冷たい扱いを受けたのに、その後本気で買う気になった頃には散歩のついでのサンダル履きでも恭しく迎えられた。
客の銀行預金の残高が見えるのだろうか、ハウジング部門の人たちは。

今回も買う気で出かけてみたらおねーさんの物腰がフレンドリーに見えた。
これはどうもこちらの精神状態の問題かもしれない。
「ここは我々にはふさわしくない場所だ」と尻込みしていると、相手の反応が芳しくなく思えてくるんだろう。
いくつか見せてもらった中で、金の鎖のもので気に入ったのがあったのであっさりそれにした。
おねーさんは「金だとややカジュアルになりますね。プラチナの鎖のものの方が多いです」と言いながらも、つけてみたら私の顔色等には金の方が合うと思ったようだった。
ピアスもメガネのポイントカラーも、金だしね。

「つけて行きます」と言って箱とか鑑定書とかもらい、いったん立ち去る。
そうだ、結婚指輪も新しくしようと話してたんだ。
金とプラチナのコンビタイプなのでサイズ直しができないのに、私が際限なく太るから入らなくなり、外して暮らしていた。
でも息子がもうじき入籍するから向こうのお母さまとカノジョとのお食事会には結婚指輪はめて行きたいなって無理やりはめたら、「なんとかなったけどあと1キロ太ったら抜けなくなる」って恐怖を感じ始めたのだ。

他の売り場で「結婚指輪は置いてますか」と聞いて、
「うちでは扱っておりませんが、あちらのお店でお取り扱いがあります」と教えてもらった方向に行ってみたら、さっきダイヤを買ったばかりのお店だった。
「あら」とおねーさんに言われ、今度は指輪の相談。

なんと、コンビの指輪でも今はサイズ直せるらしい。
今のサイズで16号、リングゲージで測った穏当なサイズは19号。
そんなに太ったのか!
実は結婚15年目ぐらいで1度買い直してるんだよね。それがさらに入らなくなったと。
うーん、これ以上太らないようにしよう。
それができれば苦労はないのだが。

20日頃できてくる、と言われて、「18日につけて行きたいもので」とお願いしたら「それでは間に合わせますので!」と力強く言ってもらえて、お食事会に行く前に取りに寄ることにした。
息子たちも結婚指輪をしようかな、って気分になってもらう一助にしたい。

ブックオフに寄って今集めてるマンガを捜し、数巻をゲット。
昔スキャンしたので画質が粗いんだ。
今、その手の買い直しが非常に多い。
スキャナを新しくしたのと、マメにガラス面を拭かないと特にマンガは表紙と裏表紙のところにのりが残りがちで全体に赤や緑の筋が入る原因になる。
慣れない頃そのあたりは無頓着だったので、今残ってるデータは筋が入ってるものが非常に多い。
読むのに特に差しさわりはないがあまり気分のいいものではないから、できる範囲で買い直し、取り直しをしている現状だ。

せいうちくんも掘り出し物があったらしく、彼のリュックは7冊分ぐらい重くなってしまった。
しかし前世は荷役馬だったろうと思われる彼は全然気にしないのだった。
そのまま下北沢へ行き、喫茶「パルファン」のマスターにご挨拶に行こうと思う。
それにしても街の様変わりはすさまじく、40年弱前には住んでいたが今ではもう住めないなぁとあらためて深々と感じる。
渋谷に住んでた友達が休日に豆腐1丁買いに行くにも人ごみで歩けない、とこぼしていたのを思い出す。

まずは「珉亭」でラーチャン食べようと思ったら、「ただいまライスを切らしています。ご飯物はできません」と貼り紙がしてある。
それではラーチャン食べられないじゃないか。
「珉亭」でラーメンだけというのも物足りない気がするので、ごはんが炊けた頃にまた来てみよう、となった。
次の目標の喫茶「パルファン」が繰り上がる。

土曜が休みの「パルファン」、今日は日曜だからやっているだろうと思ったのになぜかお休みだった。
がーん、である。
マスターも土日の人混みに嫌気がさして平日営業だけになっちゃうんだろうか。
なぜか井の頭線急行が本日のみ駒場東大前で停まると車内放送で言っていて、大学の駒場祭は11月のはずだからあのへんにたくさんある高校のどこかが学園祭なのかも、と推察する。
それでいつもより若者の人出が多く、「パルファン」は臨時休業にしたのかもしれない。

タイムスケジュールに穴があき、しょうがないからとりあえず古本屋へ行こうと下北沢にチェーン展開しているDORAMAをググる。
私にとって古本集めはDORAMAで始まったようなものだが、当時たくさんあった古本のDORAMAは今は1軒しか残っておらず、あとはゲーム、CD、DVD、トレカなどをそれぞれ扱っているようだ。
そのDORAMA古本店舗はあまり品ぞろえもなく、あっという間に狩りは手ぶらに終わってしまった。

「時間が余るねぇ」とせいうちくんに言ったら、
「ここまで来たら『トロシャン』に寄って行こうか」。
南口のかなり先の方にある喫茶「トロワ・シャンブル」には40年前からよく行っている。
喫煙可なので下北を根城にして活動している息子も時々行くそうだ。
少し並んで待ったが、無事カウンタ席に座れた。

と、せいうちくんが「タバコ買ってあげようか」と言う。
外で吸うことは想定外なので持ってきてないんだ。
紫煙漂う店内を見てたら確かに吸いたくなったので、ありがたくお願いする。
彼が出ている間に奥のテーブル席が空いたから、とおにーさんが案内してくれた。
カウンタ席を空けておいた方が1人客が入れるからか、純粋に親切なのかは判断がつかない。
これまたありがたく席を移動させてもらう。

そこにせいうちくんが戻ってきた。
最近私がよく吸うメンソールの「アメリカン・スピリット」ミント味を2箱買ってきてくれた。
ライターまである。
そこまでは気が回らないだろうとお店のライターを借りてスタンバっていたのは彼を見くびりすぎていたな。
「この席でタバコをゆったり吸うキミが見たかったんだ」とニコニコするせいうちくんと話し込む。

「40年にちょうど1カ月足りない記念日だね。昔もよく来たね、トロシャン」
「うん、まさか息子も通うようになるとは思わなかったね。しかもマスターはずっと変わらないんだよ」
「スゴイよ。40年前と同じ人とここで会ってるなんて、こんな未来が待っているなんて思わなかったね」
「あなたが家を出てきてくれたからこそある『現在』だよ。ありがとう」
「それ以外考えられなかった。どうしてもキミと結婚したかったんだよ」
そして我々の息子ももうじき結婚しようとしている。心の底から大好きな人と。こんな幸せなことはない。

せいうちくんはコーヒーのお替りもして、ゆっくり過ごしたあと、珉亭に行ってみることにした。
夕方5時半はすでに行列ができている。
「ライス品切れ」の紙はなくなっていて、代わりのように「餃子売り切れ」と貼ってある。
餃子は食べないからいいの。
すぐにせいうちくんが並んでくれたが、こういう列って名前書くとこなかったっけ。
列の先頭に行ってみるとやはり名前と人数を書いて待つようなので、書く。
2階の座敷だと私の膝では座れないなぁと心配していたが、じきにカウンタでいいかと聞かれ、入店。
なぜか前の老夫婦より先に案内され、横を通る時奥さんがダンナさんに「あなたが名前書いておかないからよ。あーあ、先に並んでたのに!」とつぶやくのが聞こえた。
譲ってあげた方がよかっただろうか、と少しくよくよしていたらすぐに隣のカウンタが空いたので案内されてきた。よかった。

私はアクリル板のすぐ向こうでおにーさんが中華鍋を振っているのが手元以外の上半身をじっくり見られる席で、せいうちくんはステンレスのボウルに紅い紅いチャーシューの角切りが山盛りになっているのを真正面からじっくり見ていた。
チャーハンと半ラーメンのセットのラーチャンはあいかわらずおいしい。
ラーメンを大にしてもらうのがせいうちくんの普段通りだ。
もっと昔は、両方大盛りにはできないラーチャンを1人はラーメン大、1人はチャーハン大盛りにしてもらって、大盛りを両方せいうちくんの方に集めて食べていたから、その頃に比べると若い食欲がなくなってるってことだろう。

食べ終わって、18時過ぎで少し早いけどお店に入れるかどうかパフォーマンスパブに行ってみることに。
エレベータで3階に上がると、店のドアの前の空間にベンチが置いてあり、そこに息子と女性が、奥の非常階段に男性が1人座ってタバコを吸っていた。
「まだ入れないかな?」
「19時には入れるんだけどね。でもそこからも待つから退屈するかも。19時半ごろに来てくれる?あ、こちらは一緒にやってる仲間の人たち。僕の両親です」と互いを紹介してくれて、それぞれ「いつもお世話になっています」の応酬。
「いいよ、1時間あるからカラオケしてくる」と言ってまたエレベータに乗って立ち去ったが、せっかくだからタバコ1本つきあったらよかったな。
でも息子が喜ばないだろうから、やめておいた方が吉。
ただでさえ「何かと親が出てくる林賢くん(この日記の中での息子のコードネーム)」なんだからね。

すぐ近くにある「まねき猫」に行くと10分ほど待つようだが入れそう。
せいうちくんはスマホが古くなって充電がすぐ切れるようになり、その時で残量5%になっていたので目の前に「レンタル充電器」の自販機があると教えてあげたら、LINE登録から一生懸命やっていた。
「手続きをすませるまでに残量が切れたらどうしようかと思った」と言っていたので、私のスマホでやってあげればよかったかなと反省した。
330円で24時間貸し出し。
とりあえずカラオケしてる1時間でどこまで充電できるか。

「ソフトドリンク飲み放題」つけたのでアイスコーヒーとソフトクリームを飲み食いしながら、私はポルノグラフィティ中心、せいうちくんはいつもの「LEMON」を歌い、坂本九の「夕焼けの空」を歌い、最後は私がリクエストした加山雄三の「白い砂の少女」で〆た。
いつものことで、圧倒的に私の方がたくさん歌った。せいうちくん1曲に対してこちらは3曲、って勢いで。

「アポロ」を歌っていたら「僕らが生まれてくる ずっとずっと前にはもう~ アポロ11号は月に行ったっていうの~に~」で始まる歌詞の中で、「僕らが生まれてくる もっともっと前にはもう~ アポロ計画はスタートしていたんだろ~ 本気で月に行こうって考えたんだろね~ な~ん~だ~か~ 愛の理想みたいだ~ね~」ってとこがあり、うーん、若い人に馬鹿にされてるのだろうか、しかしだね、昔行った人がいるからこそ君らはあんまり月に行きたいとか思わなくなってるんだよ、もう済んじゃってるからだよ、となんとなく考えた。

気持ちよーく1時間歌って、お店に戻ったのが19時45分ぐらい。
もうお客さんが入り始めている。
今日は漫才コンビのラストライブでもあり、彼らを推す人々も集まっているんだろう。
息子が「最後に皆で並んだ時に僕から渡すから。ちゃんと僕の親から、って言うよ」と花束を預かってくれ、
「盛況だね」の言葉には「嬉しいよね!」と満面の笑みで立ち去った。

前にカノジョのお母さまと一緒に来た時よりお酒のメニューがずいぶん増えたこととかプラカップでなくてグラスで出すようになった点が変わっていた。
彼らもいろいろ模索してるんだろう。

20時になると息子ともう1人ピン芸人が出てきて、MCを務める。
少し柔らかめの息子の声に対し、ピンの彼はものすごくよく通る声だ。
この箱では聞こえすぎるぐらい響く。
息子も滑舌はだいぶ良くなったが、声量はまだまだ。これは体質かねぇ。

「りんけん寄席 vol.3」と銘打った今日のお笑いパフォーマンス、全部で9組の若い芸人さんが出演した。
背後では同じコントグループのTくんがごついカメラを2台も使って配信を行ってくれている。
ライブのポスターはやはりメンバーのSくんが作ってくれた。
コントグループとして2足の草鞋を履いている3人が今日は3人でのグループ名で出演してくれる。
「メンバー的にはあとNくんが祝電をくれれば全員そろいます」と息子が紹介してたよ。

ソウルメイトと息子が呼ぶ、NYで知り合ったHくんがキーボードを、あとエレキベースとドラムスが入って生演奏で入りや出の曲を演奏してくれる。
贅沢な空間だ。
20人ほどで満席になる店ではあるが、自分の名前を掲げてライブが開けるのも贅沢で素晴らしい体験だろう。

狭い舞台でも芸人さんたちの熱量はすさまじく、圧倒された。
ピンが息子を含めて6人。あとは漫才と3人のコントグループと今日解散する漫才コンビ。
特にピン芸人は刃の切っ先に立ち続けているようなしんどい仕事だと思った。
息子のインプロコントはお客さんから10枚の「映画、マンガ、小説などの好きなセリフ」を書いた紙をもらってそのままポケットにしまい、要所要所で適宜1枚ずつ出してそのセリフを織り込んでいく、というもの。
「今、なんて言った!『だが、断る!』だとぉ?!」みたいに奇跡的に収まる時もあるが、たいていその場にあわないセリフの数々なので苦労していたようだ。
本人、何が書いてあるかわからない状態でいきなり見るわけだからね。

〆には3組に分かれて、それぞれがお客さんからもらったお題でその場でインプロコントを始める。
さすがにピンの人たちはカンが良くて、いい作品になっていたよ。
そして最後は全員舞台に出て、引退する人に花束贈呈。
「僕の両親からです」と言われてびっくりしてたようだった。そりゃ驚くよね。
でも、せいうちくんずっとあなたのファンだったんだよ。
出演した皆からの寄せ書きをもらい、感動していた彼。
あいているところにお客さんも書き込んでいいと言われたので、帰る前にせいうちくんがひと言書いてきた。
第二の人生を晴れ晴れと歩むことを祈っているよ!

「じゃあ帰るね」と息子に挨拶してエレベータで降りたら彼から電話がかかってきた。
カノジョにあげた婚約指輪、サイズが合わなかったからこちらでもう一度直しをしてもらう予定で今日受け取るつもりだったんだ!
昨日、「明日は指輪忘れないでね」とかメッセージ送ったのに、もらって帰るのすっかり忘れてた!
ビルの入り口まで戻り、息子から小箱を受け取ってミッション完了。いやあ、すまんすまん。

「今日は本当にいい日だったね。トロシャンに行けたし、ラーチャンも食べた。昔住んでた下北の街をあなたと一緒にたくさん歩いた。この街には本当にいろんな思い出があるね」と話しながら電車を乗り継いで帰ったら、息子から連絡が。
「打ち上げで終電になりそうだから、今日そっちに泊めてもらっていい?」
いいけど、ごはんとか何にもないよ。
せいうちくんは返ってからカレー作るとか言ってるけど、お風呂入ったら寝るから。
明日は月曜で、仕事じゃん!
息子には「ごはんは自分で調達してきてね」と言っておく。
風呂と布団の提供はOKだ。

で、待ってたら結局終電も逃したので途中まで車で送ってもらったらしい。
他の方向に帰る人も乗せてたので、うちまで来るのはムリだったみたい。
「歩いて行くから2時ごろになる」と言ってきたのを、せいうちくんが「早く顔見たいからタクシー代払うよ。車使いな」って返したら、素直に「うん、のっていく」って。
おかげで1時過ぎに会えた。
「お笑いやめる人が、『今日、この場所が最後のライブで本当によかった』って言ってくれたのが一番嬉しかった。疲れたけど、いい日だった」としみじみしている息子と短い時間をピシッと話し込んで、せいうちくんは2時ごろ寝た。

息子も私も起きるシバリがないので少しゆっくり話した。
カノジョのお母さまと会った時のことを聞いたら、
「亡くなった夫以外、最高だと思う男性がいないので再婚しなかった」と、娘であるカノジョがこれまで聞いたことのない話をしてくれて、「息子くんが母と打ち解けてくれたから聞けた」と感動してたそうだ。
息子も「自分の息子だと思っている」と言われ、とても喜んでいた。

今日買ってもらったダイヤを、私が死んだら息子のカノジョにあげられると思うと嬉しい、と言うと息子は「すごいね」と答えた。
「何がすごいの?」と聞き返すと、
「家族と思ってくれてるんだね。嬉しいよ」だそうだ。
もちろん娘同様に思っているし、指輪やダイヤなど、自分がせいうちくんからもらったものを遺せる相手がいるのは本当に幸せなことだ。
これは一種の不死かもしれない。
現実には死にたいと思っている私も、どこかでこの不死性を喜んでいる。
未来にはもっと楽しみなことがたくさん待っているかもしれず、それは若い2人の幸せな人生を見ることだったりするのだろう。

結局、今日1日で1万歩歩いていた。
普段家にじっとしていて100歩歩くのも珍しいことを考えると、当分破られそうにない壮大な記録だ。


今日のマンガはちばてつや「のたり松太郎」既刊36巻だが、事実上もう何十年も出ていないから終了なんだろう。
怪力自慢で頭の悪い松太郎が相撲取りになり、部屋の親方を次々とノイローゼにしながら邁進していくマンガ。
しかし横綱になったりはしないのがこの話のいいところ。
優勝は何度かしていて強いは強いんだが、「心・技・体」の「心」がどうにも不真面目でついてこないため、協会ににらまれていてなれないのだ。
小柄で小心で秋田なまりの強い同期の田中が粘りに粘り、優勝して結婚も決まるってところでお話は今のところ終わっている。
ちばてつやに続きを描いてもらいたいマンガ、ナンバー2だ。
ナンバー1はやはり未完の「男たち」既刊2巻。
「のたり松太郎」に出てくるオカマバーのママは、「男たち」に出てくるキャラクターの将来の姿ではないかと妄想する。
生きてるうちにぜひ描いてください、ちば先生!

22年10月3日

せいうちくんは朝早く出社。少し眠そうだった。
昼頃起きた息子と私は一緒に家を出たが、隣の駅前の宝飾店に指輪をリサイズに出すことを考えて自転車で先に行き、息子は徒歩であとから来た。
ハンバーグプレートのごはんを大盛りにしてもらう彼と、パンケーキの私。
今回は2段だったが、息子から、
「これの5段を食べたことがあるの?」と聞かれた。
「うん。父さんに手伝ってもらおうと思ったら、『この偉業は1人で完遂してください』って言われた。食べ終わった時はさすがに肩で息をしていたらしいよ」と答えたら大笑いしていた。

せいうちくんのお父さんは6月から特養に入っているが、昨日、お義母さんが初めて面会に行った。
「私が検査で入院しなきゃいけなくなったから、ちょっとショートステイに行っていて」とケアマネさんから授かった嘘で連れて行ってもらい、それから数日は「いつ家に帰れるんだ」「なんで私はこんなところにいるんだ」「家内はいつ退院するんだ」と暴れ、職員さんを殴ったり蹴ったりしていたようだが、最近はすっかり落ち着いたのでそろそろ面会に来てもいいだろう、との判断があったようだ。

お義母さんと義妹さんが一緒に行ったようで、せいうちくんに家族LINEグループで無事に終わったと連絡があった。
大人しくしており家に帰りたい等の言葉は出なかったようなのはひと安心だが、たった3カ月で見る影もなく老いており、歩き方も老人特有の足を引きずるような足取りだったと、お義母さんは電話でも言っていた。
「あんなところに入るとみんなそうなっちゃうのよ。私は絶対入りたくないわ」
そして、「何か欲しいものはないか」と聞くと「愛情が欲しい」と言っていたそうだ。
「やっぱりああいうところは情に欠けるって言うか、接し方が事務的なのよね」とお義母さんは言っていたが、自宅からデイケアに通っていた頃も女性に触るなどの行為があり、「家庭に愛情がない。ふれあいが欲しい」と訴えていたお義父さんだった。

母親が家を出てしまい、祖母が兄ばかりが可愛がっていた家庭、結婚してからは社会的な出世や収入ばかりを求められ、罵られ続けた人生で、ずっと上辺を覆ってきた殻が認知症によって薄くなる、もしくは存在しなくなって、生まれて初めて本音が言えたのではないか、とせいうちくんはため息をついていた。
「少なくとも子供の僕から見て、母はいつも父を怒鳴りつけていた。父への愛情は感じられなかったし、父も言い返すこともなくただ受け流していた。愛情のない家庭だったと思う」

息子にそんな話をしたら、しみじみと、
「こんなに豊かで甘美なものが感じられないなんて、寂しい人生だね」とつぶやいていた。
息子にも愛する人ができ、また私たち夫婦も互いへの愛情を大切にし表現してきた家庭だったので、そんなふうに思うようになったのだろう。
彼の人生で未来の配偶者への愛を一番に考え、楽しく長く共に暮らしていってもらいたい。

息子とハグして別れ、自転車で指輪屋さんに行く。
10号から5.5号へのサイズ直し。
2回目なのでちょっと安くやってくれるって。
「サプライズだったから、サイズがしっかり測れなかったんですよね」
「私が主人からもらったものを息子のカノジョにあげたんです。婚約指輪として」
「いいお話ですねー」と研修中の女性と担当さんが声をそろえて祝ってくれた。

電動自転車のバッテリー残量が13%しかなかったので心配したが、余裕で往復できた。
キーでバッテリーを外し、家に持ち帰って充電する。
「案外重たいので落とさないようにね」と思わず取り落としたらしいせいうちくんから何度も言われている。

あとはぐにゃぐにゃになって寝た。
無職はありがたいなぁ。


今日のマンガは森博嗣の人気ミステリシリーズ始まりの話を霜月かいりがコミカライズした「すべてがFになる」全2巻。
もっぱら「犀川教授のビジュアルに興味がある」ため買ったので、マンガとしての出来は二の次だった。
マンガのアニメ化にあまり興味がないのと同様、小説のコミカライズもそう読みたいと思わないんだけど、この作品は「森博嗣の、易しいようでコムツカシイ小説をよくマンガにしたなぁ」と感心した。
意外と原作は大事な情報は少ないんだね、と森博嗣に対する苦手意識が少なくなった。
なんとなく小説の方をほめて終わった感はあるかな。

22年10月4日

小山宙哉の「宇宙兄弟」を読んでいたら月面つながりで浦沢直樹の「Billy Bat」がどうにも読みたくなってしまった。
このように急に長編をどかっと読みたくなるからこそ、自炊作業を行っているのだ。
しかし当時のスキャンが気に入らない。
今ではもっといいスキャナを使っているし、さらに現在より精度を上げたらどうだろう。
さすがに全部のマンガに対してそれはメモリ容量上無理があり、かつ買い直しが莫大に発生する。
しかし、気に入った作品だけを現在の400から600に上げてスキャンするぐらいなら大丈夫だろう。
どのぐらい綺麗に読めるのか、試してみたい。

なので、「Billy Bat」古書セット全20巻を買う。
せいうちくんはマンガを買うことに何の苦情も言わない。
ただ、「『Billy Bat』のフルセットを見るのは3度目ぐらいな気がする」と言っていた。
うん、私もスキャン技術の向上のたびにこれ買ってる気がする。
しかしついでに買った柴田昌弘の「斎女伝説-クラダルマ―」全18巻はあまり評判が良くない。
「柴田昌弘は絵は上手いけど色気がない。あれだけエロいマンガが、彼が描くとまったくエロくなくなる」のだそうだ。
「ジョージ秋山の『ピンクのカーテン』とか石森章太郎の『馬が行く』とかは青年マンガとして非常に色っぽくてエロい。ああでなくては」ってさ。

600にすると1.5倍綺麗になり、1.5倍メモリを喰い、1.5倍時間がかかる。
すべてが「×20」「×18」だ。頑張ろう。


今日のマンガはippatuの「虎鶫(とらつぐみ)」既刊5巻。
タイトルにまず惹かれた。それから少女のビジュアル。
ファンタジー系か、と思って読み始めたらわりとリアルな未来世界で始まる。
だんだん登場人物が増えていき、ディストピアものなのかな。
次第に見えてくる世界観が興味深い。
少女の絵だけ別の人が描いてるように雰囲気が違う。
戦闘シーンとかはリアルだが、少女「鶫」の存在でファンタジー度が一気に上がる作品。

22年10月5日

午前中と午後に病院のハシゴ。
まずは11時半ごろに心臓の定期検診だ。
今は血液サラサラのワーファリンの量を少し増やして様子を見てるところなので2週に1回。
しかし起きたのが11時だったのでのんだのもその直後。
おまけに足してのまなきゃいけない0.25mgをのみ忘れたような気がしてしょうがない。

待合室はガラガラで、すぐ診てもらえた。
江口のりこ似の女医さんに上記のような事情を打ち明けたら、
「ま、いいでしょう」と言いながらティッシュを取りに立った。
2枚つかんだのを渡してくれる。
「メガネ、拭きますか」
小雨の中自転車できたので細かい水滴がついていたのだった。
親切だなぁ。惚れ直すぜ。

ワーファリン値は2.1。ちょうどいいあたりだ。
「じゃあしばらくこれで行ってみますか」と足のむくみと心臓の音を診察し、
「蜂窩織炎はどうなりました?」と聞いてくれた。
わお、覚えててくれるの?ますます惚れ直す。
「抗生物質で良くなりました。先週末にのみ終わってます」
「それはよかったです。他に体調の変化等ありますか?」
「息が少し苦しいのと、吸う時に2回ひゅっ、ひゅっと続けて吸ってしまうことがあります。そういう心肺症状はありますか?」
「特にないですね。その時、音はしますか?」
「別段しません。自分的にはむしろチックみたいな症状に感じます」
「これまでそういうことはありましたか?」
「ないです」
「じゃあ、様子を見ましょう」でおしまい。
明日からの薬は前にもらっていてワーファリン1.5mgで一包化されてるから、別に0.25mgの錠剤を出してもらうことに。

思ったより早く終わった。
薬はアプリで薬局に送っておき、0.25mg錠の説明をしたついでに午後にもう1件処方箋を送るから、夕方まとめて取りに行く旨伝える。
ひと休みっと。

14時半ごろ着いた心療内科は忙しそうであまり話す時間が取れなかった。
この3週間のあらましを話すと、
「はい、良くも悪くもなし。この調子でやってください。また3週間後に」で終わった。
私の前が初診の患者さんだったようで時間がかかったから、待合室けっこういっぱいになってたんだ。
こういう日もある。

きゅうりを買ってきてくれと言われていたのでスーパーに寄る。
ついでにAmazonに頼んでもう3週間ぐらい出荷されてないゼロコーラを2本買う。
なんだかむやみにテンパってしまって、レジで会計をしたのに精算機のところであたふたし商品が入ったカゴを完全に忘れて行ってレジ打ちのおばさんがカゴ持って追いかけてくる羽目に。
ついでにタバコ買おうと「アメリカン・スピリットのミントを2箱」と言ったら「置いてないですねー。前はあったんですけど。セブンイレブンなら売ってますよ」と言われたあたりであわて始めたんだと思う。

となりのセブンイレブンで買ってナナコアプリで払ったもんだから、もう1度スーパーに戻ってなくなりかけてるオールインワンクリームを買おうと思い、ますますあせり、最前と同じおばさんにレジで「ナナコでお願いします」と言ってしまうほどのうろたえっぷり。
「ここではナナコはお使いになれません」と言われても「ああ、薬局のレジだからだな」と思い(違うよ、西友だからだよ)現金で払ったがお釣りを財布にしまおうとしたら胸元にばらまいてしまい、おなかの上に乗ってるのをおばさんに取ってもらってさらに完全にあせる。
もう汗がだらだら流れて来て、もしかしたら不審なおばさん、いや、おばあさんだったかも。
汗を拭きながら出てきたら、買い物するから右耳から外してボトムズの右ポケットに入れておいたイヤホンをタオルハンカチ出す時に落としてしまったらしく、どこにもない。

スーパーに戻って、床を見て歩いたがない。
セブンイレブンにも行ってみたが、落ちてないしレジにも届いてないようだ。
まだスーパーに戻りまたしても同じおばさんに「イヤホン落ちてませんでしたか?」と左耳用のを見せながら聞く羽目に。
たぶん少し認知症の入ったおばあさんだ、と思われたことだろう。
親切に「サービスカウンタに届いてることもありますから」と教えてくれて、
「ありがとうございます。サービスカウンタはどこですか?」と聞いたら目の前だった。
ああ、もうダメだ。

紛失届を描いて、「こんな形」と絵も描いておいたら「わかりやすく、ありがとうございました(笑)」と言われたのはプラスポイントなのかマイナスポイントなのか。もうわからない。

雨の中タクシーを拾い、斜め後ろ顔は橋爪功っぽい運転手さんから「今年は水があったかすぎてサンマとカツオが獲れない。自分の地元は漁港だったのでサンマなんてひと山10円ぐらいで売っていた」話と「韓国のキムチは牡蠣とか魚のえらとか入れていて美味い」話と「世界中あちこちの海でサーフィンをした」話を聞きながら帰った。
「一番いい波はどこでしたか?」とかろうじて質問を挟むと、「ハワイ」なんだそうだ。
お釣りくれる時に振り向いた顔は全然老いた橋爪功には似てなくて、若い時かなりヤンチャして組の世話になったこともある、ってな顔だった。
サーフィン事故でかかとの骨が真っ二つになったこともあるご高齢の運転手さん、身体に気をつけてください。

なんとか家に帰りつき、せいうちくんに「イヤホンなくした」ことを告げる。
「なんでも浅いポケットに入れるからだよ」と叱られるかと思ったら、
「でも、こないだ古いやつなくしたと思って新しいの買ったら、古いの僕がみつけてあげたでしょ。あれ使いなよ」とにこにこ。
「実はしばらく前からずっとあれ、探してたんだけど、また見当たらなくなっちゃって。今日こっそり引き出しの中のごちゃごちゃをかきわけてみようかと思ってた」と告白すると、ますますにこにこして、
「僕がちゃーんとしまってあるんだよ」と足元の配線や細かい電子機器が入ったプラケースを取り出す。
私は自分がわかるとこに置いておいたのに、勝手にしまったのあんたかい!道理でみあたらないわけだよ!
と怒れる立場でもないので「ありがとう」と言っておく。

ああ、くたびれた。
もう外出はしたくないよぅ。


今日のマンガは萩尾望都「AWAY」全2巻。
原作は小松左京の短編「お召し」だが、原案、と言った方がいいかもってぐらい全然違う話になっている。
光瀬龍原作の「百億の昼千億の夜」に比べるとSF表現度が格段に上手い。
萩尾望都で一番か二番に成功してるSF作品だと思う。(もうひとつは「11人いる!」正続)
ただ、緻密な話で押してて読みごたえがあるのに最後はちょっと無理をしてるかも。
小松左京が書いてないあたりだからなぁ。
「お召し」の前半を中心に描いて、現象の理由を萩尾望都が頑張って考えた、って雰囲気になってる。
「百億千憶」よりはずっとわかりやすいので、好き。

22年10月6日

せいうちくんの仕事の山が少し終わって、少なくとも夜20時から深夜に及ぶ会議が毎日ある、ってな状態からは脱したようだ。
時々会議が入るにしても、毎日ではなくなった。
丸々休みの日曜もあった。
それだけでありがたくてしょうがないんだが、本来そこをありがたがっちゃダメだろう。

おかげで夜、ごはんを食べてお風呂に入ったあと録画しておいたドラマを見る時間がとれるようになった。
「六本木クラス」を見終わり「初恋の悪魔」を見終わり、今は「石子と羽男」の最初の方。
うちでは中村倫也(読み方が覚えられないので「りんや」で統一されてる)は評判がいいんだ。
名前が思い出せない時は最初に見たドラマの役柄から「DV夫」と呼ばれていたが、最近は「美食探偵」に昇格。

ある回を見終わった時、せいうちくんが「チョイ役のあの人、どうも見たことがある。絶対どこかで見た!」と言って調べ物をしに書斎に走って行った。
そして言うには、「息子が舞台演劇に出た時、一緒に出演してた人だった!」。
そうかー、今はその劇団からADの仕事をもらっているが、テレビドラマに出るほどの役者さんがいるのか。
若い人たちの成功していく姿は嬉しいね。

さて、いい画質でスキャンした浦沢直樹の「Billy Ba」全20巻と柴田昌弘の「クラダルマ」全18巻を読み終わった。
浦沢の方は「さすがに綺麗に取れてる。普段に比べて、マンガが紙から浮かび上がって読みやすい!」と思ったが、なぜか柴田の方はそれほどでもない。
線の繊細さが違うんだろうか。
600で取ってみたが、最高は1200まで行ける。
さすがにメモリが全然足りなくなるからやらないけど、森薫なんかは今後600でとってみてもいいのではないか。
ああ、「乙嫁語り」終了後全巻買いをする自分が今から目に浮かぶよ…
そして、とりあえずiPad Proに「MONSTER」と「PLUTO」と「マスター・キートン」を入れるぐらいにはやはり浦沢マンガはスゴイのだった。


今日のマンガはヤマザキコレの「ふたりの恋愛書架」全2巻。
純情な高校男子と真面目な女性古書店主が惹かれ合って一緒に暮らす話。
本に対してこんなに真剣な人たちもいるんだなぁとあらためて感動する。
自分は古書にはあまり興味がないし、読み散らかすタイプで覚えているフレーズなどほとんどないものだから。
一緒に暮らしてても何にもない2人。
初々しい恋と本へのあこがれが詰まっていて、綺麗なマンガだ。
ヤマザキコレの硬質で清潔感のある絵が大きな助けになっているよ。

22年10月7日

会社の創立記念日なのでお休み。4連休だ!
ここ3カ月以上ずっと忙しく、しまいには週末もなくなっていたので久しぶりの何も仕事の入らない連休は嬉しくてたまらない。

と思っていたところに、次の仕事が持ち上がった。
連休が明けたらまた忙しくなるんだって。
計画していた長老の山荘に泊まりに行く計画もおじゃんだ。
Gくんが、「わしは本気にしてないぞ。どうせせいうちさんはまた忙しくなって、話は消える」と予言していた。
怖いほど当たる未来予知能力!

お休みではあるが平日なのを利用して、今日のうちに2人とも皮膚科に行ってしまおう。
こないだ土曜日の午前に予約を入れようとして大変な争奪戦だったから。
今朝8時に2台のPCでスタートして、私は早々に5番をゲットしたが、せいうちくんは予約サイトに入れず困っていた。
すぐに彼の診察券番号で私が入ったら7番が取れた。
まあこれでよしとしよう。

病院の開く時間まで寝直して、2人して自転車で出かけた。
小雨が降っていたけど、さほど濡れずに行けたよ。
待合室もそんなに混んでない。
今、3番の人が診察を受けていると表示されてる。
待ってる間にせいうちくんにおくすり手帳アプリの使い方を教えてあげた。
これであなたも処方箋送っておいて家の近所で受け取れるよ。
おくすり待ち時間の大幅削減なんだよ。

「せいうちさんはご夫婦で一緒に入られますか?」と聞かれたので「はい」と答えたら、どうやら私の順番にせいうちくんも引っ張られた様子。よかったじゃないか。
診察室に入り、まず私が看護師さんの問診を受ける。
「蜂窩織炎の痕がかゆいのと、胸の手術痕のケロイドと、首の後ろに出た湿疹、ですね。抗生剤をのんでからですか?」
「はい、のみ終わった頃に出ました。痛痒かったです」
「それではダンナさんの方を。前と同じ症状ですか?」
「はい、アトピー性皮膚炎に塗る薬をいただきたくて。あと、飲み薬です」
「かゆいですか?」
「風呂上がりに薬を塗っていればそれほどは。塗らないとかゆくなります」
「はい、お薬ですね。ではすぐに先生が来ますので」

ちょっと待って、ドクターが来た。
何度かかかっていて、温和で診断の確かそうな信頼できる感じの人だ。
「はい、せいうちさんの奥さんの方…蜂窩織炎の痕がかゆいですか?」
「ええ、色も黒ずんでます」(ボトムズをまくって膝を見せる)
「ああ、これはもう治ってきてますね。治る時に少し黒ずむんです。大丈夫です。かゆいのも治ってきてる証拠です」
「あとは首に湿疹ができました」(首の後ろを見せる)
「こちらも治ってきてますね。大丈夫です。じゃあ、同じ飲み薬とケロイド用のテープでいいですか?」
「はい」
「じゃあ、ダンナさんの方を…これまでと症状変わりませんか?」
「はい、変わりありません」
「それでは前回と同じお薬をお出しします。他に気になることは?」
「ありません。では失礼します」

ああ、これでお互い1カ月分の薬を手に入れた。
本当は3カ月分ぐらい出してもらいたいんだが、そのへん全然ゆるくない病院なんだよね。
ゆるいとこはゆるいんだがなぁ。
処方箋をスマホで撮って送るやり方を教えて、送信完了。
あとは「できました」の連絡をもらってから薬局に行けばいい。

せっかく駅前まで来たのでスーパーで買い物をして帰る。
連休でゆっくりできるからタコ焼き食べよう。
ねぎや天かす、タコ焼き粉は家にあるから、タコだけ仕入れればできるね。

大袋2つになった買い物を自転車に積んで帰る。
薬はその間に用意できていて、すぐにもらえた。
せいうちくんはこのアプリを初めて使うので、とても便利なものだと喜んでいたよ。

昼寝して、夕方に娘の施設と年に1度のカンファレンス。
これもオンラインで行えるようになったようだ。
コロナが上陸して2年半、様々な分野で変化が起きているなぁ。

と、思っていたら、娘の姿が映った。背後には介護士さんが2人ついててくれる。
「面会もできるんだー。ドクターとか保育士さんとかPTさんはあとで会うのかな」と喜んで声をかけ続けていたら、15分たって、「ではそろそろ」とおしまいになった。
どうやらせいうちくんが先月から面会の申し込みをしていたのに対するお返事を、カンファレンスだと思い込んでいたらしい。
ただの面会だったか。
それはそれで嬉しいが、そんなら前回のように息子も呼んであげればよかった。

娘は今日、「お楽しみ会」があったんだって。
少し眠そうだったのは楽しくて疲れたのかな。
後ろに段ボール製の大きなものが映っていた。
みんなで紐を引っ張り、段ボールの装置を動かして中の「プレゼント」を出したそうだ。スゴイ力作。
介護の現場で、皆さん頑張ってくれている。

終わってから、
「カンファレスじゃなかったの?去年はどうやったんだっけ?」とせいうちくんに聞くと、
「電話でやった。そう言えば、新しい担当の女医さんとこないだ話をしたなぁ。あれがカンファレンスだったのか!」とびっくりした顔になっていた。
とにかく会えて嬉しかったよ。どうもありがとう。

今夜のZOOM飲み会では来週長老の山荘に行くのは無理そうだ、って残念なお知らせをしなきゃいけない。
予定を合わせてくれていた長老にもGくんSくんにも謝らなくっちゃ。
そこはせいうちくんが責任もって謝罪してくれるそうだ。
月末ぐらいに行ければ行きたい、ってこともお願いしよう。
Gくんに再び不吉な予言をされるかもしれないが。
「せいうちさんは、今年はプチ合宿できない!」って(涙)


今日のマンガは織田涼の「能面女子の花子さん」既刊8巻。
能の面(おもて)を彫る仕事の家に生まれた女子高生の花子さん、3歳以上の女性は「寝る時以外は能面をつけて生活する」という家訓に従って、「小面(こおもて)」なる少女、処女を表す能面をつけている。
成績優秀品行方正性格温和スタイル抜群のEカップそして鋼のメンタルを備えた花子さん、まわりに怖がられても全然気にしてない。
幼なじみのけんちゃんや若き能楽師のさぶちゃんからの熱い視線をさらりとかわし、さぶちゃん推しの能楽オタク教師に守られ、香穂ちゃんという親友にも恵まれのびのびと高校生活をエンジョイ中。
そんな花子さんの毎日をつづった青春学園マンガだ。
作者はもともと能が好きで、能面の種類をいろいろ描きわけられる。
花子さんのお母さんは「般若」の女面をかぶっており、花子さんもこれから成長に従って年頃にふさわしい面をつけて行く予定。
けっこう斬新で面白いスタイルだと思う。絵も可愛くて好感が持てる。
続きに期待。

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